1989年に誕生し、二輪四輪のレース界を席巻した2台のベースモデルとは!?

日本のレース界が盛り上がりを見せていた80年代、時代を締めくくるにふさわしいベースマシンが二輪四輪に誕生します。今なお活躍するその原点となったモデルとは?

バブル期に誕生した2台のスーパーモデル

 1989年日本はバブル全盛期、バイク、クルマともに後世に強く印象を残すモデルが続々と誕生しました。また、バイクはレプリカブームが盛り上がっており、鈴鹿8時間耐久などロードレースも人気を博していました。

上:カワサキ「ZXR750」 下:日産スカイラインGT-R

 カワサキ「ZXR750」と日産スカイラインGT-Rは、ともに1989年に誕生し、現在もレース界で後継車種が活躍するモデルです。日産スカイラインGT-R(BNR32)は、スカイライン2000GT-R(KPGC110)の生産終了から16年ぶりに市場に導入されたモデルです。スカイラインGT-Rは、数々のレースで勝利を重ねた日産を代表するクルマの系譜です。また、R32は、全日本レース参戦初年度から強さを発揮し、世界中のレースでも席巻することになります。1990年にはホモロゲーションモデルとしてGT-R NISMOが500台限定で発売されています。

カワサキ「ZXR750」(1989)

 ZXR750は、カワサキとして初めて市販化された750ccレーサーレプリカモデルです。タンク上部に配置されたK-CAS(Kawasaki Cool Air System)は、カウル前方からダクトを通し走行風を取り込み、エンジンを冷却するシステムです。

 搭載されたエンジンは、GPX750Rの水冷直列4気筒エンジンをベースにバルブ系にダイレクトドライブ方式を新採用、キャブレターの大径化、クランクシャフトも大幅に軽量化され、フライホイールマスを低減し、最高出力77PS/9000rpmを発生させていました。また初期型からKCISやK-BATLも装備しています。

 新開発されたアルミ製e-BOXフレームは、角型ツインチューブを主に、丸断面のダウンチューブを取り付けたダブルクレードルタイプを採用し、フロントフォークは43mmの正立、角型アルミスイングアームはスタビライザーで補強され、ライバルに引けを取らない仕様で発売されています。

 1991年にフルモデルチェンジを受けたZXR750には、倒立フォークやFCRキャブ、シングルシートなどが装備されたZXR750Rもラインナップ、レース仕様のZXR-7は、TT-F1マシンレギュレーションの最終年となる1993年の鈴鹿8時間耐久レースにおいて、スコット・ラッセル選手、アーロン・スライト選手がカワサキに初の栄冠をもたらしています。

1993年鈴鹿8時間耐久レースで優勝したZXR-7を駆るアーロン・スライト選手(伊藤ハムレーシング・カワサキ)

 鈴鹿8耐優勝の後ZXR750は、SBK(ZX-7)やMotoGP(ZX-RR)に参戦するマシンへと進化、2019年の鈴鹿8耐では、ZX-10RRを駆るジョナサン・レイ選手、レオン・ハスラム選手、トプラック・ラズガットリオグル選手が1993年以来26年ぶりに王者奪還を果たしています。

 カワサキ「ZXR750」の価格は、85万9000円でした。

 ■ZXR750諸元

 全長×全幅×全高:2090mm×745mm×1165mm
 車体乾燥重量:205kg
 エンジン:水冷4ストロークDOHC4気筒
 総排気量:748cc
 最高出力:77PS/9000rpm
 最高トルク:6.7kg-m/6500rpm
 燃料タンク容量:18リットル

【了】

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