憧れの逸品 伝統的な製法で制作されるイタリアン・レザーブーツ「ガエルネ・No.145」〜リターンライダーKANEKO’S EYE〜

クルマ業界に25年以上。ドライビング・インストラクターや自動車に関する研修トレーナーをしている経験を活かし「ブランド」「商品」「こだわり」「疑問」など、現在のバイク界をピュアな目線でレポートします。今回はイタリア「ガエルネ」のブーツ作りへのこだわりを探ってみました。

創業57年の老舗ブランド「ガエルネ」

 ライディング時に履くシューズは気になるアイテムのひとつですが、できればそのまま気軽に歩け、安全面や操作性のいいモノをチョイスしたいと考えます。

筆者(金子陽一)が愛用するガエルネ製「ボヤージャー」

 そして現在、筆者(金子陽一)はイタリア「ガエルネ」がリリースしている「ボヤージャー」というモデルを愛用しております。自分の記事をご覧いただいた方にイベント会場でお会いした時には「あのシューズはどこのですか?」や「あれはバイク用ですか?」などお声がけいただいたこともあり、嬉しく思いながらもシューズに注目している方々も多くいらっしゃるとこを同時に感じておりました。
 
「ボヤージャー」はスニーカータイプで、履き心地が良く、街中を歩いていても普通のスニーカーと同等に扱え、ビジュアル的にも違和感がありません。それでいてかかと、くるぶしなどにはプロテクションが装備され、雨天時の見方「GORE-TEX(ゴアテックス)」も採用されています。これは本当にオススメなアイテムのひとつだと思っております。

憧れのレザーブーツ「No.145」

 そして実はもうひとつ、ずっと気になっていたモデルがあります。それは同じ「ガエルネ」が贈り出す「No.145(ナンバー145)」というオーソドックスなレザーブーツです。「No.145」はしばらくの間、サイズによっては欠品が続いていたのですが、最近入荷があり現在はほぼどのサイズも入手が可能となっているのです。

筆者(金子陽一)憧れのレザーブーツ、ガエルネ製「No.145」

 このタイミングで「No.145」の詳細などいろいろ話が聞ければと考え、輸入代理店となる「ジャペックス」さんへご連絡したところ、快くOKをいただけました。

「ガエルネ」はイタリアの靴職人が多く集まるモンテベルーナにて、ワーキングブーツや登山靴を手掛けていた「ガゾーラ・エルネスト」さんが1962年に創業した歴史のあるブランドです。ブランドのネーミングは創設者の名前から来ているんですネ。

 息子さんのオフロードブーツを手掛けたのが「ガエルネ」誕生のきっかけとなり、培われていた良質なブーツのノウハウとスポーツブーツに求められる安全性、快適性、運動性能を高次元でバランスするブーツを生み出し続けています。

 日本の輸入代理店となる「ジャペックス」は「ガエルネ」と40年以上のお付き合いがあり、話を伺ったご担当者の話では「ガエルネ」のクラフトマンシップとしてプロ意識の高さゆえに、当初から日本人の足型に合わせた靴づくりに協力的だったそうです。そして、効率を追求する傾向が多く見られるようになった現在でもその姿勢は変わらず、日本向け製品の製作を受け入れてくれているとのことでした。

期待を裏切ることのない高い質感

 その日本向けの製品のひとつが注目をしていた「No.145」だったのです。
今現在、ヨーロッパでのバイク用ブーツでは、クロスブーツやカジュアルなモノであってもハイテク素材が採用されているモデルが中心的存在で、伝統的なワーキングブーツや登山靴の製法を用いた本物志向のブーツのリリースは減少傾向にあると。

分厚いレザーを使用したガエルネ製「No.145」。重厚な雰囲気が漂います

 しかし、日本では伝統的な製法にて制作されているヘリテージモデルの需要も重要だと考えた「ジャペックス」からのリクエストに対して「ガエルネ」が対応してくれているという体制だそうです。

 そして、元々はワーキングブーツ、登山靴の靴職人だった創業者「ガゾーラ・エルネスト」さんは、伝統的な製法のまま制作されるヘリテージモデルの思い入れが強いこともあり「No.145」の製作に協力的だという話も聞かせてくださいました。その話からも靴職人としての誇り、そして製品の対しての思いを感じることができます。
 
 なかなか大型量販店でも見ることができなく、初めて実際に見て、手にした「No.145」は、本当にカッコ良く、ズシリとしていてオーラを感じます。しっかりとしていて作りの良さや存在感、迫力の様なモノも感じられました。あこがれの存在だった「No.145」は、目の前にしても全く期待を裏切ることはありません。

 使われているレザーは本当に分厚く、まさに「登山靴」です。でもそのノウハウをふんだんに活かしながらバイク用ブーツに必要な安全性、そしてブーツ自体の剛性感が感じられます。

「大いなる無駄」こそがNo.145の魅力!?

