乗り心地とスタイルを左右する重要要素 千差万別に広がるカスタムシートの世界
主要カスタムシートの名称や特徴を一挙に解説
●ソロサドルシート(純正タイプ)

1930年代にハーレー・ダビッドソンのサイドバルブやナックルヘッドに採用されていたタイプのシートです。分割タンクの中心に配備されたTeeバーでマウントされる構造でリアサスペンションを持たないリジッドフレームでも柔らかな乗り心地を実現します。現在も様々なメーカーからレプリカがリリースされています。
●バディーシート
“Budy=友達”という直訳のとおり二人乗り仕様となったTeeバーマウントのシートです。タンデム時にはシート下にある“コの字”型のAuxiliary Spring(補助スプリング)をシート板後部にはめ込むことで、二名分の重量に耐える構造となっています。
●ソロサドル(Kモデルタイプ)
1952年に登場したハーレー・ダビッドソン“スポーツスター”の元祖“Kモデル”に採用されていたシートです。排気量の大きいビッグツインなどで見られたTeeバーマウントのサドルより若干コンパクトゆえ、ボバーや初期の50年代チョッパーで、この手のシートを流用する車両が見受けられました。
●ソロサドル(ベイツタイプ)
1949年に創業されたパーツメーカー、ベイツからリリースされたタイプのソロサドルシートとピリオンパッドです。もともとレーシングバイク的な車両に装着され、それがチョッパーパーツへと発展していきました。また、後方に装着されたピリオンパッドはタンデム用ではなく、ライダーが着座位置を後方にズラし、前傾姿勢を取る為のものでしたが、カスタムバイクでは後ろのパッセンジャー用として活用されています。
●キング&クイーン(ハイバック)

1960年代後半から見られるようになったシートです。おそらくはソロサドル&ピリオンという組み合わせのタンデムでの乗り心地の悪さから発展したものであることが推測出来ます。キング&クイーンという名称のとおり、タンデムライドに特化した形状が特徴でリアに装備されたシッシーバーに沿うようなスタイルが基本ですが、メーカーによってはリアのヘッドレストがないダブルタイプでもキング&クイーンと表記したようです。また映画“イージー・ライダー”出演バイクで見られたような薄手のタイプのものはハイバックとも呼ばれます。
●コブラシート
その名のとおり真上から見た形状が毒蛇のコブラを彷彿とさせることから名付けられたシートです。車体のシルエットを損なわないシンプルなデザインゆえ、チョッパーはもちろん、様々なタイプのカスタムにマッチします。1980年に創業されたMustang(マスタングy)社やLe Pera(ラペラ)社製などが定番ですが、米国製のものは若干、硬めの乗り心地となっています。
●ダブルシート
ライダーと後方のパッセンジャー部が一体となったタイプのシートです。コブラシートより後部に厚みがある為、リアのパッセンジャーにとってはコチラの方が乗り心地に軍配が挙がるでしょう。ちなみにメーカーによっては純正のスタイルになずらえてか“ローライダータイプ”や“スティンガー・サドル”などの名称がつけられています。また先の項目で触れたとおり、この手のタイプをキング&クイーンとするメーカーもありますが、シンプルにダブルシートと呼ぶのが一般的です。
●ソロバゲット
まるでコブラシートの後部を切り離したような形状のシートです。米国のパーツカタログなどではソロバゲットと表記されますが、一般的にはソロシートで通じます。リアにピリオンパッドを組み合わせることでタンデム仕様にすることも可能です。チョッパーは勿論、シンプルなデザインゆえ、ストリートドラッガーなどのレーシーなスタイルの車両にも似合います。
●ガンファイターシート
1968年からシートメーカーとしての活動をスタートしたCorbin(コルビン)が1980年代にリリースしたタイプが元祖となるシートです。リア周りの丸みを帯びた膨らみが特徴で、良好なホールド感を実現しますが、その形状ゆえタンデム部はあくまでもエマージェンシーと考えるのが無難です。どちらかというとストリートドラッガーやクラブスタイルなど現代的なスタイルのカスタムにマッチします。
●フラットトラッカーシート
1971年に登場したハーレー・ダビッドソン“XR750”などのフラットトラッカーに採用されていた形状のシートです。純正はもとより、80年代にはStorz(ストーツ)など社外メーカーからもリリースされ、高い人気を博しました。無論、ダートトラッカー・スタイルのカスタムに装着するのが基本です。
●フラットトラッカーシート(オールドタイプ)
ハーレー・ダビッドソン“XR750”が登場する以前、サイドバルブモデルであるKR750やアエルマッキのフラットトラッカーに装着されていたタイプのシートです。純正のXRタイプとは異なり、あくまでもアフターマーケット・メーカーからリリースされていたものとなっています。
●XLCRシート

1977~1978年のみ生産されたハーレーのカフェレーサー“XLCR”に採用されていたシートです。基本はフラットトラックシートと同じ流れのデザインを汲みますが、テール部が若干、長くなっているのが特徴といえます。過去には映画“ブラック・レイン”でマイケル・ダグラスが走らせたマシンで装着されていた“トレイシーファイバーワークス”製や日本の“フリーダム”製、そして現在は東京の“サンダンス”がレプリカのシート&テールカウルをリリースしています。
●TTシート
ハーレー純正のロードレーサーであるKR-TTやXR-TTに採用されていたタイプのシートです。前傾姿勢のレーシングマシン用らしく高いホールド感が見込める形状が特徴です。こちらもアフターマーケット・メーカーのStorz(ストーツ)や日本のサンダンスからレプリカがリリースされています。
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このように様々なタイプを紹介させて頂きましたが、これらはあくまでも主要なものであり、例としてはほんの一部です。また現在のカスタムシーン、チョッパーシーンでは一点物のワンオフのシートも数多く存在するので、スタイルのバリエーションは無限に広がっています。
またシートの内部もウレタンや発泡ウレタン、低反発材のテンピュールやシートジェルなど様々な素材があり、スタイルのみならず乗り心地の向上も見込めるものがリリースされています。
ともかく、ハンドルと並び、「まず変えたいパーツ」の筆頭であるシートの種類をこうしてお伝えすることで、皆様のカスタムライフに少しでもお役に立てればと切に願います。
【了】
Writer: 渡辺まこと
ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。










