「乗車定員」の意味は、思ったより複雑!? バイクのスペック表を読み解く!
バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。「乗車定員」は乗車できる人数のことですが、少々ややこしいことがあります。
ホンダ「モンキー125」は、1人乗りだった!?
バイクのスペック表に記されている「乗車定員」は、そのバイクに乗車できる人数のことです。まず、排気量50cc以下の原付1種は法律で乗車定員が1名と定められています。そして51ccを超える原付2種以上のバイクは、車両によって1名もしくは2名の乗車定員になります。

そのバイクに何人乗れるのか、わざわざスペック表で確認しなくてもバイクを見ればわかる気がしますが、少々注意が必要な部分もあります。国内メーカーの51ccを超える原付2種以上の多くは乗車定員2名ですが、すべてではありません。
たとえばリバイバルシリーズで人気のホンダの125ccクラスのバイクの中で、「モンキー125」だけが乗車定員1名で、「スーパーカブC125」や「CT125・ハンターカブ」、「ダックス125」、「グロム」は乗車定員2名です。

とは言え、「スーパーカブC125」と「CT125・ハンターカブ」は、一見するとタンデムシート(後部座席)が見当たりません。代わりにしっかりした荷台(リアキャリア)があるので、座ることはできそうです。
乗車定員は「人数分の乗車装置を備えている」ことが必要で、保安基準として「二輪自動車の後部座席があって、握り手及び足かけを有するもの」と定められています。
簡単に言えば「きちんと座れる場所」と「タンデムステップ」と「ベルトまたはグリップ」が必要ということです。

そのため「スーパーカブC125」や「CT125・ハンターカブ」の場合、クッション性のあるシートはありませんが、座席として確保されているので「可」ということになります。ちなみに両車とも純正アクセサリーで荷台に固定するピリオンシート(いわゆる座布団)が用意されているので、実際に2人乗りする際には装着がオススメです。
シングルシートカウルは要注意!
レーシングマシンのようなルックスのスーパースポーツ系のバイクも、国産メーカーの現行市販車はタンデムシートが装備され、乗車定員が2名の場合がほとんどです。そしてメーカーの純正アクセサリーでシングルシートカウルが用意される車両も多く、タンデムシート部分と簡単に交換可能で、装着すると非常にスタイリッシュになります。

しかしシングルシートカウルを装着すると、乗車定員が1名になります。そのため乗車定員の変更手続き(構造変更申請。車検のあるバイクは自動車検査証の記載条項の変更)を行なう必要があります。そしてシングルシートカウルからタンデムシートに戻した際は、再び乗車定員の変更手続き(1名→2名)をしなければなりません。
その意味では「2人乗りはしないから」と、タンデムステップを外してしまった場合も、やはり構造変更の申請が必要になります。
1人乗りのハーレーは、2人乗りにできるの?
ハーレー・ダビッドソンは、新車の状態で1人乗り(シングルシート)の車種もありますが、多くの車両が純正アクセサリーを使って2人乗りにすることができます。そこで注意が必要なのが、やはり乗車定員です。

新車登録時にノーマルの状態(シングルシートで1人乗り)だと、乗車定員は1名になります。その後に2人乗りにした場合は、構造変更申請を行なって乗車定員を2名にする必要があります。
しかし新車登録する前に2人乗り仕様にしてあれば、乗車定員2名で登録することができるようです(その後に1人乗り仕様にする場合は、やはり構造変更申請が必要)。
少々ややこしく、面倒に感じるかもしれません。このあたりはバイクの購入前にショップのスタッフとよく相談した方が、後々の手間やコストを抑えることができるでしょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。