新型コロナウイルスが猛威をふるう今だからこそ 改めて考えたい「バイク」の『利便性』と『魅力』とは

新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっています。そうした中、バイクは首相官邸のホームページに掲載される「新型コロナウイルス感染症に備えて」のすべての感染防止の条件に当てはまる乗り物といえます。

中止、延期が相次ぐ各種イベント

 現在、世界で猛威をふるっている「新型コロナウィルス」ですが、ここであくまでも私見(筆者:渡辺まこと)を言わせてもらうと、この感染の拡大を完全に封じ込めることは難しく思います。

 もちろん、この感染拡大を防ぐために不要不急の外出を控えることや密閉空間での不特定多数の人との接触を避けること、外出時にはマスクを着用し、帰宅時はもちろん訪問先などでもマメな手洗いの徹底などが必要になるのは多くの報道で知るところでしょうが、あまりに過剰な「自粛ムード」に飲まれると日常の経済活動もおぼつかなくなる懸念もあります。

インドネシア・ジョグジャカルタの光景です。バイクが市民のアシとして活躍している様子が伺えます

 たしかにウイルスの拡散を防ぐためには、イベントの自粛などは必要でしょう。実際、世界的規模で多くの催しが中止、もしくは延期という措置をとっています。多数の人が訪れるテーマパークなども軒並み休園中です。またプロ野球やサッカーなども開幕の延期が発表されていますし、バイク業界に目を向けても3月下旬に開催予定だった『東京/大阪モーターサイクルショー2020』や様々なイベントの中止が発表されています。

 しかし、この状況が続けば関連する仕事に従事する人、イベント関連や商業施設のまわりの飲食店、商店などが経済的に立ち行かなくなることは明らかです。もちろん、ウイルスの存在を気にすることなく行動しろとは言いませんが、気を使いつつも経済活動を止めないという意識を持つことも大切なのではないでしょうか。

 これは夢物語なのかもしれませんが、たとえばイベントやスポーツ観戦、映画館や劇場での観劇などでは、閉鎖や無観客にするのではなく、座席の間隔を空けたり、入場者数を制限したり、入り口での消毒や額で測る体温計などを使用した体温測定の徹底やマスク非着用の方の入場制限などで対処出来れば……などと思う次第です。

 目に見えないウイルスを封じ込める為に当然、官民どころか全人類が一丸となった協力が不可欠なのですが、いずれにしても「極端に度を越えた」ものがダメなのではないかと個人的には思います。

今だからこそバイクの利便性の見直しを

 そうした中、一人の「バイク業界に関わる者」として考えるのが、今のような状況だからこそ「バイク」をもっと活用出来る社会にならないかなぁという希望的提言です。

首相官邸のホームページに掲載される「新型コロナウイルス感染症に備えて」の呼びかけ。このすべての感染防止の条件に当てはまる乗り物が「バイク」ではないでしょうか。感染者数や死亡者数を発表するよりも、こうした啓蒙活動を紹介することが重要です(出典:首相官邸)

 現在、首相官邸のホームページを見ると新型コロナウィルスの感染症対策として「密をさけて外出しましょう!」というチラシが掲載されているのですが、現段階で分かっていることが「換気の悪い密室空間」で「多数が集まる密集場所」が新型コロナウィルスのクラスター(集団)発生個所になりうるということ。

 しかし、あえて逆説的なことを言ってしまえば、体が剥き出しで、基本は一人、多くても二人乗りで、それぞれがヘルメットを着用するバイクとは、最もかけ離れたシチュエーションといえるのではないでしょうか? 
 
