一体なぜ? バイクの排気量が細分化されている理由とは
バイクの排気量は性能を表す目安にもなっていて、50ccから2300ccあたりまで幅広く設定されています。しかも、キリのいい数字だけでなく110ccなど、半端な数字も多く設定されています。そんな排気量の分類は、どのように決められているのでしょうか。そのルーツを探ってみました。
かなり細かい原付から小型自動二輪クラス
バイクの排気量は性能を表す目安にもなっており、50ccから2300ccあたりまで幅広くラインナップされています。なかには110ccなど、半端な数字も設定。そんな排気量は、どのように決められているのでしょうか?そのルーツを探ってみました。

まず、原付から小型自動二輪クラスでは、原付一種が50cc未満、原付二種は50cc超から90cc以下(甲)、90cc超から125cc以下(乙)と、それぞれ税金の区分に基づいて分けられています。
法律的な規定をベースにしつつ、50ccはスクーターとしての性能が過不足なく発揮できる排気量の最小として設定されている一方で、125ccは1000ccの1/8となる排気量。こちらは現在のMotoGPになる前のWGP(ロードレース世界選手権)のカテゴリにも設定されていただけでなく、EU圏の二輪免許が125ccを境にしている(区分はふたつだけ)など、世界的な基準です。

ただし、東南アジアでは110ccが好まれる傾向にあり、国内でもホンダが多くの車種をラインナップしています。この110ccという中途半端な排気量は、スーパーカブの50ccをベースに排気量をアップさせた際の限界が110ccというのが定説です。
そして現在は絶滅状態にある80cc。これは、税区分の90ccではないのかというと言われていますが、50ccをベースに車体も含めて共通化して作れることや、2ストの場合は50ccの出力規制値が7.2psだったのに対し、80ccだとちょうど10psぐらいになるという理由があったようです。ちなみに、80ccには出力規制はありません。
150ccは110ccと同様にアジアで人気の排気量で、日本の感覚で言えば110ccが50cc的な気軽さだとすると、150ccは日本の125ccというイメージ。アメリカでのバイク免許区分の境が150ccとなっていることもあり、世界的にポピュラーな排気量です。

125cc超から400cc以下や400㏄越え
以前の中型免許で現在の普通二輪となる、125㏄超えから400㏄以下のカテゴリ。道路運送車両法では軽二輪と小型二輪の一部となります。
このふたつの境が250ccであるため、日本で一番多い排気量になったとのこと。400ccも同様で、50㏄と合わせて世界的にはガラパゴスと呼ばれることもある排気量です。
ホンダ「レブル250」は、タイでは「レブル300」となるのがいい例で、ほかにも同様のパターンは多くあります。
250ccは以前、クウォーター(1リットルの1/4)と呼ばれていた事もあり世界規格のように思えますが、日本では250ccを超えると車検が必要と定められているので、250ccがひとつの上限となっており、実際は日本独自の排気量と言えるでしょう。
一方で、排ガス規制の影響もあり最高出力が下がり続けている昨今では、250ccよりも少しパワーが欲しいという層に向けて、国内でも300ccのラインナップが増えてきています。
この点については、メーカーにとって既に海外仕様でラインナップされているので、大きな改修なしで投入できるメリットも存在します。

400ccを超えると免許は大型となり、車検もすべての排気量で必要になることから明確な区切りはありません。
あるとすれば以前多くラインナップされていた750cc。1969年にホンダ「CB750FOUR」の登場をきっかけに、自主規制で750ccまでしか国内では販売しない流れとなっていたことから、長い間、ひとつの区切りとされてきました。
現在、その自主規制は撤廃されたので750ccのラインナップは減少し、そのまま1000ccへと移行した形となっています。
また市販車ベースのマシンでチャンピオンシップを争うワールドスーパーバイク(WSBK)などのレースレギュレーションが以前の750ccから、現在は1000ccに引き上げられている点も市販車に影響しているのかもしれません。
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日本の場合はとくに細かい税制と免許制度の影響を受けた結果、排気量も細かく、さらに中途半端な数字になってしまっています。さらに大型自動二輪免許が取得しやすくなったことから、中免と呼ばれていた普通二輪から人気がシフトして、400cc超えのクラスではさまざまな排気量が登場してきていると言えるでしょう。