8耐の3倍!ル・マン24時間を戦う上で一番大切なのはコースに留まること!?レーシングライダー石塚健のレースレポート後編

国内外で活躍するレーシングライダーの石塚健選手が、FIM世界耐久ロードレース選手権の開幕戦、ル・マン24時間耐久ロードレースに参戦。その様子をレポートしてくれました。

24時間を戦うという事の本当の厳しさを痛感

 皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。

4月11日から4月16日にフランス、ル・マンにあるブガッティサーキットで開催されました、FIM世界耐久ロードレース選手権(EWC)開幕戦、ル・マン24時間耐久ロードレースに参戦してきましたので、そちらの参戦レポートをしていこうと思います。

 今回はその後編、決勝レースの模様をお伝えしていきます!

ル・マン24時間の決勝をライダーイエローとして走行する石塚健選手
ル・マン24時間の決勝をライダーイエローとして走行する石塚健選手

 迎えた決勝レースのスタートとなる、土曜日の15時。スタートライダーは、昨年からチームを牽引する立場のコーム選手が務めます。

 トップチームの転倒など、波乱の多かったスタートも難なくクリア。順調に周回を重ねているかと思えた矢先、まさかのブレーキトラブルで緊急ピットインが行われます。すぐに修復作業を行いコースへ出て行くも、再びピットイン。スタート早々、合計2回のピットインというアクシデントが発生してしまいした。

 僕はその光景を見ながら、「まだまだ先は長い」そう自分自身に言い聞かせてはいましたが、序盤からのトラブルに焦りや、そして怒りのような感情は間違いなくありました。

ル・マン24時間の決勝をライダーイエローとして走行する石塚健選手
ル・マン24時間の決勝をライダーイエローとして走行する石塚健選手

 その後は、度重なるトラブルにより、一度はほぼ最後尾まで順位を落としましたが、ライダー3人、安定したアベレージを刻み順調に順位を挽回。20番手付近まで、追い上げることができました。

 ひとり約50分間、30周前後の周回数を走行しピットイン。給油などのピット作業をこなして、次のライダーへマシンを繋ぎます。そしてスタートから10時間が経過。その間にもスロットル系のトラブルでのピットインやチームメイトの転倒もあり、順位を落としては挽回をするの繰り返し。それでも、必ずチェッカーを受けるのだと、諦めず全力で走り続けました。

夜のル・マンを駆け抜ける石塚健選手とスズキ「GSX-R1000R」
夜のル・マンを駆け抜ける石塚健選手とスズキ「GSX-R1000R」

 12時間が経過し、レースは折り返しへ。辺りはすっかり暗くなり、夜間走行となります。

 路面温度が5度以下となるデリケートな路面や、他車のエンジンブローにより撒かれたオイルに乗ってしまうなど、コース上ではかなりリスキーな状況が続き、転倒者も増えるなど、より一層サバイバルな状態となります。

 既に6、7チームがリタイアとなっている中、自分自身も何度も転びそうになりながらもペースをコントロールし、5回目のスティントを終えライダー交代。次のスティントへ向けて軽食を取り、豆だらけの手のひらにテーピングをしてもらって、少し仮眠を取ることに。

 そして、目が覚めたところでタイミングモニターを確認すると、先ほどマシンを引き継いだマッテオ選手が周回していない事に気付きました。

ライダーレッドのマッテオ選手にマシンを引き継ぐ石塚健選手
ライダーレッドのマッテオ選手にマシンを引き継ぐ石塚健選手

「え??」状況がわからず慌ててピットに走ると、ピットのシャッターは閉まり、マシンは修復不可能なほどに大破。リタイアしたと聞かされました。残り8時間のところで、しかも次の走行に備えて寝ている間にリタイアとなり、本当に悔しい気持ちでいっぱい。

 転倒しないことの方が難しい位のリスキーなコンディションの中、どのライダーにも、そしてどのチームにも転倒するリスクがあることは分かっていたものの、「ここまで来たのに、、、」悔しすぎてしばらく呆然としてしまいました。

 ライダー交代をする際に、「路面が危ないから気をつけて」と、しっかりと伝えたはずなのに。「もっと伝えるべきだったのか、、」など、取り返しのつくはずもありませんが、そんな事ばかり考えてしまいました。

 これが24時間耐久レースか。改めて耐久レースの難しさを痛感させられるレースとなりました。

石塚健選手の所属するJMA RACINGのメンバーとの記念写真
石塚健選手の所属するJMA RACINGのメンバーとの記念写真

 残念な結果となってしまいましたが、今回が初めてだったサーキットやチームメンバー、マシンで、終わってみればある程度順応できたかなと思います。

 予選までは仕様変更されたマシンに自分自身がアジャストできず、苦戦を強いられていましたが、決勝を走る中で沢山のヒントを得る事ができ、トライ・アンド・エラーを繰り返しながらも、決勝中にベストタイムを更新できた事や、アベレージもチームメイトを引っ張って行けた点はポジティブな要素です。

 まだまだシーズンは始まったばかり。このパッケージでの伸びしろも沢山あるので、次戦ベルギー、スパフランコルシャンでは、今回の経験をチーム皆なで形にできる様、上位進出を目指して頑張りたいと思います!

 次戦も応援、よろしくお願い致します。

石塚 健 / Takeshi Ishizuka

【画像】世界耐久ロードレース選手権の開幕戦でブガッティ サーキットを走る石塚健選手を画像で見る

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Writer: 石塚健

(レーシングライダー)埼玉県出身の27歳。3歳からポケットバイクに乗り始め、ロードレースというオートバイ競技に参戦。現在は世界各国で活躍できるライダーを目指して日々、活動中。
2019年から、ヨーロッパでおこなわれる「FIM CEV REPSOL Moto2ヨーロピアンチャンピオンシップ」への挑戦を開始。2023年は、「FIM EWC 世界耐久ロードレース選手権」にフランスのJMA RACING TEAMより参戦します。スポンサー募集中!応援よろしくお願いします。

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