世界最強の自転車ロードレースチームが選ぶホイールとは? 「Reserve(リザーブ)」の最新製品に注目

アメリカの自転車ホイールブランド「Reserve(リザーブ)」は、カナダの競技用自転車メーカー「cervélo(サーヴェロ)」との共同開発により、ロードバイク用ホイールセットを完成させました。

世界でトップを狙うための最新カーボンホイール

 2014年にアメリカのカリフォルニア州で設立された自転車のホイールブランド「Reserve(リザーブ)」は、2019年末よりカナダの競技用自転車メーカー「cervélo(サーヴェロ)」との共同開発を開始し、2023年は世界最高のチームと言っても過言ではない「JUMBO VISMA(ユンボ・ヴィズマ)」がフルラインナップを使用します。

Rserveのホイールは、世界に18チームしか存在しないUCIワールドチーム、チーム・ユンボ・ヴィズマが開発に関わっている
Rserveのホイールは、世界に18チームしか存在しないUCIワールドチーム、チーム・ユンボ・ヴィズマが開発に関わっている

 ホイール開発に向けて、エアロダイナミクスにおいては何が重要であるかを再定義するため、以下の3つを行いました。

・サイクリング中のエアロダイナミクスの強度と大きさを特定する

・平均的なリム性能における各ヨー角(斜め)の重要性を評価する方法を理解する

・最新のデータ収集機器を使用し、フィールドでエアロダイナミクスを測定し、風洞実験室で測定された流れの状態を再現する

 結論としては、スタンダードな層流を利用した風洞実験だけでは不足している、つまりはつねに乱流の発生している実環境を想定した設計とテストを行なう必要があったということです。

 そこで、実環境において乱流データをリアルタイムに測定するため、3輪スクーターをカスタムメイドし、実データの収集を行ないました。結果は文献に書かれているよりも乱気流が大きい状況であることが分かったのです。

カスタムメイドの3輪スクーターが追従し、高周波プローブで乱流データをリアルタイムに測定
カスタムメイドの3輪スクーターが追従し、高周波プローブで乱流データをリアルタイムに測定

 そして風洞実験にも乱流を取り込むことにトライしました。RWDI社(カナダのエンジニアリングコンサルタント)の土木業界の橋梁・建築モデルのテストに使用される乱流について、数十年の経験を持つ風力工学を駆使し、ホイールのリムプロファイルの制作を開始しました。

 乱流下で設計された最速のリムプロファイルは、アシンメトリックで、フロントとリアは別々の設計となり、より高い安定性を求められました。そして完成したのがリザーブのカーボンホイールです。

 サーヴェロ社は、従来よりチーム・ユンボ・ヴィズマのフレームサプライヤーで、協力関係にあるリザーブを受け入れることに時間はかからなかったでしょう。リザーブとサーヴェロ、そしてユンボ・ヴィズマが擁する最高の選手たちの化学反応によって、2023年シーズンもエキサイティングなレースを魅せてくれるのではないでしょうか。

 アメリカの自転車メーカー「Santa Cruz Bicycles(サンタクルズバイシクルズ)」のエンジニアたちによって設立されたリザーブのホイールセット(前後)はリムのプロファイルごとに分けられており、ハブのグレードは3種類用意されています。ロードバイク用のラインナップを抜粋すると次の通りです(価格は消費税10%込み)。

Reserve 34|37:25万5000円〜39万5000円
Reserve 40|44:25万5000円〜39万5000円
Reserve 52|63:25万5000円〜39万5000円
Reserve 77|Disc:52万5000円

【画像】Rserveのロードバイク用ホイールを見る(9枚)

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Writer: 山本健一

サイクルジャーナリスト(人力バイクのほう)。ジャーナリスト歴20年、自転車競技歴25年の公私ともに自転車漬け生活を送る。新作バイクレビューアー、国内外レースイベントやショーの取材、イベントディレクターなど、活動は多岐にわたる。

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