「GOKISO(ゴキソ)」の超精密部品製作技術を活かしたハイスペックな自転車用ハブとは

超精密工作機械メーカーであり、超精密金属切削加工、航空機ジェットエンジン用軸受の生産を手掛ける株式会社近藤機械製作所から生まれた自転車製品ブランド「GOKISO」の製品には、どのような特徴があるのでしょうか。

超精密な自転車用ハブ、独自の哲学で「本当に良いもの」を提案

 愛知県の近藤機械製作所という機械加工を行う会社では、超精密な加工技術によって、航空機エンジン用部品などを手掛けています。このジェットエンジンの軸受け構造から着想を得て、高性能自転車用ハブの開発に着手したのが2009年末、ブランド名を「GOKISO(ゴキソ)」とし、2010年初頭にプロジェクトチームを発足しました。

ゴキソのスルーアクスル用ディスクブレーキハブ(前後)
ゴキソのスルーアクスル用ディスクブレーキハブ(前後)

 エンジンの主軸に使われているベアリングは、航空機の中でも最重要部品と位置づけられています。航空機エンジン同様、自転車のハブも人の命を預かる最重要部品と捉え、主要部品にはシリアルナンバーを振り、厳密な管理のもと製作しています。

 ハブを含め、自転車パーツには何かと「軽量化」という性能がつきまといます。この常識を疑問に感じ、設計ノウハウ、加工技術を活かし、独自の哲学を持ったものづくりから「本当に良いもの」を世に提案するのがGOKISOのポリシーです。

 そんなGOKISOから、新たにスルーアクスル用ディスクブレーキハブが発表されました。これは近年ロードバイクのブレーキ構造がディスクブレーキに移行していることから、そのトレンドに追従したものです。

 最大の特徴は、大きくは弾性体構造と球面ワッシャーでしょう。弾性体構造は、外圧でフランジが歪んでも、ベアリングが歪まず真円を保ち続ける構造のことです。ハブボディに対してフランジ部分をフローティングさせ、路面からの衝撃や不要な外部応力を弾性変形させることで衝撃を吸収します。

 試作に6年という時間を費やし、回転性能やベアリングの耐久性を犠牲にすることなく、軽量化も実現しています。

ゴキソ初のディスクブレーキ用高精度ハブは、いったいどのような乗り心地を提供するのか
ゴキソ初のディスクブレーキ用高精度ハブは、いったいどのような乗り心地を提供するのか

 また、フロントフォークやリアエンドの平行を出すための球面ワッシャー&ナットは、従来ハブから引き続き採用しています。これは自転車フレームにホイールを取り付ける際に、負荷や歪みの影響を受けない球面形状ナット&ワッシャーで、フレームの歪みとは無関係に、ハブシャフトを真直に保ち、軸受にストレスを与えないことで摩耗や損傷を低減し、回転をよりスムーズにしています。

 一生に一度は、世界でも唯一と言える高精度なジャパンメイドのホイールを使ってみたいものですが、前後ハブのみで価格(消費税10%込み)は38万5000円、ホイールセットは58万800円です。デリバリー開始は2023年2~3月予定です。気になる方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

【画像】GOKISO(ゴキソ)の技術の粋を結集した自転車用ハブをもっと見る(5枚)

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Writer: 山本健一

サイクルジャーナリスト(人力バイクのほう)。ジャーナリスト歴20年、自転車競技歴25年の公私ともに自転車漬け生活を送る。新作バイクレビューアー、国内外レースイベントやショーの取材、イベントディレクターなど、活動は多岐にわたる。

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