発電機に徹した最新のエンジンは、夢のパワーユニット!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.166~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、日産の新型「エクストレイル」のエンジン技術が、アメリカンバイクに転用できないか? と言います。どういうことなのでしょうか?

発電機に徹した最新のエンジンは、夢のパワーユニット!?

 日産の新型「エスクトレイル」が誕生した。ミドルサイズのSUVであり、「タフギア」をモットーとしていることからも想像できるように、クロスカントリー色の強さが人気のハイブリッドカーだ。日産伝家の宝刀「e-POWER」を搭載している。

日産新型「エクストレイル」のパワートレインイメージ
日産新型「エクストレイル」のパワートレインイメージ

 エンジンは発電機としての機能に徹し、それが蓄えた電力でモーター駆動する。それでいて、新型エクストレイルの最大の魅力はそのエンジンにあるいうから不思議である。

 直列3気筒1.5リッターなのだが、なんと世界初の「可変圧縮比ターボ(VCターボ)」と言うから開いた口が塞がらない。コンロッドの中間あたりにリンクが挟まっており、そのリンクの角度を調整することで、ピストンの上がり幅をコントロールする。

 低回転域では強く上まで押し込むことで圧縮比を高める。高回転域ではピストンの上昇を抑えることで圧縮比を下げる。そのぶん不足したパワーはターボ過給圧を高めることで補うのだ。これが凄いのである。

 直列3気筒でありながら、V型6気筒のような滑らかさだ。1.5リッターでありながら2.8リッター相当のパワーを絞り出す。それでいて燃費は1.5リッター車以下。夢のパワーユニットなのだ。

 そこでにわかに想像したのは、バイクに転用できないかなぁ、ってこと。燃費は良いし、出力も期待できる。高回転化は苦手だから、ハーレー・ダビッドソンのような、アメリカンバイクに適しているのではないか、と想像したわけだ。排気量500ccあたりのVツインで、1500ccのV型6気筒並みの低振動とパワーが得られるのだ。

 というアイデアを友人に伝えると一刀両断、却下されてしまった。

「誰がハーレーに低振動を求めるっていうわけ?」

ハーレー・ダビッドソン「Iron 883(アイアン883)」に跨る筆者(木下隆之)
ハーレー・ダビッドソン「Iron 883(アイアン883)」に跨る筆者(木下隆之)

 おっしゃる通りです。低回転域でズコズコとハラワタに響く振動が魅力である。それを削いでしまったら、それに乗る意義がわからないというわけだ。

 でもね、1500cc級のトルクが得られて、それでいて500cc並みの燃費……可能性はあると思うんだけどなぁ……と、妄想は止まらない。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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