長いフロントフォークのカスタムバイクはなぜ生まれた? アメリカン・カスタムの象徴“チョッパー”の進化の過程とは
「Chopper」を代表する存在ロングフォークはなぜ生まれたのか
1930年代に登場したとされるBOBBERの時代から「オフロードの悪路を走行する為、車高を上げる」目的でノーマルのスプリンガーフォークより2インチ長い軍用車 “XA”のパーツを取り付ける手法がハーレーのカスタムに見られたとのことですが、それを「フロント側の低い位置から広角レンズで撮影した写真」が当時の小冊子やChoppers Magazineで多く掲載されました。

その結果、「レンズによる錯覚」から生まれたフロントフォークが長く見えるルックスを、そのまま形にすることでロングフォークのChopperが生み出されたといわれています。
当時の手法として特殊なテーパー加工が施されているハーレー純正スプリンガーのリア・レッグ部分にマッチするフォード・モデルAのウィッシュボーンサスペンションを流用する手法があったとのことですが、そうした自作フロントフォークをそれぞれの乗り手が製作し、取り付ける為にフレームの一部を切断することで、ネック位置を加工する手法が生み出されました。
このようにノーマルのバイクのフレーム等を切る=Chopという言葉がChopperというカスタム・スタイルの語源となっています。
とはいえフレームを切断する、しないがChopperの定義であるかと問われれば、それがすべてではないというのも、また事実です。1960年代後半から数多くのパーツメーカーが設立され、“ノーマルを切断せず”とも社外のフレームで数多くのChopperが作られていますし、現在ではベース車両がなくとも社外のアフターマーケット・パーツだけで一台の車両が製作出来るほどにカスタム・ハーレーの世界は発展を遂げています。

1990年代の後半から2000年代にかけて世界的なムーヴメントを巻き起こしたWest Coast Choppersのジェシー・ジェームスが製作したNeo Chopper群などは、まさにその典型といえるでしょう。
フレームの切断の有無やスタイル的なシルエットなどで「Chopperとは何か?」を定義付けることは正直、難解なのですが、そもそも個人、個人が人とは違うものを求めて生み出したマシンという精神がChopperという乗り物の根底にはあります。
あえて言えばすべての人間に、それぞれの個性が存在するように100人いれば100通りの解釈があるのも、Chopperという乗り物の魅力なのかもしれません。
【了】
Writer: 渡辺まこと
ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。














