ウルトラハイスペックモデルのアプリリア「RSV4」 サーキットや峠道では最高のマシンなのだが実際には!?
アプリリア「RSV4」は、「Moto GP」や「WSBK」で培われた技術がフィードバックされたウルトラハイスペックなスーパースポーツマシンです。
街乗りやツーリングがメインなら、ヤセ我慢が必要なマシン
イタリアのアプリリアは、下はスクーターから上はビッグアドベンチャーまで幅広く展開する、海外では珍しいフルラインナップメーカーですが、国産スーパースポーツとガチンコ勝負をするためのモデルが、このRSV4 1100ファクトリー(以下、RSV4)です。ウルトラハイスペックなこのスーパースポーツが、一体どんな走りを見せるのか? その片鱗をお届けしましょう。

まず分かりやすいところから見ていくと、なんといってもパワーでしょう。1077ccのV型4気筒エンジンは、世界最高峰の2輪レース「Moto GP」や「WSBK(世界スーパーバイク選手権)」で培われた技術がフィードバックされたもので、最高出力は217psに達する一方、車重はたったの199kg。フェラーリやポルシェといった名だたるスーパーカーをもってしても、RSV4の加速力にはそうそう敵うものではありません。
そのため止まっている時からなかなか手強く、平均的な日本人男性の体格か、それ以下なら足着きに関してはツマ先立ちが必至。ハンドルも低い位置にセットされているため、街乗りやツーリングをメインに使うのなら、ヤセ我慢が必要です。

裏を返せば、ワインディングでスポーティな走りを楽しんだり、サーキットに持ち込んだ時は最高にして完璧です。エンジンは低回転から高回転までストレスなく吹け上がり、滑らかさの極み。トルクもたっぷりあるため、スロットル操作だけでどこからでも望み通りのパワーを引き出すことができるのです。
とはいえ、217psです。その数値は獰猛というか、野蛮というか、そのままでは到底手に負えるものではなく、それを手なずけるために用意されているのが、アプリリア独自の電子デバイスの数々です。
APRC、正式には「アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール」という長々としたネーミングを持つそれは、トラクションコントロール、スライドコントロール、ウィリーコントロール、ローンチコントロール、クイックシフター、エンジンブレーキ、ABS、エンジンモード・・・・・・といった、走行中の安定性にまつわるありとあらゆる項目を一括して制御するためのもの。

ものすごくざっくり言うなら、コーナリングでフルバンクしている時にスロットルをガバッと開けても、逆にブレーキをガツンと掛けてもマシン側がそれを検知し、挙動が乱れないように可能な限りフォローしてくれるのです。
もちろん限界はあるものの、トップクラスのレーシングライダーが見せるギリギリのコントロールに近づける魔法のシステムが搭載されていると言ってもいいでしょう。このクラスのスーパースポーツには例外なく、こうした電子デバイスが盛り込まれていますが、RSV4のそれは最も緻密で、高い精度を誇ると言われているのです。

そしてもうひとつ。レースファンにとってたまらないのが、サイドカウルに装着されたカーボン製のウイングレット(羽)に違いありません。空気の力を利用してマシンを押さえつけるためのこの装備は、正真正銘MotoGPマシン由来のもの。時速300kmの領域で、約8kgのダウンフォースを発生する機能パーツなのです。
オーリンズのサスペンションもブレンボのブレーキキャリパーもそれにならったもので、すべては速さのため。最初からこれほど機能が充実しているのは、ドゥカティのパニガーレV4Rくらいですが、RSV4はそれと比較するとグッとリーズナブルなところが見逃せません。※V4R:455万円/RSV4:286万2000円
世界最高レベルのマシンをストリートで乗り回す。その満足感がRSV4の大きな魅力と言えるでしょう。
【了】
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TT、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。





