【MotoGP第9戦イギリスGP】Moto3佐々木歩夢選手 後半戦を好スタート 5戦連続の表彰台獲得でランキング2番手に浮上

MotoGP第9戦イギリスGPが、2023年8月4日から6日にかけてイギリスのシルバーストン・サーキットで行なわれました。Moto3クラスに参戦する日本人ライダー、佐々木歩夢選手(ハスクバーナ)は2位表彰台を獲得し、チャンピオンシップのランキング2番手に浮上しました。

シーズン後半戦を好スタート、勢い変わらずランキング2番手に

 2023年8月4日から6日にかけてイギリスのシルバーストン・サーキットで行なわれたMotoGP第9戦イギリスGPは、約5週間のサマーブレイクを終えたシーズン後半戦の幕開けとなるグランプリです。レースウイークは不安定な天候となり、金曜日はドライコンディションでしたが、土曜日はほとんど終日雨となりました。こうした条件に加えて低い気温や風といった天候もあり、イギリスGPは難しいコンディションの決勝レースとなったのです。

【MotoGP第9戦イギリスGP】Moto3クラスでで2位表彰台を獲得した佐々木歩夢選手(写真左)
【MotoGP第9戦イギリスGP】Moto3クラスでで2位表彰台を獲得した佐々木歩夢選手(写真左)

 Moto3クラスに参戦する佐々木歩夢選手(#71/ハスクバーナ)は、フリープラクティス2で転倒を喫したためにドライコンディションでの走行時間が他のライダーよりもさらに短い状態でした。また、予選では最後のアタックタイムが他のライダーの転倒の影響でキャンセルとなり、7番手に。

 Moto3クラスでは、例えばMoto2やMotoGPクラスよりも後方グリッドから追い上げることが可能ではありますが、全体的な流れという点で見れば、佐々木選手にとって順調なレースウイークとは言い難いように思われました。

 しかし、フランスGPから前半戦締めくくりのオランダGPまで4戦連続表彰台を獲得した佐々木選手の「シーズンの勢い」は、後半戦に入っても変わらなかったのです。

 決勝レースでは序盤から上位集団の中で周回を重ね、安定してトップ5以内をキープしていました。近年のMoto3の決勝レースは、5~6人の速いライダーが抜け出し、小さなトップ集団を形成したあとに、そのなかで順位争いを繰り広げる展開が多かったのですが、今回は違いました。トップから20番手付近までのライダーがずらりと連なったまま、大きな集団となって激しい接戦を展開したのです。

「そういう展開になることは最初からわかっていました」と、佐々木選手はレースを振り返ります。

会見で「トリッキーなレースでした」とレースを振り返る佐々木歩夢選手
会見で「トリッキーなレースでした」とレースを振り返る佐々木歩夢選手

「みんなペースが良くなかったんです。ドライのセッションが少なかったので誰もセットアップできておらず、グループになるのはわかっていました。だから、グループのなかで転倒にだけは巻き込まれないように、ぶつからないように気を付けながら走るレースでした。展開としては本当に思った通りで、前に出て頑張っても引き離せないのはわかっていたので、80パーセントくらいの力でレースをしていたんです。そこまでリスクを冒さないレースだったかなと思いますね」

 トップを走っても次の周には5番手に後退するような大きな集団での混戦、接戦のなかで、いかに冷静に戦っていたのかがうかがえます。Moto3クラス参戦7年目の経験を持つライダーらしい頼もしさがありました。

 最終ラップの戦略についてはどう考えていたのですか? と尋ねると、「考えていたんですけど、急に5番手まで落ちちゃって“やばい”と焦って……」と、少し苦笑いします。最終ラップに入ったとき佐々木選手は5番手。これは想定外の後退でしたが、その後、落ち着いて前のライダーをかわし、ダビド・アロンソ選手(#80/ガスガス)に次ぐ2位でゴールしたのです。

大きな集団での争いが終盤まで続く混戦のレースだった
大きな集団での争いが終盤まで続く混戦のレースだった

「良い2位でした。ドイツやアッセンは勝ちたかった! というレースでした(※どちらも僅差の2位)。でも今日はコンディションが悪かったから、優勝できたかもしれないけど、5位で終わっていたかもしれない。そういうレースでしっかり表彰台に乗れたのは、良かったです。嬉しい2位かなと思います」

 そう語った佐々木選手は「2位を獲得して、もうちょっと喜ばないといけないのかなとも、さっき思いましたけど……」と、少し笑います。その言葉を聞いた瞬間、佐々木選手の今の強さ、自信がぐっと伝わってきました。表彰台の獲得はもちろん嬉しい結果であるとともに、今の佐々木選手にとっては手にするべき結果なのかもしれません。

「それだけ今、自信を持っていて、チームも僕が優勝できると思って取り組んでくれているんです。チームもすごく落ち着いているし、うまく取り組めていると思います」

 今回のように、天候によってドライコンディションでの走行時間が短くとも、予選で自己ベストタイムがキャンセルになろうとも、決勝レースの展開が大きな集団での混戦になろうとも、今の佐々木選手はどんな状況であっても強いのです。それほど佐々木選手には、安定感があります。そしてそれは、チャンピオンシップを戦うにあたって最も重要なものでもあります。チャンピオンを獲得するためには、2023年シーズンの全20戦で安定した結果を出し、ポイントを獲得し続けなければならないからです。

【MotoGP第9戦イギリスGP】Moto3クラスを走る佐々木歩夢選手(#71/Liqui Moly Husqvarna Intact GP)
【MotoGP第9戦イギリスGP】Moto3クラスを走る佐々木歩夢選手(#71/Liqui Moly Husqvarna Intact GP)

 佐々木選手はイギリスGPを終えて、チャンピオンシップのランキングトップから22ポイント差のランキング2番手に浮上しました。MotoGP第10戦オーストリアGPは8月18日~20日、オーストリアのレッドブル・リンクで行なわれます。

 シーズン後半戦も、確かな強さを発揮する佐々木選手の連続表彰台獲得に期待です。

■Moto3クラスとは……

 Moto3クラスは、4ストローク250cc単気筒エンジンのレーシングマシンで争われる。タイヤはダンロップのワンメイク。MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの中で最も年齢層が低く、Moto2クラス、MotoGPクラスへの昇格を目指す若いライダーたちがしのぎを削る。

【画像】2023年シーズンのMoto3クラスに参戦する佐々木選手を見る(6枚)

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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