少年野球の監督が乗る原付姿は実にカッコいい! ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.44~

体育会系野球チームでは、監督の存在は絶対!少年野球チームの監督は、あのライディングフォームで球場を後にします。それは威嚇でも求愛でもなく、只々カッコいい姿です。

原付に乗る監督はライディングフォーム!

 以前、近所の運動公園でジョキングしていたときのこと、施設は県営だったからたいそう立派で、野球グラウンドが4面ある、そのすべてのダイヤモンドで草野球が行われていた。

 4面に分かれて行われている試合はそれぞれが熱気に溢れていた。少年野球と思しきチームはまるで甲子園を目指しているのかプロ野球選手を夢見ているのか、とても草野球のレベルではなく、規律正しい。育ちざかりだから、選手の体格は千差万別で、ヒョロヒョロッと背の高いのがピッチャーで、内山くんみたいなちょっと小太りなのがキャッチャーである。まずは身長から投手を決めて、体格から捕手を選出するのは、古今東西、野球の基本系のようである。となれば、ショートやセカンドは色の黒いいかにも運動神経が良さそうな子供であり、あまり球が飛ぶことのないライトは監督の優しさを享受した3月生まれであろう。

少年野球の監督は立派に見える

 それにしてもまだまだスポーツ少年は健在のようで、監督が号令をかけると一目散に集まってくる。そして横一列に並んで敬礼をする。後ろ手に組んで監督の指示を仰ぐのだ。ほとんど体育会である。

 そんな姿を、選手の数だけいるステージママがスタンド見守る。両手で拝むようにハンカチを握りしめ、我が子の一挙手一投足に熱い視線を送る。将来の大谷翔平を夢見て、将来の佐々木朗希を託しているのは明らかだ。

 そんな体育会系野球チームでは、監督の存在は絶対である。選手の起用も観測の采配次第だから、権力はそこに集中する。ステージママの熱い視線の先は我が子ではなく監督にあるのかもしれない。どこか媚びるように潤んで見えるのは気のせいか。それだけに、監督は立派に見えるのである。
 
 試合が終われば、選手とステージママが深々と監督に頭を下げる。そして颯爽と原チャリに乗って走り去っていく後ろ姿を見守るのである。

 その姿を僕も眺めてハッとした。暴走族のあの大股開きのライディングフォームなのだ。

 原チャリの大股開きライディングの関する考察をしたのが先週のこと(木下隆之の、またがっちゃいましたVol.43)。股を開く理由は、襟巻きとかげ同様に威嚇的効果を生み、孔雀が羽を広げるように求愛行動であり、そして鳶職のニッカポッカのように、自らの行動半径を知るためであり、風を感じるためだとした。それはガテン系だけでなく、草野球の監督にも当てはなるのだ。

 と思ったのも束の間、本当の理由に気がついた。

 監督は子供たちの使ったボールをカゴに入れて持ち運んでいた。保温機能付きの弁当箱も持参していた。そいつをスクーターの股に置いて走る。すると自ずと大股開きになるのである。それは威嚇でも求愛でもなく、子供たちの荷物を運ぶためなのだ。だからカッコよく見えたのかもしれない。

 ともあれ、日曜日の草野球の監督と原チャリは、妙に似合う。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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