具体的にどんな点が変更されている? 排ガス規制に対応したマイナーチェンジ
2022年10月1日から、2022年の排ガス規制が適用される予定となっています。この施策に対応するために、マイナーチェンジが施されるモデルもあれば、対応できずに生産終了へ追い込まれたモデルもあるなど、メーカーの対応は様々です。この「排ガス規制に対応」するというのは、具体的にどういった点が変更されているのでしょうか。
排ガス規制ってどんなもの?
2022年10月1日から、新たな排ガス規制が適用される予定となっています。
この施策に対応してマイナーチェンジが施されたモデルの他に、対応できずに生産終了へ追い込まれたモデルもあるなど、メーカーの対応は様々ですが、この「排ガス規制に対応」するためのマイナーチェンジが施されたバイクは、具体的にどういった点が変更されているのでしょうか。

排ガス規制は、国土交通省が定める道路運送車両法によって規定された、排気ガス濃度を規制する施策のことです。
測定される排気ガスには、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の3種類があり、車検時に保安基準の数値に基づいて検査がおこなわれます。ただし、規制が施行される以前に生産されたバイクは、年式によって適用される保安基準が異なるため、中古車や旧車などは、排ガス規制が厳しくなったら乗れなくなるということはなく、これまでどおり公道を走行することが可能です。
排ガス規制が施行されることになったきっかけは1960年代、クルマの排気ガスに含まれる有害物質のひとつである一酸化炭素(CO)の人体への悪影響が日米で懸念されたこと。現在ではそれに加え、大気汚染や地球温暖化などの環境問題に対応するために、排出ガス規制が強化されつつあります。
そして2022年の排ガス規制は、「令和2年排出ガス規制」に基づいた新基準で、EUの「ユーロ5」にほぼ準拠したもの。ユーロ5は、欧州の二輪排出ガス規制の総称で、2020年1月1日からスタートした規格です。

排ガスが問題になり始めた当初の基準値や測定方法は国によって異なりましたが、2014年頃から世界統一基準が採用され始め、今回、日本の新基準が、グローバルスタンダードに合わせる形となりました。
前基準であるユーロ4では、クランクケースのエミッション対策やキャニスターの装備(燃料蒸発ガス規制)などが求められ、今回のユーロ5では排出ガスの浄化装置の劣化を監視する「車載式故障診断装置(OBD-2)」の搭載が、新たに義務化されることになります。
車載式故障診断装置(OBD-2)は、クルマの自己診断をおこなうシステムや機器のこと。クルマはコンピューターで制御されており、電気信号で管理される箇所も多いため、目視では確認できない部分が増えていますが、そんな不具合を確認できるシステムがOBDです。
このOBDでエラーを検知するには、エラーを検知するためのセンサーも追加する必要があるため、どうしてもコストアップの要因となってしまいます。このように、規制に対応するにはバイクを構成する部品の増加や、ECUやカプラー類の改良が必要になるため、コストがさらに上乗せされるというわけです。
さらに、義務化された装置を取り付けることも必要ですが、当然排気ガス濃度の基準をクリアする必要もあるため、設計が古いと対応が難しく、エンジンの設計そのものを見直す必要がある場合も出てきます。
そのため、厳しい排出ガス規制に対応するためには、開発や製造にかかるコストアップは避けられず、生産終了に追い込まれてしまう車種が後を絶たないのが現状。人気のロングセラーモデルにも関わらず、継続できずに生産終了となる車種が存在する理由は、この点にあるのです。

例えばヤマハ「SR400」は、シンプルでクラシックなスタイルなど、変わらない個性が評価され、43年間販売されているロングセラーモデルでした。しかし、強化された排ガス規制や安全装置搭載義務などへの対応が難しくなったとし、2021年に生産を終了しています。
さらにホンダは、デビューから30年目となる2022年4月28日に、ネイキッドブームを牽引してきた「CB400SF/SB」の生産終了を正式に発表しています。
2022年の排ガス規制に適合するためには、排気系の刷新や燃焼効率を高めるためのエンジンの改良、さらに義務化された車載式故障診断装置(OBD2)搭載のための電装系の変更などが必要になるため、これらは仕方のない生産終了といえるかもしれません。
しかし、30年の歴史を持つCB400SF/SBの生産終了は、多くのライダーに衝撃を与えました。
このほかにも、国産バイクメーカー4社のラインナップの内、1割ほどが2022年10月末をもって生産終了になる見込みで、その裏には規制に対応するためのエンジンの改良や義務化された装備のコストが関係しているようです。
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排ガス規制に伴い、生産終了を余儀なくされるバイクも少なくありません。今後も規制は厳しくなる一方だと予想されており、エンジンは電動化の一途を辿ることになるでしょう。
これから発売されるバイクがどのようなものになるのか期待は高まりますが、逆に現在の純ガソリン車を手に入れることができる機会は少なくなってしまう可能性が高いため、今のうちに購入しておくのが良さそうです。





