バイクのタイヤの空気圧適正値はいくつなのか?ベストな空気圧を探る

バイクのタイヤ空気圧は、高ければタイヤの転がり抵抗が減って燃費が良くなり、低いとタイヤ接地面が増えてグリップしやすいと一般的に云われます。果たして、ベストな空気圧とは、どのあたりなのでしょうか? バイクと路面を結ぶタイヤの大事な要素である「空気圧」について、正しい知識や調整方法、点検すべきインターバルについて考察します。

バイクのタイヤの空気圧はいくつがベストなのか

 バイクのタイヤの空気圧はいくつがベストなのか。これは、バイクの排気量や形状などによって大きく異なり、一般的にメーカーがバイク毎に指定する空気圧の範囲は、1.5kpa(1.5kgf/?または1.5Bar)~3.0kpa(3.0kgf/?または3.0Bar)と幅広いのが実情です。自分のバイクの適正な空気圧は、車体に貼り付けられたステッカーに、タイヤサイズと共に適正値が記載されています。また、サービスマニュアルに記載されて数値を確認してください。

バイクのタイヤの空気圧はいくつがベストなのでしょうか

 ちなみに、タイヤの空気圧を示す単位は、日本では主に圧力単位の「kpa(キロパスカル)」か「kgf/cm2(キログラムフォース)」、海外製品ではヨーロッパで用いられる「Bar(バール)」などがあります。実際には微妙な違いはあるものの「1kpa=1kgm/cm2=1Bar」と思っても間違いありません。見慣れない単位であったとしてもタイヤ空気圧の換算値としては、調整時に、この数字を認識できれば問題ありません。

レース走行用タイヤの剛性は、1.8Bar~2.1Barと高く設計されています

 ただ、レース走行用タイヤは、用途がサーキット走行と決まっているため、タイヤそのものの剛性が高く設計されており、欧州大手のミシュランタイヤでは1.8Bar~2.1Barと低めの指定になっています。これはサーキットのような過酷な環境において使われる際に「タイヤの発熱」で温まったときに、はじめて理想の空気圧になるように設計されているからです。

 そのタイヤの空気圧調整の効果を利用した走行をする特殊な環境「オフロード」では、同じくミシュランタイヤの純正指定空気圧でも1.2Berとかなり低めの設定ですが、これはタイヤの接地面積を上げてグリップ性能を重視しているためです。

「オフロード」は、空気圧を低めにし、タイヤの接地面積を上げてグリップ性能をあげます

 実際に空気圧が低いタイヤの悪路走行を見ると、舗装路と違い速い速度を必要としない悪路で、地面にべったりとブロック面が押しつけられ、接地面が広く、路面に対して高いグリップが得られ、走破性が向上します。

 サーキットやオフロードのような特殊な環境以外でも、タイヤ空気圧が高いことや低すぎることでバイクの挙動がどのように変わるのか、正しい空気圧の調整手順についても理解しておきましょう。

タイヤ空気圧の調整手順と重要な注意点

 空気圧の定期点検はタイヤの性能を維持するために不可欠です。バイクの多くは、内圧が漏れないようにインナーライナーやゴムチューブを利用しているタイヤを装着します。しかし、このゴムも空気をまったく通さないわけではなく、目に見えない僅かな隙間から空気は少しずつ漏れています。

空気圧の定期点検はタイヤの性能を維持するために不可欠

 タイヤメーカー大手のブリヂストンでは、タイヤの内圧は1カ月に10~20kpa程度下がる可能性があるとしています。また、空気圧の不足がタイヤの損傷につながる恐れがあるとして、ミシュランでは2週間に一度のエアゲージによる定期点検を促しています。

 空気圧の正しい点検方法は、タイヤが冷えている状態で行わなければいけません。ツーリングなどの走行直後のタイヤは、発熱して空気が膨張することで普段よりも高い数値を示してしまう恐れがあるので、乗車前の冷えた状態における測定が必須なのです。

 タイヤの空気圧の調整は、ガソリンスタンドで貸し出しされているコンプレッサー式の空気入れを利用が便利です。もちろん自宅でも、市販のエアゲージと自転車用の空気入れで作業はでき、指定された数値になるまで空気を入れ、もし入れ過ぎたときにはバルブから空気を抜いて調整します。

 基本的にはバイク毎に指定されている空気圧に合わせることが大前提です。ところが規定値よりも高いときや低いときにはどうなるのか。顕著なのは高めのときには乗り心地が硬く感じられ、タイヤが立つことで接地面が少なくなるためグリップ力が低下すると言われています。しかし、コーナーでの旋回性能が上がること、転がり抵抗の減少による燃費の向上に繋がります。

 低めの時は、タイヤがたわむことで路面からの衝撃がライダーに影響しにくくなり、乗り心地は良くなった印象を受けます。接地面が広がることでグリップ性能が上がったように感じますが、転がり抵抗が増えることでの燃費の低下や取り回しに重さを感じるようになるなど、空気圧ひとつでバイクの挙動は大きく変化します。

 サーキットでもこの特性を考慮して、タイヤの空気圧はセッティングメニューの重要な要素として捉えています。ライダーの体重やコースコンディションに合わせて空気圧を加減して、旋回性やグリップ性能の調整に用いられるのです。

 また、タイヤの適切な空気圧は、利用するシーンによって異なります。例えば一般的な利用法においても「高速道路を利用するとき」には普段よりも高めにしておかねばなりません。その理由は、空気圧が低いタイヤで高速走行すると、たわみから表面部分が波打つ「スタンディングウェーブ現象」が起きやすくなるからです。

 この「スタンディングウェーブ現象」が起こると、タイヤが熱を持ち内部損傷して破裂(バースト)してしまう危険性をはらんでいます。JAFではバイクの救援要請のうち33%を占めるタイヤのパンクの予防のために「空気圧不足」状態での高速道路走行は避けるように呼びかけています。

 低めの空気圧の方が乗り心地もよく、グリップ性能も上がったように感じるという人もいるかもしれません。しかしながら、タイヤ大手のブリヂストンでは空気圧は指定数値に合わせて乗ることで、バイク本来の性能を発揮するとしており、低いだけでなく高いプレッシャーについても空気圧変更は一般公道走行において推奨していません。

メーカーの推奨する2週間~1カ月の定期点検で、空気圧を指定数値に合わせましょう

 メーカーの推奨する2週間~1カ月の定期点検で、空気圧を指定数値に合わせておくことがタイヤの性能や寿命を守るために有効です。が、ガソリンを給油するときに一緒に空気圧を点検する場合は、走行が少なくタイヤが温まっていないときに行うようにしましょう。

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 タイヤはバイクが路面にコンタクトするための唯一の重要なパーツであり、空気圧を加減することで乗り心地、ハンドリング性能、燃費、さらに云えば加速・制動性能に大きな影響を与えます。タイヤそのものが高性能であってもそのポテンシャルを最大限に発揮するには、前提として「適切な空気圧である」ことが必須です。指定された空気圧の範囲に設定することで、バイク本来の高速域を含めた走行性能や操安性、負荷への耐久性能が発揮できる。このことを忘れないようにしましょう。

【了】

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