メーカーに突撃取材! クルマ用とバイク用タイヤの具体的な違いとは
バイクとクルマでは選ぶタイヤが異なりますが、それぞれ具体的な違いはあるのでしょうか。クルマとバイク両方のタイヤを手掛ける大手タイヤメーカー、ブリヂストンの広報担当者に聞いてみました。
バイク用とクルマ用タイヤの違いとは
バイクには欠かせないパーツのひとつであるタイヤ。タイヤには主に路面からの衝撃を和らげる役割のほか、駆動力や制動力を伝える役割、車重を支える役割、方向転換・維持をする役割があり、これらはタイヤの「4大機能」と呼ばれています。
そんなタイヤですが、バイクとクルマにはそれぞれ専用のタイヤが存在します。一見するとサイズ以外に大きな違いはないように思いますが、それらには違いはあるのでしょうか。
バイクとクルマ、両方のタイヤの開発・製造を手掛ける大手タイヤメーカー、ブリヂストンの広報担当者に聞いてみました。

まずひとつ目の違いとしては、配合されている素材の特性が異なるとの事。
タイヤは主に、天然ゴムや合成ゴムといったゴムのほか、カーボンブラックやシリカなどの配合剤、ポリエステル、ナイロンなどの構造材によって構成されており、その構成素材はバイク用とクルマ用に大きな違いはありません。しかし、配合する素材の特性を変えることで、それぞれのタイヤに求められる性能を発揮させているそう。さらにタイヤの接地面も違うとの事でした。
「基本的にタイヤの接地面は荷重、外径、タイヤ幅で決まるため、一般に接地面積はタイヤ幅の広い乗用車タイヤはハガキ一枚分、タイヤ幅の狭いバイク用は名刺一枚分と言われています。
また、乗用車とバイクとの走行時の違いのひとつに、バイクでコーナリングする際のバンク走行があります。そのためバイク用タイヤは、接地面積がバンク角により大きくなったり小さくなったりすると、路面に対して安定した接地が得られず、グリップが上がったり下がったり、不安定になってしまい危険です。
そのため、直進時でもコーナリング時でも、どんなバンク角でも接地面積が大きく変化しないように設計されています」(ブリヂストン広報)
クルマよりも安定性能に欠けるバイクは、少しの段差やカーブなどでバランスを崩してしまい、最悪の場合転倒してしまう可能性があります。これを少しでも防ぎ、安定した旋回やグリップが維持できるよう、バイク用タイヤはクルマ用よりも丸い形状をしているのです。

そして3つ目の違いとして、バイク用タイヤは排気量によって主流である構造が異なる点が挙げられます。
現在市販されているタイヤの構造には、ラジアルとバイアスの2種類が存在します。それぞれメリットがあり、例えばラジアルは操縦性や安定性に優れており、発熱が少ない事や高速での乗り心地が良いなどのメリットが挙げられます。
一方のバイアスは、低速や悪路走行での乗り心地が良いというのが代表的なメリットです。
なお、同広報担当者によると、クルマでは基本的にラジアルが採用されているとの事。一方、バイクの場合は大排気量だと高速走行での安定性やコーナリング時の高いグリップを発揮するラジアルが主流になっていますが、高速道路を走行しない小、中排気量のバイクの場合は、街中走行など低速時の乗り心地が良いバイアスが主流となっているとの事でした。
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バイク用とクルマ用のタイヤでは、それぞれの乗り心地や走行状況などが考慮され、採用する構造や配合される素材などが異なっています。中にはバイクにクルマ用のタイヤをはかせたいと考えている人もいるかもしれませんが、安全性能を考慮すると、それぞれの運転性能に特化した専用タイヤを履かせることが重要です。