長い文字列の「エンジン種類」にある「冷却方式」とは? バイクのスペック表を読み解く!

バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。長い文字列の「エンジン種類」にある「冷却方式」について紹介します。

多くのバイクは「空冷」か「水冷」のどちらか

 スペック表の「エンジン種類」を見ると、けっこう長い文字列になっていて、その先頭は「水冷」または「空冷」となっている場合が多く、これはエンジンの「冷却方式」を表しています。

ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」の「エンジン種類」名。先頭はエンジの冷却方式を表記
ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」の「エンジン種類」名。先頭はエンジの冷却方式を表記

 バイクのエンジンは、燃料のガソリンと空気を混ぜた「混合ガス」を爆発させて、そのエネルギーを回転力に変える「内燃機関」です。そのためエンジンは非常に熱くなり、何らかの方法で冷やさないと壊れてしまいます。そこで大気の外気温で冷やすようにしたのが「空冷」方式で、水を使って冷やすのが「水冷」方式になります。

水冷方式と空冷方式の概念図
水冷方式と空冷方式の概念図

「空冷」は外気温で効率良く冷えるように、シリンダーやシリンダーヘッドの表面に冷却フィンを設けて表面積を増やすことで放熱します。走ることで発生した走行風が冷却フィンの間を抜けると良く冷えるのですが、信号などで停車したり渋滞でノロノロ運転になると冷却しにくくなる欠点があります。もちろん気温が異なる夏冬でも冷却効果が変化します。

「水冷」はシリンダーに「ウォータージャケット」と呼ぶ水が循環するスペースがあり、エンジンの発熱を水で冷やしています(水と言ってもエンジンの発熱で温められるので、運転中の水温は80~100℃くらい)。

 水を循環させるための冷却ポンプや、熱された水を冷やすためのラジエター、ラジエターを冷やす冷却ファンといった補器類が必要になりますが、停車や渋滞、気温が変わっても安定してエンジンを冷却できるのがメリットです。

空冷方式のホンダ「GB350」
空冷方式のホンダ「GB350」

 現在は多くのバイクが水冷で、空冷はクラシカルなタイプや比較的排気量の少ないモデルが採用しています。空冷は構造的に高出力化が難しく、排出ガスの点でも不利な面があるためでしょう。

じつは、ほかにもある冷却方式

 エンジンの冷却方式には、空冷、水冷のほかに「油冷」があります。これはエンジンオイルを積極的にエンジンの冷却に使う構造のエンジンを指します(エンジンオイルは部品同士の潤滑以外にも冷却や清浄など多くの役目を持ちます)。

油冷のスズキ「GSX-R750」(1985年型)
油冷のスズキ「GSX-R750」(1985年型)

 有名なモデルとしては、1985年に登場したスズキの「GSX-R750」です。当時は空冷から水冷への過渡期で、水冷化で重くなるデメリットを避けながら効率的に冷却してパワーアップを図るのが目的でした。現在もその技術を継承し、スズキ独自の油冷エンジンを搭載する「ジクサー250」や「ジクサーSF250」が存在します。

 また、BMWモトラッドの「R 18」や「R nineT」といったヘリテージモデルは「空油冷」、そのほかの水平対向エンジンは「空水冷」になります。前者は基本的に空冷ですが、エンジンオイルによる冷却を積極的に活かした構造。後者は基本的に水冷ですが、冷却フィンを設けて空冷の効果も存分に活用しています。

現在の主流は高効率な水冷、しかし空冷には独特な魅力がある

 先にも述べましたが、最高出力などの高性能化や排出ガスなど環境性能に対応するには水冷の方が有利なため(スペック表で見比べると一目瞭然)、とくに国産バイクは大排気量の空冷エンジンモデルが減少しています(生産終了モデルが増えています)。

2021年型を最終モデルとして、国内販売向けの生産を終了した空冷方式のホンダ「CB1100 EX Final Edition」
2021年型を最終モデルとして、国内販売向けの生産を終了した空冷方式のホンダ「CB1100 EX Final Edition」

 しかし、空冷は構造的に水冷よりまろやかな乗り味が楽しめるところや、エンジンに冷却フィンを設けたレトロなルックスなど、趣味的な魅力があります。これもバイク選びの楽しさのひとつでしょう。

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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