自分の体格にフィットさせる調整を

　日常生活で活躍する「ママチャリ」の愛称で呼ばれる自転車は、「一般車」や「シティサイクル」、または「軽快車」と呼ばれることもあります。その名の通り「軽やかに」走行することを目的としており、普段の生活の中でいかに便利に使えるかを追求しています。

　スポーツタイプの自転車との違いとして、フレームやハンドルの形状もさることながら、サドルも大きく異なります。

　スポーツタイプのサドルはスピードを出すために軽さを優先しており、種類によっては「本当に座れるの？」と疑いたくなるような形もあります。

　一方のママチャリでは、ウレタンなどのクッション材が使われており、肉厚＆ふかふかで座り心地は抜群。最近では低反発素材が使われていることもあり、快適な座り心地となっています。

　ただ、それでも長時間乗っていたり、街中で何度も停車と発進を繰り返していると、座面に接するお尻が痺れたり、痛くなってしまう人もいるでしょう。解消するにはさらに肉厚＆ふかふかのサドルに交換するのもひとつの方法ですが、その前に、サドルの位置や角度が自分の体格に適しているのか、調整してみることをオススメします。

　まずはサドルの高さ調整です。一般的なサドルは、座面とその下に斜めに接続されたシートポストで構成されていて、サドルを高くするほど座面の位置が後方へずれるようになっています。

　例えばサドルが高くてハンドルが低いと、ハンドルまでの距離が遠くなるので前かがみの乗車姿勢になり、座面にしっかり乗っていない状態になります。この状態で乗り続けていると、内ももあたりの筋肉に痛みを感じるかもしれません。

　逆に、サドルが低くてハンドルが高いと、のけぞるような乗車姿勢になり、腰に近い部分で座るためお尻の筋肉に張りを感じるかもしれません。

　サドルの高さ調整だけで気持ち良いポジションを見つけられない時は、ハンドルの高さも調整することをオススメします。

　次にサドルの角度です。意外と知られていませんが、ママチャリのサドルは座面の下にある「やぐら」と呼ばれる半円の部品を動かすことで、前後方向の角度調整が可能です。販売時は基本的にほぼ水平に取り付けられていて、多くの人がそのままの状態で乗っていますが、角度を変えることで自分の体格に合わせることができます。

　またその際に、座面の取り付け位置もチェックしましょう。これは調整できないタイプもありますが、シートポストに対して微妙に座面を前後にずらすことができます。だいぶ繊細な調整ですが、身体の中心軸がそのままシートポストに繋がるように調整できると自転車に全体重を預けられるので、お尻もずいぶん楽になると思います。

　ジェル入りのサドルカバーの使用やサドルの交換も痛みの解消には有効ですが、もし買った時の状態のまま乗っていたなら、まずは自分の体格に合わせて調整してみることをオススメします。