原付一種ってどの車線を走れば良い?走っちゃダメな車線はあるのか?
排気量50cc以下のバイクである原付一種は、普通自動車免許に付帯されていたり、他の免許と比較しても取得しやすかったりという点などから、運転へのハードルがかなり低いバイクといえるかもしれません。しかし、いざ公道を走行するとなると、どこを走行すれば良いのかわからない… といった場合に陥る可能性もあります。では、原付一種は、どの車線を走行すれば良いのでしょうか。
知っておきたい!原付一種の走行帯とは
原付一種は、免許が普通自動車免許に付帯されているだけでなく、他の免許と比較しても取得しやすい点などから、他の排気量のバイクと比べても、手軽に乗りやすいバイクといえます。しかし、教習中に公道を走行する機会はないため、免許取得後にいざ公道を走行するとなると、どこを走行すれば良いのかわからない場合もあるかもしれません。

では、原付一種は、どの車線を走行すれば良いのでしょうか。
道路交通法第20条により、クルマやバイクは原則、片側二車線の道路では「第一通行帯」、つまり一番左側の車両通行帯を走行しなければなりません。さらに車線の左寄りを通行するよう推奨されています。これは教習所で習う「キープレフト」のことで、道路交通法第18条で定められているものです。
右側の車両通行帯を空けておく理由には、追い越しや右折車の通行をスムーズにするほか、渋滞の発生を防ぐ目的もあります。また、道路の中央付近にスペースができることで、対向車線を走るクルマとの接触のリスクを減らすことができます。

片側三車線以上の場合は、一番右側の車両通行帯を追い越し車線として空けておき、そのほかの車両通行帯を通行することができます。このとき、速度の遅いクルマは一番左の車線を走り、それよりも速度が速くなるほど右側の車両通行帯を通行するようにします。
そして速度が最も遅い原付一種、つまり50cc以下の原付バイクは、原則として一番左の車線である第一通行帯の左側を走行しなければなりません。ただし、右折や追い越し、道路工事などの場合は除きます。
また、やむを得ない理由がないにもかかわらず、原付が一番左の車線以外を走行している光景を見かけることもあります。しかし、原付の第一通行帯の走行は義務です。もしも違反した場合は「通行区分違反」になり、違反点数2点に加え、反則金6000円の罰則が科せられます。
では、二段階右折をするときはどうなるのでしょうか。

走行している車線が三車線以上の道路で、信号や警察官により交差整理され、二段階右折禁止の標識が出ていない交差点では、必ず二段階右折をしなければなりません。なお、二車線道路では交差点の手前のみ右左折専用レーンがあり、車線が増える場合も二段階右折の対象となります。
二段階右折するときは、まず交差点の30m手前で右ウインカーを出しながら速度を落とし、左車線を直進します。交差点を渡った先でバイクの向きを進行方向に変え、ウインカーを消して待機し、進行方向の信号が青に変わったら直進しましょう。
また、三車線以上の交差点で、一番左の車線が左折専用レーンの場合はどうすれば良いのか、迷う人もいるかもしれません。このとき、真っすぐ交差点に進入して二段階右折をするのに対し、直進レーンと左折専用レーンのどちらを走行するべきなのでしょうか。
原則として、左折専用レーンがある場合でも、危険回避などのやむを得ない場合を除き、必ず左車線を走行して二段階右折をしなければなりません。
このとき注意すべきこととして、左折専用レーンに入ってくる他の車両は必ず左折する点が挙げられます。そのため、左折車に巻き込まれないためにも、必ず右ウインカーを出して合図を送ることが重要です。ただし、左折用の矢印信号が表示されている交差点では、二段階右折をする場合であっても直進することはできません。前方の信号が青に変わるまで、左車線の路肩の安全な場所に寄せて待機する必要があります。
また、左折矢印信号が点灯しているときに二段階右折をすると、信号無視になるので注意が必要です。ちなみに、三車線以上のT字路で二段階右折するときも基本的に同じ手順でおこないます。なお、二段階右折が必要な交差点で小回り(通常の右折)をした場合は、「右左折方法違反」となり違反点数1点、反則金3000円が科せられます。
また、原付は左車線通行が原則ですが、三車線以上の左折専用レーンがある交差点を直進する場合は、右側の直進レーンに進路変更して走行しなければなりません。つまり、二段階右折をするとき以外で左折専用レーンを直進すると違反になるというわけです。なお、違反した場合は「指定通行区分違反」となり、違反点数1点に加え反則金5000円が科せられます。
ちなみに、都市部で多く見かける「バス専用レーン」も一番左の車線に設けられているため、同じ左車線を走行する原付はどう対処すればよいのか、疑問に思う人いるでしょう。

専用通行帯が指定されている道路では、指定された車両および原付や軽車両、小型特殊自動車を除いた他の車両は、その通行帯を走行することができません。つまり、原付は道路工事などやむを得ない場合を除いて、専用通行帯を走行しなければならないのです。たとえ路線バスが近づいても、通行帯から出る必要はありません。ちなみに「路線バス等優先通行帯」も同様に走行できます。

また、昨今市街地でよく見かける、「自転車専用」と白い文字で青く塗られた道路脇にあるレーンは、普通自転車専用通行帯は道路交通法第20条に基づき、普通自転車が通行すべき車両通行帯として定められています。したがって、自転車以外の車両は走行することが禁止されているので、原付のみならずバイクやクルマも走行できません。
クルマの左側をすり抜け、普通自転車専用通行帯を走行しているバイクをたびたび見かけることもありますが、これは明らかな違反です。原付が走行した場合は「通行区分違反」になり、違反点数2点、反則金6000円が科せられます。
なお、普通自転車専用通行帯に似たもので、白い自転車マークに矢印が描かれた「自転車ナビマーク」と、青い矢印の「自転車ナビライン」があります。これらのマークは法令の定めはなく、自転車の推奨ラインのような意味あいなので、走行しても違反に問われることはありません。

また、アンダーパスや陸橋では、速度の遅い原付の進入を禁止しているケースが多いので注意が必要です。進入を禁止している道路では、入口の手前の「二輪通行禁止」の標識の下に、「原付」と表示された標識が掲げられています。うっかり進入してしまわないよう標識を見落とさないようにしましょう。
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原付の独自のルールにより、どの車線を走行すべきか迷ってしまうことがあるかもしれません。違反切符を切られないためにも、原付を運転するときは改めて交通ルールを見直す必要がありそうです。