実証実験で見えた電動バイク普及の可能性と課題とは? 

日本の自動車工業の健全な発達を図り、経済の発展と国民生活の向上に寄与することを目的に活動する一般社団法人 日本自動車工業会は、さいたま市、ホンダ、ヤマハの3者が協力して行っている普及活動についてのとりまとめを発表しました。

一般市民を対象にした電動バイクの実証実験

 一般社団法人 日本自動車工業会(以下:自工会)は、さいたま市、ホンダ、ヤマハの3者が協力して行っている電動バイクの普及を促進する実証実験についてのとりまとめを発表しました。

実証実験に使用されたヤマハ「E-Vino」

 さいたま市、本田技研工業株式会社、ヤマハ発動機株式会社の3者が組織する「電動二輪車実証実験推進協議会」が行ってきた実証実験は、市民から希望者を募って電動バイクを有料(月額制)で貸し出し、一定期間利用してもらい、使用頻度やバッテリー交換の回数などを把握し、車両の実用性や使用感についてヒアリングするなど、普及促進へのヒントをあぶり出そうという試みです。

 2017年9月から12月の第1期を皮切りに、2018年4月から6月の第2期、2018年12月から2019年3月の第3期、2019年4月から7月の第4期と、4期間に分けて開催された同実証実験では、被験者合計55人、テスト車両は1・2・4期がヤマハ「E-Vino」(原付き一種)、3期はホンダ「PCX ELECTRIC」(原付二種)が使用されました。

第1期では8割以上のモニターが「便利」と評価

 さいたま市 未来都市推進部 環境未来都市推進担当の神田修さんと嶌田研人さんの説明によると、第1期のモニター25人のうち、50%が電動バイクを「ほぼ毎日利用」し、32%が「平日のみ利用」、18%が「不定期利用」という状況でした。電動バイクの使用感に関しては、全体の82%が「モニターになって便利と感じている」と回答しており、電動バイクの導入によって生活の利便性が向上し、満足感を得ているモニターが多いことがわりました。

電動バイクを利用する市民モニター

 第2期では過去にバイクの利用歴がない人や、女性、学生を中心にモニターを16人募集。実験結果をみると、利用頻度は「ほぼ毎日」が24%、「平日のみ利用」が53%、「不定期利用」が24%。そして「モニターになって便利と感じた」のは全体の88%と、第1期よりも評価はさらにアップしました。また、モニター期間終了後、実際に電動バイクを購入したユーザーもいたといいます。

第3期ではより実用的な原付二種モデルでテスト

 第1期、第2期とも、電動バイクへの評価として、走行性能や航続距離の不足を指摘する声があったため、第3期の実証実験では、2018年11月に発売された原付二種の電動バイク、ホンダ「PCX ELECTRIC」が使用されました。モニターの対象としたのはバイク利用歴のある30から50代の男性4人で、3カ月間にわたって利用しています。

第3期の実証実験で使用されたホンダ「PCX ELECTRIC」

 実験終了後のヒアリングでは、モニターはそれぞれ「小回りが利いて、使い勝手が良かった」、「移動経費の節約になった」と、好感触。「PCX ELECTRIC」は1回の充電で41km(60km/h定地走行テスト値)の走行が可能で、自宅から会社までのダイレクト通勤にも問題なく利用することができたといいます。

 嶌田さんは、「原付二種の電動バイクになると、市内の通勤利用ならば航続距離への不安はないようです。外出先で急速充電ができればもっと広く使えて便利になるという意見もありました」と話しています。

航続距離への不安解消に焦点を当てた第4期

 第1期から第3期を通じて、電動バイクの利便性はある程度実証された一方、原付一種には航続距離への不安という課題がまだ残っています。そこで第4期では、試験車両を原付一種のヤマハ「E-Vino」に戻し、モニターを10人募集。航続距離への不安をいかに解消するかに焦点を当てて、モニタリングを行いました。
 
 新しい取り組みとして、第1期と第2期では指定の駅駐輪場でバッテリー交換サービスを行っていましたが、第4期では市内に5カ所のバッテリー交換ステーションを設置。バッテリー切れの不安が緩和され、電動バイクの行動範囲が拡大するか検証されました。
 
 嶌田さんは、第4期の実証実験の結果をつぎのように振り返ります。

「5カ所のバッテリー交換ステーションは、週に3から5回利用された場所と、まったく利用されなかった場所に分かれました。わずか10人のモニターですので、居住地やバイクの利用用途によって偏りが出たものと思います。
 
 ただ、頻繁に使われたステーションがあるということは、多くの人のニーズに合う場所にステーションを設置することで、電動バイクの“息継ぎ”が可能になり、バッテリー切れの不安を払拭できる可能性はありそうです」。

※ ※ ※

 また、神田さんは全体の成果について以下のように述べています。

「これまでの実証実験の結果を踏まえると、電動バイクの有用性は認められ、通勤・通学や用足し、シェアリングでの利用、配達業務などのビジネスユース等、さまざまな活用が望めそうです。走行性能の不足感など指摘はありましたが、初めてバイクを使う人にとっては大きな問題ではありません。

 とくに女性や若者には抵抗感が少ないことがわかり、電動バイクを訴求していくヒントになりそうです。いまいちばんの課題は、どうしても電動車両は価格が高いため、なかなか普及への弾みがつかないこと。また、バッテリー交換ステーションといったインフラをどう整えるか、今後の課題といえそうです」。
 
※ ※ ※

 電動二輪車実証実験推進協議会は、電動バイクの認知度や普及を促進するため、自動車教習所への電動バイク貸し出しなども行っていますが、女性や子供からは特に高い関心を集めているといいます。

高校生向けの安全講習で電動バイク体験(車両はヤマハ「E-Vino」)

 四輪にくらべ、電動の二輪車は普及が遅れていため、今後はインフラ整備や車両の低価格化などがますます重要になりそうです。

【了】

実証実験に使用されたヤマハ「E-Vino」/ホンダ「PCX ELECTRIC」の画像を見る

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