Honda FLEET MANEGEMENTシステムが2020年夏に展開へ どんなシステム?
ホンダは法人企業向けの新しい二輪車動態管理サービス「ホンダフリートマネジメント」を導入します。どのような取り組みなのでしょうか。
ビジネス向けバイクの運行管理と安全運転データ解析を一手にまかなう Honda FLEET MANEGEMENTシステムが2020年夏に展開へ
ホンダは、法人企業向けの二輪車動態管理サービス「Honda FLEET MANEGEMENT(ホンダフリートマネジメント)」を2020年夏ごろに展開すると発表しました。

日本ではおよそ40万台ほどの“はたらくバイク”が、今日も郵便や新聞、ヤクルトやピザなどの配達から、警邏や設備点検までさまざまな用途で街を走っています。
これまで事業用の二輪車の安全運行管理は、運転者と事業者のいわば裁量に任せられていました。
安全に運行するためには事業者が独自に安全教育を行ったり、運転者自身のマナーやモラルに頼ったりしなければいけないのが現状でした。また、車両の運行管理も走行距離などによる従来のアナログな手法での管理が一般的です。
ちなみに四輪の貨物自動車の場合は、貨物自動車運送事業法によって貨物自動車運送事業輸送安全規則が定められていて、対象車両はアナログまたはデジタルのタコグラフ搭載、運行管理票の作成と保管が義務付けられています。
今回、電動バイク「BENLY e:」のメディア向け発表会で公表されたHonda FLEET MANEGEMENTは、二輪車に対して初めて本格的に展開される運行管理システムです。近年、さらなる小型化と精密度が高まったTCU(車載通信器)の登場と、すぐれた解析システムの開発によって二輪車への搭載が可能となりました。
このような運行管理システムは従来、四輪や重機向けには存在していました。例えば、コマツのKOMTRAXやパナソニックのDRIVEBOSSなどです。
事業用二輪車の場合、このような管理システムは単に走行軌跡や距離、時間などを記録するだけでなく、安全運転につながるデータのニーズがありました。
そこで、Honda FLEET MANEGEMENTはスマートドライブ社の走行データプラットフォームを用いて、(1)稼働エリアの最適化や待ち時間の可視化・ルート最適化につなげる車両稼働データ解析、(2)安全運転効果の可視化や安全運転アドバイスにつなげる安全運転解析、(3)保険会社との共同プロジェクトによる運転データ解析が行えるということです。

これらのデータ解析によって例えば、
・リアルタイムで位置情報把握
・運行特性レポートでヒヤリハットを防ぐ
・ヒヤリハット事例を地図上にマッピング
・自動で日報を作成、車両の保険やメンテナンス管理が可能
などのデータを得られるとのこと。もちろん、ガソリン車にも搭載可能だそうです。
Honda FLEET MANEGEMENTによって得られる客観的なデータを可視化することによって、より安全なバイクライディングにつなげられることでしょう。
現状、企業向けのシステムになっていますが、将来的には個人向けに特化したシステムの登場も期待したいですね。
【了】
Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)
モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。