自転車の関節痛「油切れ」がポテンシャルを著しく低下させる!?
人間で言うところの辛い関節痛。肩・腰・膝などを動かそうとすると痛みが走り、思うように動けずしんどいものです。そんな関節痛と同じような不具合は、自転車にも発生します。
自転車の声に耳を傾け、早めのメンテナンスを
季節の変わり目は寒暖差や天候不順で何かと体調を崩しやすく、なかなか厄介な季節です。とくに雨が続く時期は低気圧の影響などで関節痛に悩まされる人も多いようです。肩・腰・膝などを動かそうとすると痛みが走り、思うように動けずしんどいものです。そんな関節痛と同じような不具合は、自転車にも発生します。それが「油切れ」です。

自転車は基本的に金属部品で構成されているので、駆動する箇所には潤滑油が入れられ、滑らかに動くように調整されています。しかし、使い続けるうちに最初は粘度があった潤滑油が摩擦熱で溶けて流れ出てしまったり、雨などで洗い流されてしまいます。そうなると、金属が擦れて不快な音が鳴るようになったり、動作が悪くなったりします。潤滑油不足で聞こえてくる異音は、自転車が関節痛に耐えている声と言えるかもしれません。
そんな油切れで分かりやすく自転車の動きに影響を与えるのが「チェーン」の油切れです。チェーンの油が切れて来ると、ブレーキの「キーッ!」という甲高く耳障りな異音ではなく、「カシャカシャ」と地味ながら不吉な雰囲気を感じさせる音が聞こえ始めます。そこまで大きな音ではないので、つい無視して乗り続けてしまう人もいますが、その自転車は本来持っているポテンシャルの何割かを失っている状態です。
自転車はペダルを踏む力をチェーンを使って後輪に届けることで後輪を回し、進むことができる乗りものです。チェーンが滑らかに駆動しなければ、ペダルを踏んだ力が後輪に伝わるころには何割かロスした状態となります。チェーンの油切れというと、赤茶色にサビて「ガチャガチャ」と大きな音を立てる状態を想像する人もいるかもしれませんが、その手前の「カシャカシャ」から油切れは始まっているのです。
この症状を解消するには、再び潤滑油を塗布すれば大丈夫です。本格的なメンテナンスでは道具や専用グリスなどが必要になりますが、市販のスプレータイプの潤滑油などで簡易的にお手入れすることでも十分な効果があります。

ただ、その際に気をつけて欲しい点が2つあります。まずは潤滑油を吹きかける前に、必ずチェーンの清掃を行なうことです。チェーンの汚れを落とさずに潤滑油を吹きかけると潤滑油が浸透しないということもありますが、小さな砂などが油と混ざった状態でチェーンの表面に付着したままの状態になってしまうのが問題です。一時的に動きは良くなるかもしれませんが、その状態で使い続けると付着した小さな砂などがヤスリのようにチェーン自身やギアを削ってしまい、寿命を縮める原因になります。チェーンのメンテナンスをするときは、必ず清掃と注油をセットで行ないましょう。
そして吹きかける潤滑油は、まわりに飛び散らないようにしましょう。車輪(リム)のサイドやブレーキシューなどに油が付着してしまうと、滑って摩擦力が弱まり、ブレーキの制動力に悪い影響が出てしまいます。自転車にとって注油は重要ですが、絶対に油を付着させたくない箇所もあるので、必ずチェーンだけを狙うようにしましょう。
自転車から何か異音が聞こえて来たら、それは使い手に何かを訴えている時です。とくに雨が続く時期には潤滑油が洗い流されてしまうことも多くなるので、自転車の訴えに耳を傾けるようにしましょう。