史上4人目!! “バイク整備士”大臣表彰 整備士歴30年以上のベテランは4輪からバイクへ その分岐点は「スーパーブラックバード」!?

大阪市のバイク整備士、東井宏仁さん(55歳)が、自動車関係功労者表彰で国土交通大臣表彰を受けました。バイク整備士の受賞は史上4人目、2026年は唯一です。

300km/h超のスーパーバイクの整備にあこがれて

 2026年10月20日、国土交通省本省で開催された自動車関係功労者表彰で、バイク整備士として今年唯一、東井宏仁さん(55歳)が国土交通大臣から表彰を受けました。

 東井さんは大阪市天王寺区で創業50年のバイクショップ「有限会社タイガーオート」(高尾大輔社長)の工場長です。

 自動車関係功労者表彰は毎年開催され、自動車販売、運輸など8つの自動車関係分野を対象に、団体の推薦を受けて選出されます。

 2026年の受賞者は総勢247人で、バイク関係では6人が選出されています。5人は自動車販売部門での表彰、東井さんは整備士部門60人の受賞者の中で、ただ1人のバイク整備士としての受賞です。

 自動車関係功労者表彰は1960年から始まりましたが、バイク整備士の受賞は東井さんを含めてわずか4人しかいません。

 店頭には認証工場の表示と並んで「修理・点検ならタイガーオート」と、その自信を示す看板が掲げられています。東井さんは、整備の知識と経験が豊富なスタッフの代表格です。

 東井さんの35年近い整備士人生は、整備士の専門学校を卒業し、4輪車からのスタートでした。バイクへの分岐点を語ります。

「専門学校を出て、自動車整備士として働くうちにCBR1100XXスーパーブラックバードが世の中に出ました。“300km/hも出るんか。これは乗りたい”からはじまって、クルマの整備してる場合じゃないと思い立ったことが、バイク整備に転職するきっかけです」

 1996年から2008年にかけて製造されたホンダの「スーパーブラックバード」は、世界最速のバイクとして先陣を切りました。

 2001年にリミッターの付いた国内仕様の販売が開始され、その後、スズキ、カワサキを巻き込んだ世界最速を競うスーパーバイクのブームが巻き起こります。

 東井さんが第一歩を踏み出した場所は、現在の勤務先から北へ上った松屋町でした。界隈はバイクショップが集中するバイクの町、バイク通りとして知られています。

 ほどなく、そのショップが経営危機に陥ったことから、現在の勤務先に移籍しました。東井さんの整備士人生には、バイクの隆盛が詰まっています。

「当時は整備というよりカスタム。アメリカンから始まって、ヤマハTW200/225の新車をコンプリートカスタムして、そのあとにホンダFTR250/223、さらにビッグスクーターのカスタムと忙しかったですね」

 マニュアルに定められた整備・点検をこなすだけの毎日を離れ、整備士の力量が発揮できるバイク業界に夢を見出し、踏み出す人は今も多く見られます。

「私より若い整備士がうまくカスタムをやるようになったので、私はビジネスバイクのメンテナンスをやりながら、後進の育成を担当しています。でも、若いお客さんも多いので、いつも気は若くやってます」

自動車関係功労者表彰で、井林辰憲国土交通大臣から表彰を受けた「タイガーオート」(大阪市天王寺区)の整備士・東井宏仁さん(55歳)。整備部門で史上4人目となる「バイク整備士」の表彰となった(写真=中島みなみ)
自動車関係功労者表彰で、井林辰憲国土交通大臣から表彰を受けた「タイガーオート」(大阪市天王寺区)の整備士・東井宏仁さん(55歳)。整備部門で史上4人目となる「バイク整備士」の表彰となった(写真=中島みなみ)

 タイガーオート社長も東井さんの人柄と技術力に信頼を置いています。

「東井は新しい作業に柔軟性を持って対応してくれる。その良さは誇りを持って仕事してくれている事!」

「いつも気は若く」……そう語る東井さんの手が、きょうも大阪のバイクを支えています。

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Writer: 中島みなみ

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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