虫、雨、疲労などドラマ要素盛りだくさんのEWC第2戦スパ24時間レース!レーシングライダー石塚健のレースレポート後編

国内外で活躍するレーシングライダーの石塚健選手が、FIM世界耐久ロードレース選手権 第2戦、スパ24時間レースに参戦。そのレポート後編です。

スパ・フランコルシャンサーキットの問題は昼夜通して多すぎる虫

 皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。

 6月16日から6月18日に、ベルギーにあるスパ・フランコルシャンサーキットで、FIM 世界耐久ロードレース選手権の第2戦が開催されましたので、その参戦レポート後編、決勝レースの模様をお伝えしていきます。

決勝レース中、スパ・フランコルシャンサーキットを攻める石塚健選手
決勝レース中、スパ・フランコルシャンサーキットを攻める石塚健選手

 迎えた6月17日の14時、いよいよスパ24時間耐久がスタートしました。自分の出走順は2番目。レース序盤から転倒者が多く、何度もセーフティーカーが介入する波乱の展開となりました。

 チームは順調に周回を重ねていましたが、4時間を経過したあたりで、ブレーキとシフターに問題が発生。パーツを交換する為に、15分ほどのピットストップを経てレースに戻ります。

 そしてだんだんと薄暗くなり、気温も落ち始めると全体的なアベレージペースも向上し、さらに順調に周回を重ねていきました。

夜間走行後ピットインしてライダー交代する石塚健選手
夜間走行後ピットインしてライダー交代する石塚健選手

 その後、夜間走行に入りますが、夜間走行での問題はヘルメットのシールドに付く大量の虫でした。ただ救いだったのは、ル・マンの時と違って気温が、路面状態が危険なレベルになるほど下がらなかった事。

 とはいえ昼間の倍以上の虫が飛んでおり、視界が悪く、集中力をキープするのが難しい時間帯でしたが、そんな中でも、前回リタイアとなってしまった朝6時頃に、16時間を消化して、ようやく日の出を迎える事ができました。

 その後も淡々と周回を重ね、第6スティントを終えて残り8時間。

 ここからはエンジンを労る為に使用するギアを変更するなど、ライダー側での工夫も重要になってきます。

 チームから、このコーナーでは「4足は使わないで」など、エンジンに負荷をかけない為の具体的なオーダーが出されるため、そのオーダーに合わせて使うギアを変えながらも、出来るだけラップタイムは落とさず、ミスすることなく走るという、各ライダー腕の見せ所でもあります。

24時間耐久を走り切るということ

 その後は大きなトラブルや転倒もなく、レースは残り1時間に突入し、自分がチェッカーライダーを務める事となりました。

 しかし、手には豆や水膨れができ、腕にはテーピングを施してもらいながら、なんとか走ってきましたが、ほとんど体力は残っていない状態。コースレイアウト的にも身体への負担は大きく、満身創痍でしたが、ここからは気力の勝負です。

 自分の体はもちろんですが、エンジンが耐え切ってくれる事を祈りつつ、最終スティントへ向かいました。

スパ・フランコルシャンの名物コーナーであるオールージュをかけ登る石塚健選手
スパ・フランコルシャンの名物コーナーであるオールージュをかけ登る石塚健選手

 しかし、そんなチェッカー目前というところで、まさかの雨がパラパラと降り出す、ドラマチックすぎる展開。

 自分の前のスティントを走るライダーレッドの走行中にレッドクロス(雨が降っている事を示すフラッグ)が出ており、自分のスティントでは、雨が強くなる可能性もありましたが、チームの判断でタイヤはスリックタイヤのままコースイン。

 路面が濡れている状態で、スリックタイヤで走る事は、かなりのリスクです。しかし、チェッカーを目指して転倒せずなんとかコースに留まる為にも、ペースを抑えて周回していると、突然のピットインサインがチームから出されました。

 現状ではスリックタイヤで走れる雨量だったので、状況が理解できずそのままもう一周行きましたが、続けてピットインのサイン。

 最後の最後で順位を争っている中でのピットインはとても痛手になるとわかっていたので、入りたくない気持ちはありましたが、仕方なくピットインし、チームに状況を聞くと、チェーンのトラブルが発覚しており、チェッカーを受ける為のピットインだったと聞かされました。

ライダー交代を待つ石塚健選手
ライダー交代を待つ石塚健選手

 トラブル解決に向けた作業が終了し、コースに戻ると案の定順位は落ちていましたが、チェッカー目前にマシントラブルでコース上に停止する事を考えると、最善の策だったと思います。

 そして残り30分、小雨が降る難しいコンディションでしたが、そのままスリックタイヤでコースイン。すると次第に雨は止み、午後2時、無事に24時間を走り切り、チェッカーを受ける事ができました。

 前戦のル・マンでは、転倒によりチェッカーを受けられなかったので、素直に嬉しかったですし、かなりの達成感を感じる事ができました。

 チェッカーを受けたい一心で24時間を頑張って走りきりましたが、ゴールした瞬間に、もうワンステップ上のレベルでレースをするにはどうしたらいいのかという事を考え始めてしまっていたので、まずは走り切るという目標をクリアできた嬉しさと同時に、次戦に向けての課題もまだまだあるという複雑な心境。

 現状のパッケージを考えると最大限パフォーマンスを発揮できたと思っていまが、チェッカーを受ける事だけが目標なのではなく、結果を残す事が次戦の目標。

 とはいえ、今回のチェッカーも応援していただいている皆様のお陰で達成できました。本当にありがとうございました!

 この結果を得て、チームの士気も上がった事と思いますので、この勢いで最終戦のボルドールでは、またチームを引っ張る立場として上位を目指し、良い締めくくりをできるよう戦っていきます。

 その前に8月には世界耐久選手権の第3戦、日本ラウンドとなる鈴鹿8耐が控えています。

 8耐では、TERAMOTO@J-TRIP Racingとして、SSTクラスの表彰台を獲得できるよう、チームと全力で頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!

石塚 健 / Takeshi Ishizuka

【画像】世界耐久ロードレース選手権 第2戦でスパ・フランコルシャンサーキットを走る石塚健選手を画像で見る(10枚)

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Writer: 石塚健

(レーシングライダー)埼玉県出身の30歳。3歳からポケットバイクに乗り始め、ロードレースというオートバイ競技に参戦。現在は世界各国で活躍できるライダーを目指して日々、活動中。
2019年から、ヨーロッパでおこなわれる「FIM CEV REPSOL Moto2ヨーロピアンチャンピオンシップ」への挑戦を開始。2025年は「FIM 世界耐久選手権」に、フランスのDafy-RAC41-Hondaより参戦し世界タイトルを目指します。自身のチームも立ち上げ「鈴鹿8耐」にも参戦! スポンサー募集中です! 応援よろしくお願いします。

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