音の出し過ぎには要注意!バイクの騒音にまつわるルールについて

一般的にバイクのエンジン音はクルマよりも大きい傾向にあり、時には騒音として問題視されることもあります。しかし当たり前のことではありますが、バイクには騒音にまつわるルールがきちんと定められています。いったい、どのようなルールが定められているのでしょうか。

時たま問題視されるバイクの騒音問題…どのようなルールが定められてる?

 時には問題視されることもあるバイクの騒音。しかし当たり前のことではありますが、バイクには騒音にまつわるルールがきちんと定められています。いったいどのようなルールが定められているのでしょうか。

バイクには騒音にまつわるルールはきちんと定められている
バイクには騒音にまつわるルールはきちんと定められている

 バイクの騒音に関する規制は、数年ごとに見直されてきました。そして現在は、グローバル化にともない世界基準の騒音規制が採用されています。

 従来は音量を基準にした絶対値規制で測定されていましたが、国土交通省は環境対策のひとつとして、2017年10月から「相対値規制」の測定方法を導入しています。これにより、新車時と同等の音量のマフラーでなければ違法とみなされるようになりました。

 ちなみに、250cc以下の車検を必要としないバイクも、当然ですが騒音規制は厳守しなければなりません。むやみに爆音を響かせるマフラーに交換するなどの行為は、違反に問われる可能性があるので注意が必要です。

 なお、排気音が規定値をオーバーしている場合は「整備不良」とみなされ、普通二輪の場合は違反点数2点と反則金7000円、原付の場合は6000円の反則金が科せられる場合があります。

 また、正当な理由もなく著しい騒音を発生させる操作をした場合は「騒音運転等」にあたり、普通二輪は違反点数2点と反則金6000円、原付は違反点数2点と5000円の反則金が科せられます。さらに、サイレンサーを取り外したり加工するなどの行為も「消音器不備」の違反で、同様の罰則を受けることになるので注意が必要です。

年々厳しくなる…バイクの騒音規制の歴史

 過去のバイクの騒音規制の歴史を振り返ってみると、年々厳しさが増していっているのがわかります。

1971年の騒音規制ではまだ近接騒音の規制はなく、当時は定常騒音と加速騒音の2つだけでした
1971年の騒音規制ではまだ近接騒音の規制はなく、当時は定常騒音と加速騒音の2つだけでした

 例えば1971年の騒音規制ではまだ近接騒音の規制はなく、当時は定常騒音と加速騒音の2つだけでしたが、これらの走行しながらおこなう測定方法は車検場ではできないため、実際に測定するのは形式認定を受けるときのみでした。そのため、バイクメーカーも規制をあまり気にしなくても問題なかったようです。

 本格的に規制が厳しくなったのが1986年の騒音規制で、このとき近接騒音が初めて導入されました。さらに、加速騒音の規制値が86dBから75dBまで一気に下げられてかなり厳しいものに。なお、この頃の近接騒音の規制値は99dBです。この規制をきっかけに、バイクメーカーは騒音対策に本腰を入れることになったのです。

 そして大きな転機を迎えたのが2001年の騒音規制で、より一層厳しくなりました。このときは近接騒音の規制値が94dBまで下げられています。この頃の騒音規制は、世界で最も厳しいと言われました。そのため規制をクリアできず、生産終了を余儀なくされたバイクが続出しました。

 2010年の騒音規制では、交換用マフラーのメーカーが形式認定を受けるときは、近接騒音のほかに加速騒音が追加されることに。さらに、取り外しできるバッフルが禁止になりました。ただし、溶接やリベットで脱着できないようにしてあればOKとなっています。

 そして、2014年、ヨーロッパ基準の規制である「UN-ECE R41-04」に準拠することになったことにより、近接騒音と定常騒音の測定方法が撤廃されることになりました。つまり、加速騒音のみの規制になったというわけです。

 しかし実際、車検のときには近接騒音で測定がおこなわれています。というのも、車検場では加速騒音の試験を実施する条件が揃っていないので測定ができません。その代わり、新車時の形式認定を受けるときに、加速騒音と一緒に近接騒音も測定しているため、近接騒音が規定値内であれば、加速騒音もクリアしているとみなしてOKとしているのです。

JMCAマークやEマークなどの表示がないマフラーは、たとえ排気音が規定値内であっても違反キップの対象になる
JMCAマークやEマークなどの表示がないマフラーは、たとえ排気音が規定値内であっても違反キップの対象になる

 2016年には、騒音に関する保安基準の細目を定める告知等の一部が改正・施行されたことにより、プレートや証明書類で合法マフラーであることを証明しなければならなくなりました。

 具体的には、JMCAマークやEマークなどの表示がないマフラーは、たとえ排気音が規定値内であっても違反キップの対象になります。そのため、社外マフラーを取り付ける際は、これらのマークがないものは、違反になる場合があるので注意が必要です。

※ ※ ※

 マフラーから発せられる突き抜けるような排気音は、バイクならではの醍醐味のひとつといえるかもしれません。しかし、バイクにまったく興味がない人にとって、排気音はただの騒音にしか聞こえない可能性があります。法律で決められている以上はマフラーの騒音規定に従い、ほかの人の迷惑にならない程度にバイクライフを楽しむと良いでしょう。

【画像】騒音規制が採用されているバイクのマフラーを画像で見る

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