重要なのは「気持ちイー」こと! SP忠男の目指すモノづくりとは
高性能なバイク用オリジナルマフラーで有名な、スペシャルパーツ忠男。その実質的な責任者である大泉 善稔さんに、SP忠男で働き始めた経緯やモノづくりについて、話を聞いてきました。
モトクロスチャンピオンに憧れて入社したSP忠男で、気付けば40年
高性能なバイク用オリジナルマフラーで有名な、スペシャルパーツ忠男。その代表である、元ヤマハワークスのモトクロスチャンピオン、そしてSP忠男レーシングチームの代表として、全日本ロードレースチャンピオンやWGP(ロードレース世界選手権)ライダーなど、多くのトップライダーを排出してきた鈴木 忠男さんの意志を受け継ぎ、実質的なSP忠男の責任者ともいえる 大泉 善稔さんに、SP忠男で働き始めた経緯やモノづくりについて、話を聞いてきました。

―――まず、大泉さんがSP忠男で働こうと思ったきっかけを教えてください。
僕、モトクロスが好きで、忠さんはモトクロスのチャンピオンなので、入ったらチャンピオンになれると思ったんですよ(笑)。
でも、入ってみたらお店は土日も仕事で・・・。レースの日は仕事だっていうことを知らなくて(笑)。
当時、練習は行ってたんだよ?練習は。金曜日だとかに練習へ連れて行ってもらえたんだけど、レースにはいつ出れるのかなって思ってたら、土日は仕事だからレースに出れなかったんだよね。
まあ、もともとモトクロスの素質もなかったので・・・。いまでも、モトクロスは好きだけど、最初はモトクロスがやりたくて入ったかな。
でも、忠さん(鈴木代表)はバイクに乗らせたら天才だから少し話は違ってきちゃうけど、僕らは普通の人間なので、乗り辛いものは乗り辛いし、何かイジると速くなるとかをかなり経験しているので、そこの面白みをずっと探求していたら、それが楽しくなっちゃって(笑)。気付いたら40年経っちゃった感じかな。
―――SP忠男の製品ラインナップは、どのように決めているんですか?
商品の企画は思い付き(笑)
市場でこれが売れているからこの製品を作ろうというパターンよりも、この商品が作りたいという気持ちとか、ユーザーからの要望で新しい商品を企画することがほとんど。
市場の動向をまったく掴んでないといえば、阿保みたいになっちゃうけど、でも市場で人気があるとかがメインではないね。このバイクは面白そうだから、うちでマフラーを作ってみようみたいな。
例えば、忠さんがMVアグスタを買ってきたけど、商売を考えたらそこには手を出さない。ほかにも、KTMだとかトライアンフだとか、商売だけを考えていたらやらなかったけど、そのバイクが面白いと思ったら、製品を企画することが多いかな。

―――では、ユーザーからの商品企画のリクエストも受け付けているということですか?
基本的に僕らのいまのコンセプトは、マフラーなどのアイテムを変えた時の爽快感だとか、心地よさなんかを売りにしているので、それを求めるライダーはリクエストをくれることもあります。
創業40年になるんですが、その基本的なコンセプトはずっと変わっていないので、過去に作った僕らのマフラーを付けていて、「あの感覚が忘れられないから、いま乗ってるバイクにも付けたいんだけど」っていう人が結構多いですね。
そういった人からのリクエストで、新たに製品を企画するってことはあります。
―――ユーザーからのリクエストで新たに製品を企画すると、かなりの値段になってしまうのでは?
ユーザーからのリクエストで、ワンオフで作るわけではないですよ。ユーザーのリクエストから量産する製品を企画するから、それなりの本数は作ることになるので、そこまで高額になることはないかな。
それが古い車両など、かなり特殊なバイクだったりすると、なかには友達を集めて「何十本単位で作って欲しいんだけど」っていってくる人もいて、そういう時は作ることもあるけど、そういった依頼で作るとしても、結局は量産で作ることになりますね。
量産しないと、まともに開発をするのに2か月から3か月ぐらい、大の大人が何人かで作るので、開発費用がそれなりにかかってしまうので・・・。