スズキのラグジュアリースクーター「バーグマン400」 あらためて乗る2020年型 唯一無二の特徴は2021年型にも継承される

排気量400ccクラスのビッグスクーター、スズキ「バーグマン400」が2021年型となりました。国内メーカー唯一の存在となった特徴を、2020年型にあらためて試乗して確かめます。

もはや孤高の存在、クラス唯一のラグジュアリースクーターが続投決定

 スズキ「BURGMAN 400 ABS」(以下、バーグマン400)にあらためて試乗したところ、じつにトラッドなビッグスクーターでした。クルマに例えたら、街でよく見るミニバン、トヨタ「ノア・ボクシー」(日産「セレナで」もホンダ「ステップワゴン」でもいいのですが)のような存在に近いと思うのです。

スズキ「バーグマン400」(2020年型)に試乗する筆者(松井勉)

 まずデカイ。排気量400ccというクラス関係無しに、立派な面で構成された車体には押し出しがあり、そしてミニバンのシートアレンジの豊富さに比肩する商品性として、シート下に容量42リットル、ライダーの膝前にある左右のコンパートメントを設けるなど、ラゲッジルームをしっかり隠し持つ2輪としての意外性、大型スクーターでは当たり前ですが、便利だろうな、とシートを開けてまずは見入ってしまいます。

 それでいて400クラスという枠を逸脱せず、普通2輪免許の人も、大型2輪免許の人も「バーグマン400」の利便性を共有できる。これもポイントです。「えー、250で充分じゃん」と、思いますよね? でも、走らせると400が持つ排気量のゆとりが正義だと解ります。

 かつてスズキのビッグスーターセグメントの主役と言えば「スカイウェイブ」時代も含め「バーグマン250」でした。2000年代半ばにビッグスクーターブームが爆発。2輪ユーザー増加に貢献したと同時に、刺激的なカスタムも登場し、ストリートカルチャーにも浸透。日常の足とは別の軸足も手に入れます。

 そのライディングポジションは足を前に投げだし、低いシート、届きやすい場所にある左右のグリップに手を伸ばせば、ちょっとリラックスした姿勢が印象的。ライダーが作るフォルムとテールエンドの斜め上に突き抜けるように尖った造形のコンビネーションこそ、一時代を築いたあの「ビグスク」ワールドなのでは、と思うのです。

シート高755mmの車体に身長183cmの筆者(松井勉)がまたがった状態

 かつて「バーグマン」シリーズには150、250、400、650が存在しましたが、現在は200と400の2機種展開となっていて、街中目撃率で「バーグマン200」はホンダ「PCX」シリーズに次ぐ市中占有率なのでは、と思うほど走っています。

 では400は? 正直あまり見ない気もしますが、今回あらためて「バーグマン400」(2020年型)に乗り、200の倍ある排気量の恩恵がとても大きいことを実感。滅多に2人乗りをしないなら200で充分ですが、時々2人乗りをする、高速道路も走る、遠出もするのであれば、絶対に400だ、と。

 それは、やはり余裕の走りがもたらす気持ち良さだと言えます。発進から「頑張ってる感」はさほどなく、速度の乗りは速い。登り坂を走っても、その存在すら感じさせません。

 向かい風の高速道路を走ると250クラスでは力不足を感じますが、400ではそこも余裕です。大型バイクと一緒にツーリングに行けば置いてけぼりを食うかも知れませんが、400クラスのバイクと一緒なら遅れることはないでしょう。それがアクセルひとつで手に入るスクーターは、逆説的に操る悦びかもしれません。

スズキ「バーグマン400」(2020年型)に試乗する筆者(松井勉)

 試乗したモデルは2020年モデル(2019年継続カラー)です。すでにスズキのモデルラインナップは2021年型にスイッチしていますが、嬉しいことに大々的な変貌を遂げるよりは環境規制に適応することを中心にアップデイトが計られた結果、今まで通りの「バーグマン400」でいてくれたのです。

 メーターパネルも右に回転計、左に速度計というアナログメーターと、中央にLCD多機能モニターが加わる見た目まで一緒。その点もコンサバ路線をゆくミニバン的。むしろ変化より長くデカイ、ビッグスクーターの代名詞的スタイルを大切にした感覚です。

 少し「バーグマン400」のホメポイントを紹介します。まず前輪が15インチで大きく、それが安定感とハンドリングに貢献。後輪は13インチと小径とすることで、シート下ラゲッジの確保に貢献しています。

 スクーターに多いリア2本ショックではなく、リンク式モノショックとしてサスペンションユニットを車体中央に近い部分に搭載しています。目方としては218kgと軽くはありません。しかし走ってみると、スポーツバイクのようにマスの集中化を意識した車体造りであることが解ります。

 なによりDOHC4バルブヘッドの水冷単気筒エンジンがもたらす感覚は、ダッシュ力と移動時の余裕が、乗り物としてのおおらかさを乗り手に届けます。これは250クラスと比較してアクセルをひねる角度が常に少なくて済む、そこなのです。

 確かに250クラスのエンジンと比較すると、爆発の威力が大きい分、振動のパルスを感じます。ドコドコ感はありますが、嫌な振動ではなく許容範囲。それすら乗り手の優越感に変換するような走りがあるのです。

シート下には容量42リットルのトランクスペースを確保しているが、最大限収納するには技を要する

 しかし「じゃ、その便利なラゲッジルームに何を詰めて出かけるの?」と問われたら、少し答えに窮します。と言うのも、ホームセンターで売っている押し入れ収納ボックスのように、長方形の深いバケツのような、何でも飲み込むタイプではないからです。

 リアタイヤや補機類を避け、さらにフタとなるシート裏の形状もあり、収納には技を要します。自分(筆者:松井勉)なら迷わず「GIVI」のトップケース的外付けトランクを付けてしまうだろうな、と思います。いや、もちろん、アディショナルにですが。

 また、例えばステップボードの足を下ろす部分に切れ込みがあったり、防犯ロックのループを掛けやすいよう車体が工夫されていたり、リアルな日常もデザインに落とし込んでいる「バーグマン400」は、やっぱり気軽で便利なスクーターとして存在し、海外でも人気の高いヤマハ「TMAX」が持つプレミアム路線とはまた違う存在です。

 250なら車検がない、400だと車検がある、という境界線が存在するのは確かですが、乗って納得。250の役割を200に託し、400を存続させたそのワケが、走りに表現されていたのです。

※ ※ ※

 参考まで、現行モデルの「バーグマン400 ABS」(2021年型)の価格(消費税10%込み)は84万7000円、今回試乗した2020年型は81万4000円でした。

【了】

【画像】型落ちになったスズキ「バーグマン400」(2020年型)の詳細を見る(13枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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