東京都「2035年までにバイクを100%非ガソリン化」 電動化に向けた整備体制を強化 バイクショップと整備業界が「EVバイク整備環境委員会」結成

走行性能が極めて高いガソリンエンジンのバイクの前に、電動化は四輪車以上に難しい側面があります。そのひとつが販売・整備の体制強化です。「ゼロエミッション東京」の実現を目指す東京都は2035年までに、都内で販売されるバイクを100%非ガソリン化する目標を掲げています。

2035年より都内でガソリン車を売れなくなる問題にEV対応技術者増やす

 バイクの電動化は、現状では製品の供給元であるメーカーの方向性に左右されると考えられています。一方でユーザーの視点に立つと、製品の選択肢は絶対条件でしかなく、購入の決断で決め手となるのは車体費用とは別に発生する維持費もあると考えられます。

 例えば、当たり前のように整っているエネルギー充填ポイントや、故障時などの車体整備の体制は、ガソリン車と電動車では、その環境に大きな違いがあります。

 バイクの電動化は小型コミューターで先行すると言われていますが、これも簡単ではありません。電動バイクはどこで売っているのか? 製品に不具合があった場合の自主回収や修理の体制はどうなっているのか?

 そんな状況で、東京都は小池百合子知事のもとで「ゼロエミッション東京」の実現を目指し、都内で販売されるバイクは2035年までに、「100%非ガソリン化する」という目標を掲げています。世界で電動化が減速する中でもその目標は変わっていません。

「乗り手、売り手、エネルギー供給が三位一体になることがバイクEV化を後押しする」と話した小池都知事(写真=中島みなみ)
「乗り手、売り手、エネルギー供給が三位一体になることがバイクEV化を後押しする」と話した小池都知事(写真=中島みなみ)

 この状況を打開するため、2026年6月に「東京オートバイ協同組合」(AJ東京)と「東京都自動車整備振興会二輪自動車支部」は、都内における電動バイクの普及促進と、安全な整備環境の構築を目的として、2026年5月14日に「EVバイク整備環境推進委員会」を設立しました。

 就任したAJ東京副理事長・小川功委員長は、設立の経緯を次のように話します。

「カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが進む中、EVバイクへの関心は高まりつつありますが、販売・整備現場においては、高電圧機器に関する知識や技術習得、整備環境の整備、人材育成など、多くの課題が存在しています。組合と整備振興会支部が、業界横断的な視点からEVバイクの整備環境整備を推進するため、本委員会を設立しました」

 状況に応じて電動化の進捗は変わりますが、乗りもの全体の電動化は不可避と考えられています。

 同委員会はEVバイクの普及を見据え、ガソリン車、電動車のいずれにも対応できるマルチパスウェイの整備基盤づくりを目的としています。

 モーターとバッテリー、電子制御ユニットが中心となる電動車では、ガソリン車とはまったく違う知識と技能や、電動化に対応する設備も必要です。

 同委員会では人材育成に向けた講習会の企画と実施、整備事業者が抱える課題の把握および行政との連携強化を進めます。

 また、委員会の活動には東京都産業労働局が連携して、電動化に対応する現場の要望を収拾し、電動バイク普及促進の基盤づくりに取り組みます。

 小川委員長は、今後の取り組みを次のように語ります。

「見える最初の仕事としては2026年秋ごろに『電気自動車等の整備業務における特別教育』をAJ東京主催で実施します。また、委員会はバッテリーシェアリングの『Gachco(ガチャコ)』とも連携して情報交換を重ね、EVの補助金や現状の課題を共有します」

 電動車を選択した場合、東京では経済産業省のCEV補助金を上回る車両本体と充電器に対する補助金が用意されています。

 より多くのバイクショップで、こうした施策が知られていくことで、ユーザーの購入ハードルが下がってきます。

 電動車の流通が整備・販売業界から変わりつつあります。

【EVバイク整備環境推進委員会 役員体制】
・小川功委員長(東京オートバイ協同組合副理事長)
・坂尾圭副委員長(東京都自動車整備振興会 二輪自動車支部 多摩地区長)
・足立幸司副委員長(東京オートバイ協同組合理事)

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Writer: 中島みなみ

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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