2024年もホンダからMotoGPクラス参戦の中上貴晶選手 今のターゲットは「2024年に向けたバイクのパフォーマンス改善」
2024年のHRCとの契約更新と、LCRホンダ・イデミツからのMotoGP継続参戦が発表された中上貴晶選手(ホンダ)。中上選手が今、見据えているものについて聞きました。
2024年シーズンもホンダから参戦
中上貴晶選手(ホンダ)のHRCとの契約更新、そして2024年も引き続きLCRホンダ・イデミツよりMotoGPクラスに参戦することが発表されたのは、インドGPの前、9月19日のことです。中上選手はすでにカタルーニャGPの時点で契約更新がほぼ確定していると認めており、ホンダ残留が濃厚とみられていました。

2018年からMotoGPクラスに参戦を続ける中上選手にとって、2024年は最高峰クラス7年目のシーズンとなります。2023年シーズン、厳しい戦いが続くホンダ勢は転倒、負傷が相次いでいますが、中上選手は日本GPまでただ1人、欠場することなくエントリーを続け、レースで得た貴重なデータを持ち帰っています。
そんな状況の中で、中上選手は今後の目標、目指すところをどう考えているのでしょうか。なお、この話を聞いたのは日本GPの木曜日のことです。
「去年から今年、マシンとライダーが一致して安定した成績が残せていません。まずは、残りのバレンシアまでの数戦ですね。2024年に向けて、テストなどを経て、自分の位置がもっと明確になってくると思います」
「ただ、今年はテストの時期からずっと下位に沈んで苦しんでいたので、そうならないように、今から2024年に向けて準備していきたいと思っています。日本GP以降は2024年に向けていかにバイクのパフォーマンスを上げられるか、手助けできる部分はしたいと思っています。それはイコール、自分の結果に結びつくことです。最終的には自分の成績、自分のパフォーマンスを上げることを重点に置いて進めていきたいと思っています」

今はホンダマシンの改善の尽力を考えることが先決であり、それは今後の己のパフォーマンス改善のためでもある、ということでしょう。
少しさかのぼりますが、イギリスGPではファクトリーライダーに先駆けて、新エアロが中上選手のマシンに投入されました。これについては様々な見方ができましたが、中上選手は「いろいろなテストをして現状を変えたい。それが自分の楽しみでもあるんです。受け取れるものがあるなら、受け取って走りこんで、次のレースや将来に向けて力になれればと思います」と語っていました。その口調に迷いがなかったことが印象的でした。
日本GP後、10月4日にはファクトリーライダー、マルク・マルケス選手が2024年シーズンにホンダを離れることが発表されました。マルケス選手は11年にわたって所属してきたホンダで6度のチャンピオンに輝き、名実ともにホンダをけん引してきたエースライダーです。マルケス選手の後任は10月8日時点で発表されていません。いずれにせよ、2024年は中上選手がホンダで最も経験のあるライダーになるでしょう。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。