国民的人気のダートラで栄光に輝くインディアン 「FTR」の血統を受け継ぐロードスポーツ「FTR S」にあらためて試乗!!
2022年11月にインディアンモーターサイクルの2023年モデルラインナップが発表され、フラットトラックレーサーの血統を受け継ぐ「FTR」シリーズがより充実しました。ここでは2022年に登場し、フロント19/リア18インチのホイールサイズを前後17インチ化した、ロードスポーツとしての完成度を高めた「FTR S」にあらためて試乗します。
フラットトラックで強い「FTR750」
アメリカのバイク乗りたちの間で根強い人気があるダートトラックは、1920年代から行なわれている伝統的なレースです。楕円のコースを左回りに周回して順位を競いますが、右コーナーとジャンプのある「TT」というレースも選手権には組み込まれています。

競技人口も多く、どんなに小さな町にもフラットトラックのコースがあると言われているほどアメリカでは浸透していて、週末になればローカルレースも開かれます。筆者(青木タカオ)も見に行ったことがありますが、地元のおじいちゃんやおばあちゃんも応援し、日本で言うところの草野球みたいな雰囲気です。アメリカンレーシングの根底に、フラットトラックがあることが分かります。
その全米選手権(American Flat Track)への注目度はひときわ高く、フロリダ州デイトナで3月に幕開けした2022年シーズンは全19戦が行なわれ、そのうち8戦はダブルヘッダー。そこでマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ6連覇を達成したのが、「インディアンモーターサイクル」(以下、インディアン)です。スーパーツインズクラスで「FTR750」を駆るジャレッド・ミーズ選手が、通算8度目のチャンピオンに輝きました。
ダートトラッカーの血統を、現代に受け継ぐ
フラットトラックレーサー、インディアン「FTR750」の血統を受け継ぐ公道向けモデルが「FTR1200」シリーズです。スチール製トレリスフレームに、バンク角60度の水冷VツインDOHC4バルブエンジンを搭載します。

「FTR750」のパワーユニットは53度Vツイン、フレームもダブルクレードル式ですから、「FTR1200」はいわゆる「レーサーレプリカ」ではありません。ただし、トラクション性能に優れるエンジン、俊敏なハンドリングはそのネーミングに相応しいもので、前後ホイールサイズを17インチ化し、ロードモデルへのキャラクターをより強めた「FTR S」(2022年型)は、よりスポーティな走りが味わえます。
前後ホイールを17インチ化した、ロードスターへ
「FTR S」のシート高は780mmで、身長175cmの筆者の場合、片足立ちならカカトまで地面にベッタリ。足つき性は良好と言えるでしょう。

アップハンドルのグリップ位置は高く、視線も高く疲れにくいアップライトな乗車姿勢です。上半身がわずかに前傾し、少しだけ後方に配置されたステップのおかげで、ネイキッドスポーツ然としたライディングポジションとなっています。
伝統的な車体イメージに、電子制御も充実
排気量1203ccのエンジンはボア×ストロークを102mm×73.7mmとし、最大トルク120Nmを6000rpmで発揮します。中高回転でパワフルかつレスポンス良く回り、レイン、スタンダード、スポーツの3種を設定するライドモードでスポーツを選べば、ひときわピックアップとダッシュが鋭いものになります。
それでいて、低回転域を使ってゆったりと走らせることも許容し、巡航も苦手にしません。クルーズコントロールも装備し、高速道路を使った長距離移動もこなしてくれます。
電子制御も充実し、リーンアングルに対応したコーナリングABSをはじめ、スタビリティーコントロールやトラクションコントロール、ウィリーコントロールなどを4.3インチのタッチスクリーンで操作できます。
ライバルは、ハーレーだけじゃない
ZF Sachs製の前後サスペンションはフルアジャスタブル式ですし、ブレンボ製のブレーキシステムもフロントは4ピストンラジアルマウントキャリパー+大径320mmローターと申し分のない装備内容です。

テールエンドを大胆にカットした軽快な車体に、右2本出しマフラーが跳ね上げられてセットされ、見た目もじつにスタイリッシュにまとまっています。
アメリカンレーシングの匂いをプンプン漂わせつつ、洗練された外観で走りもスポーティ。同じ米国ブランドであるハーレーももちろんですが、欧州勢のハイパフォーマンスモデルたちもライバルとなってくるのではないでしょうか。

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

