 またドアノブやエレベーターのボタンなどによる接触感染もグローブを着用したままにして、こまめに消毒や洗濯をすれば、ウイルスの拡散防止に一役買うような気もします。

一時的にでも「バイクの駐車違反を撤廃」を

 2006年より道路交通法と駐車場法が改正され、都市部で二輪車を駐車していると駐車監視員によって立ちどころにバイクが取り締まられるようになってしまったことは記憶に新しいですし、この法律の施行によって日本の社会構造の中で「利便性」がまったくない乗り物となってしまったことは否めないのですが、夢物語ついでの提言をさせて頂けば、この新型コロナウイルスの件が収束するまで一時的にでも「バイクの駐車違反を撤廃」してくれれば、感染の拡大の防止に効果を発揮するのではないかとも個人として思います。

 実際、現状の道路交通法施行令第14条の5によれば「一、歩行者の通行の用に供する路側帯に入つて停車し、又は駐車する場合 当該路側帯を区画している道路標示と平行になり、かつ、当該車両の左側に歩行者の通行の用に供するため〇・七五メートルの余地をとること。この場合において、当該路側帯に当該車両の全部が入つた場合においてもその左側に〇・七五メートルをこえる余地をとることができるときは、当該道路標示に沿うこと」とあります。

 つまり駐車禁止のエリアでなく、広い路側帯の中で左側が75cm確保出来れば駐車違反にならないという理屈なのですが、東京都内に限っていえば、そんな条件の場所は簡単には見当たりません。また垣根や私有地なら違反とならないという話もあるのですが、土地の所有者から通報されれば不法侵入となるでしょうし、現実的には即座に違反のステッカーを貼り付けられるのが実状です。また、二輪車用駐車場も不足しています。

インドネシアにもバイクのパーキングが街中のあちこちに点在します。料金はバイクで2000ルピア(約15円)。無料とまではいわないですが、日本も安価な駐車料金でのインフラ整備が必要な気がします

 対して筆者がこれまで訪れた海外、特に「バイクが市民のアシ」として活躍する東南アジア諸国は駐車場がしっかりと整備され、交通インフラの一端を担っています。タイは基本的にバイクの駐車場は無料、マレーシアも有料駐車場が1日50円に満たない金額ですし、インドネシアも15円ほどです。これは現地と我が国の貨幣価値の違いを差し引いて考えても毎日の通勤にさし障りない金額といえるのではないでしょうか。

 もちろん、我が国の現状を考えるとここまで書いた「バイクを社会の中で活用しよう」という提言は、あくまでも“if”の話なのですが、不特定多数の人が密閉空間を共有せざるを得ない満員電車や公共のバスよりはバイクでの移動の方がウイルスの感染リスクを減少させる可能性が高いでしょう。

 また、社会の中で経済活動をしている人の全員が全員、自宅でのテレワークで済むというワケではありません。遠方の郊外から通勤特急などで会社へ通っている方はこれまでどおり電車を使うべきでしょうが、通勤圏内10kmほどなら原付、20~30kmでも125ccクラスのバイクを活用すれば、車格的に街中でさほど邪魔ではなく、ウイルスの拡散防止に役立つのではないかとも思います。
 
 加えて2006年以前の街の風景を思い起こしてみても、バイクが路上に停まっていることが原因で交通の流れを著しく妨げたということもなかったと記憶しています。歩行者や自転車の通行を妨げたり、人に迷惑がかかるような場所での駐車はもちろん論外ですが、何事においてもお互いを思いやり、マナーを守ることが大切です。
 
 今回の新型コロナウイルス感染拡大に際して、注意すべきことは潜伏期間が長く初期症状が分かりにくいゆえ「知らず知らずのうちに自分が保菌キャリアになってしまう」ことなのですが、普段の行動からそうしたことを想定し、「人に感染させないよう」に心掛けることが重要なような気がします。繰り返しになってしまいますが、やはり大切なのは思いやりとマナーです。

 世間は今、大変な状況ですが、比較的に感染リスクの少ない「バイク」なら現状でも週末にツーリングなどを楽しむことが可能です。ウイルスの拡散を考えるとある程度の行動制限は必要でしょうが、様々なことを想定した上で、変わらずに「バイクに乗る」ことも「バイク好き」である我々が社会の中で出来ることの一つなのではないでしょうか? 

 もちろん、新型コロナウイルスの拡散の収束が第一の優先事項なのですが、これを機にバイクの「利便性」と「魅力」が社会の中で再確認されることを個人として願ってやみません。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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