言われるまで気づかなかった!?案内標識の色が緑と青で使い分けられている理由とは

街中や高速道路の走行中、必ず目にしているはずの案内標識。あまり気にしたことがない人もいるかもしれませんが、青色だったり緑色だったりと、場所によって色が異なっています。これには、一体どのような理由があるのでしょうか。

案内標識の色、なぜ緑と青?

 街中での走行時やツーリングで高速道路を運転しているとき、誰しも案内標識を必ず目にしているはずです。一般的に、案内標識の色は青や緑が使用されていますが、そもそもどういった理由でこれらの色が使用されているのでしょうか。

標識板の色彩は、標識令によって定められている
標識板の色彩は、標識令によって定められている

 道路の案内表示に関しては、標識板の色彩は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(以下、標識令)によって定められています。これによると、緑と白、青と白の組み合わせが視認性の観点から採用されており、高速自動車国道や自動車専用道路では緑と白、一般道路では青と白で表記がされるようです。

1962年に一般道路標識は、青地に白色の文字となった
1962年に一般道路標識は、青地に白色の文字となった

 ちなみに、日本で最初に青と白の道路標識ができたのは、1950年3月に「道路標識令」が全面改良されてからです。当時は、現在とは逆の白地に青色の文字が使用されていました。現在のような青地に白色の文字となったのは、標識令の第1回改正がおこなわれた1962年のことです。

 一方で、高速道路の緑色の標識は1960年の標識令にて制定されました。地色を選定する際に、ヨーロッパでメインに使用されている青色と、アメリカで主に使用されている緑色のどちらかで検討されていました。

 そこで、夜間での高速道路での走行実験をした結果、ヘッドライトで照射された青色反射シートを実験参加者全員が緑色と誤認したため、視認性の観点より緑色になったと言われています。

 なお、標識令において青色や緑色という名で表記はされていますが、色番号の指定までは現状されていません。そこで、警視庁の「交通規制基準」及び日本道路協会の「道路標識設置基準・同解説」において、色の光の三原色(赤、青、緑)に基づいて各色の範囲が定められています。

NEXCOと首都高速道路の案内標識の色は「NEXCOグリーン」、「首都高グリーン」と呼ばれることもある
NEXCOと首都高速道路の案内標識の色は「NEXCOグリーン」、「首都高グリーン」と呼ばれることもある

 その範囲内でおさまっていれば良いため、各高速道路の比較やエリアで比較をした際に若干の色味の違いが発生しており、例えばNEXCOと首都高速道路株式会社の案内標識の色は「NEXCOグリーン」、「首都高グリーン」と呼ばれることもあるようです。

 また、上記記載の標識の色のほか、警戒標識では注意を促すために黄色の地色が、規制標識では危険や禁止を促すために人間の感覚に訴える効果のある赤色が、本標識が示す規制に対して補足情報を示している補助標識では、主に黒の文字もしくは記号に白色が地色として使用されています。

スマートICの案内板には紫色の地色が使用されている
スマートICの案内板には紫色の地色が使用されている

 最近は、高速道路でETCカードを使用している人のみが乗り降りできる、スマートICの案内板に紫色の地色が使用されています。また、警視庁の「交通規制基準」をみると標識の色だけでなく、柱の色彩、文字を表記する際のルール、標識の大きさや高さなどが事細かに記載されています。

欧州諸国は、記号や色彩、形状を駆使して表記されていることが多い
欧州諸国は、記号や色彩、形状を駆使して表記されていることが多い

 ちなみに、世界の道路標識は、大きく欧州方式と米国方式に分けることができます。欧州方式は国境を越えて道路網が発展してきた経緯により、言葉で表記されていることが少なく、記号や色彩、形状を駆使して表記されていることが多くなっています。また、欧州諸国において道路標識を国際的に統一しようとする動きもあり、「国際連合道路標識」が発行されています。

米国では、原則として四角形のみの標識を使用している
米国では、原則として四角形のみの標識を使用している

 一方、米国方式では、原則として四角形のみの標識となっており、地色は白または黄色、高速道路は緑色となっています。加えて、記号以外にも言葉で表記されている標識が多く記載されている、機能性や確実性に特化した標識となっています。

 実際に標識に記載されている言葉の中には、日本ではあまりなじみがない単語として、「Marge」で合流、「Yield」でゆずれ、などという表記がされていることもあるようです。

※ ※ ※

 日本で採用されている青色や緑色の地色については、視認性に加えて運転者に伝えたい情報の中身、運転時のシチュエーションを考慮して色の選択がされています。青色は視認性の良さから、一方で緑色は夜間走行時の視認性の良さに加えて、運転者への落ち着きを与える効果を考慮して選択がされています。

 今まで案内標識の色の使い分けについてあまり気に留めていなかった人も、これからバイクに乗る時は意識してみると面白いかもしれません。

【画像】高速道路や一般道の案内標識を画像で見る

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