 以前から説明で読んでいた、慣らして履き込んでいく度に、しっかりと足を包み込み自分のモノになって行く。それが本当なのだと、納得しながらイメージが湧いてきました。細部を少し見ただけでもビジュアルやデザイン的なアクセントの為のステッチではなく、分厚いレザーを合わせ縫うために、2重や3重のステッチで縫われていることも確認でき、それで高い剛性感が生まれているのだと確認できます。

分厚いレザーを使用したガエルネ製「No.145」。強度を上げるため、2重3重のステッチで縫い合わされています

 クルマのボディもそうなのですが、いかにいい鋼鈑を使っていても、その鋼鈑同士をどう組むか、どう溶接するかで剛性は大きく変わってしまう。そして、近代の技術の進化から鋼鈑の厚さもシュミレーションで計算され、厚みが必要な場所には適切な厚みとし、薄くても大丈夫とされる場所は薄くして、全体の剛性と安全性、そして軽量化が進められているのが現代のクルマのボディです。

「ガエルネ」にも「Gストーン」というブーツがあります。このモデルはビジュアルこそ「No.145」に似たオーソドックスなブーツですが、適切なレザーの厚みを考え、そのレザーを最適なバランスで使い、だから軽量で、履いた瞬間から足に馴染む。そして雨に威力を発揮する「GORE-TEX」も使用されているという現代のハイテクブーツです。この「Gストーン」も一時は購入を考えましたし、素晴らしいモデルだと思います。

 しかし「No.145」は全く逆で、昔ながらの伝統的な製法で作られたモデル。ちょうど最近、1970年代後半に作られていたドイツの名車2台に乗せていただく機会があったのですが、驚かされたのはいまだにボディがガッチリしていたことでした。

 以前はさすがにシュミレーションをして解析する技術は乏しく、ただただ丈夫に頑丈にボディを制作し、安全性も剛性も確保するという作りなのだと感じました。現代のハイテクが生み出すバランスのいい使いやすさ、快適さ、そして安全性ももちろん素晴らしいと思います。

 しかし「No.145」や、当時のヨーロッパ車のボディのように、ところによってはオーバースペックな部分もあったり、ある意味現代テクノロジーの目でみれば最適なバランスとは言えないモデル。でもその「大いなる無駄」こそが、何とも言えないカッコ良さ、何とも言えない存在感と迫力、そして、絶妙な使用感を生み出すのだとも思います。

サイドに施されたさりげない刻印も重厚感に拍車をかけます

 そんな商品を企画し現代でも提供してくれている「ガエルネ」と「ジャペックス」に、心からの拍手を贈りたいと思ってしまいます。

 そして取材中、ニュースが飛び込んで来ました。なんと12月19日に「No.145」に新カラーが追加されるとのことです。そのカラーはワインレッドに近い色合いで、レザーの表情も豊かに感じられ、とても素敵なモデル。もちろん日本からのリクエストで配色などは幾度かの改良が加えられ「ガエルネ」が答えてくれたモデルです。

待望のニューカラー、レッドが追加される「No.145」。光にお当たり方によって様々な表情を見せてくれます

「ガエルネ」の商品は「ジャペックス」のインターネットサイトから購入するケースがほとんどとなりますが、サイズを測定できる「G-FIT」というサービスがあり、自分も利用しましたがなかなかの精度です。そしてもしサイズが合わなかった場合でも、「ジャペックス」のサイトから購入の場合では1回まではサイズ交換が無料となっているので、安心して利用することが可能です。また修理などアフターメンテナンスもしっかりしているのもありがたいポイントです。

 いいモノと長く付き合う楽しさ、慣らしをして自分のモノとして行く楽しさ、伝統を感じさせるこだわりの逸品イタリアン・レザーブーツ「No.145」。自分自身、一生付き合って行くつもりのアイテムです。

【了】

【画像】ガエルネの名作「No.145」

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Writer: 金子陽一

トップドライバーを目指し自動車レースに参戦。幾度かの資金難から挫折しかけたところをチューニングカー雑誌の編集部に拾われ、タイムアタック/レポートドライバーを担当。現在、それらの経験を活かし自動車ブランドが開催するドライビングレッスンのインストラクター、そして販売店スタッフ向けの研修トレーナーとしても活躍中。学生時代に乗っていたバイクからはしばらく離れていたが、近年、最新バイクの進化、またバイクを取り巻く最新アイテムの進化に感動しバイク熱が復活。大型自動二輪免許も取得。クルマで経験してきたセンサーを活かして「バイク」「ブランド」「アイテム」「こだわり」など、最新のバイク界をピュアな目線でレポートする。

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