スズキ新型「KATANA」に試乗! 現代風に味付けされた新生カタナの切れ味は!

乗り味は80年代の重量車を思わせ、かつてのバイクの楽しさを具現化

 新しいカタナは、現行モデルであるGSX-S1000をベースとしており、車体の基本やエンジンはそれと共用されています。ですから、実際の走りの基本素性は、S1000からそのまま受け継がれています。そこでまず、ベースとなったS1000の走りについて紹介しておきましょう。

 ここでは、そのS1000がスーパースポーツのGSX-R1000を基本に、ストリート向きに最適化させたモデルであることを忘れるわけにはいきません。

ベースとなった2005年型GSX-R1000エンジン

 実際、エンジンは2005年型のR1000がベースですが、低中速向きにアレンジされているだけでなく、10余年の電子制御の進歩もあって、実にスムーズで扱いやすく、上質感があります。スロットルレスポンスはリニアリティがあって、低段位のギヤでギクシャクすることなく、また高段位でもメリハリを作ってスポーツできます。

 ハンドリングも、入力に忠実に反応、リーンや舵角の状態に応じて、車体からしっかりフィードバックが返ってきます。しなやかなサスペンションが日常域で踏ん張り具合を感じさせ、フレームのしなり具合も表情豊かに伝わってきます。おかげで、走りに自信が持てて楽しいのです。スーパースポーツに求められることが、ストリートスポーツに具現化されているというわけです。

コーナリング時、入力に素直に反応するハンドリング

 というわけで、これを新生カタナの試乗印象と捉えていただいて差し支えありません。しかし、ひとつ、大きな違いがあります。それはライディングポジションです。伝統的なレーサースタイルだった初代カタナに対し、新生カタナはベースのS1000よりもアップライトで、それは80年代初期までの一般的な重量車を思い出させるほどです。

 実は、このことがハンドリングに大きく影響を及ぼしていたのです。少々腰を後方に引いて、軽く上体を前傾させるS1000だと、知らず知らずのうちに前後方向の体重移動も積極的になり、自ずとスポーツライディングに導かれます。ところが、このカタナの場合は、腰を前方に置いて、上体が起きているので、体重移動がおろそかになりがちです。

 ですから、ややもすると、リアサスペンションを固く感じ、サスペンションをしなやかに動かしにくくて、スポーティなハンドリング性能を引き出しにくいかもしれません。もちろん、このカタナではリアサスペンションのセッティングをS1000よりもソフトにすることで対処しているのですが、そうした傾向は否めないと思いました。

日常的な使いやすさに快適さを求めた「KATANA」

 でも、私はそのことを肯定的に捉えています。なぜなら、かつての普通のバイクの快適ポジションによる日常的な使いやすさを、スズキ伝統のスタイリングとともに楽しむことができるからです。それでいて、望むなら、身体を大きくダイナミックに動かし、カタナに備わったスポーティハンドリングを堪能することもできるというわけです。

 それに何より、マシンは身体をダイナミックに動かすように、ライダーの覚醒を待ち望んでいるかのようでもあります。そのことに私は、カタナのお手軽ではない存在感をも覚えてしまうのです。

【了】

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Writer: 和歌山利宏

1954年2月18日滋賀県大津市生まれ。1975年ヤマハ発動機(株)入社。ロードスポーツ車の開発テストにたずさわる。また自らレース活動を始め、1979年国際A級昇格。1982年より契約ライダーとして、また車体デザイナーとして「XJ750」ベースのF-1マシンの開発にあたり、その後、タイヤ開発のテストライダーとなる。現在は、フリーのジャーナリストとしてバイクの理想を求めて活躍中。

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