不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア! お気に入りのキャブレターを取り付け【vol.8】

老舗内燃機屋「井上ボーリング」で、年間700台ものヘッド再生を行うベテランヘッド技師が、不動車となったホンダ「ベンリイC92」の再生とモディファイを行う連載。第8回目は、お気に入りのキャブレターを限られたスペースに収まる様に取付けます。

キャブレターマウント用のマニホールドを制作

 数年前に会社で誰でもエンジョイ耐久 “DE耐!”に参加していた時期があり、その際に使って以来すっかり気に入ってしまい、自分のスズキ「GS750」にも組み込んでいる、ヨシムラ製MJNキャブレター。

 DE耐のマシン用キャブレターはミクニ製のTM-MJNとケイヒン製のCRmini-MJNの2種類があり、絶対的なパワーではCRmini-MJNの方が上でしたが、セッティングの許容範囲が広くて楽な上に、燃費も優れるTM-MJNはフラットバルブのお陰で前後長が短く、インストールしやすい為、ベンリイC92にピッタリなのです。

左:TM-MJNキャブレターと右:C92純正キャブレター
左:TM-MJNキャブレターと右:C92純正キャブレター

 しかしながら、ベンリイC92純正キャブレターは本体を直接シリンダーヘッドにナットで留める構造で、前傾したシリンダーヘッド側の取り付け面が垂直になっていて、水平にマウントされますが、TM-MJNはインテークマニホールドにゴムパイプで接続する構造な上に、ベンリイCD125のキャブレターは前傾された状態でマウントされる為、ヘッド側の取り付け面も前傾しています。

 またベンリイC92はキャブレター後方のフレームカバーがデザイン上のポイントになっており、シリンダーヘッドとフレームカバーの間に収まらなければ、取り付ける事ができません。

キャブレター後方のフレームカバーはC92のデザインに不可欠
キャブレター後方のフレームカバーはC92のデザインに不可欠

 出来合いのインテークマニホールドで都合よく使える物などある筈も無いので、これはアルミの端材から旋盤やフライス盤等を使い、削り出す事にします。

 ゴムパイプ取り付け部は既製品と同寸法としつつ、フランジ部は出来るだけ短くなるように製作。角度は製作途中でシリンダーヘッドにあてがって、クランクケース上面と垂直になるように何度も確認し、微調整をしていきました。

インテークマニホールドをアルミの端材から削り出して制作
インテークマニホールドをアルミの端材から削り出して制作

フレームカバーの加工

 何とかTM-MJNキャブレターを水平にマウント出来るようになりましたが、フレームカバーをあてがってみると、僅かにキャブレターに干渉して、付けられなかったので、当たる部分をリューターで削って無事に取り付ける事が出来て、ひと安心。

 キャブレターの位置が10㎜ほど高くなっていますが、これくらいなら問題は無さそうです。

干渉部分をリューターで削って無事にフレームカバーを取付け
干渉部分をリューターで削って無事にフレームカバーを取付け

 ここまでの作業でエンジンを車体に載せる準備は整いましたが、まだ車体側が手付かずの状態なので、次回は車体側の状態確認や、手直しの作業を紹介します。

【画像】不動車となったホンダ「ベンリイC92」をレストアする様子を画像で見る(10枚)

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Writer: 市川信行(井上ボーリング ヘッド技師)

川越で創業70年の老舗内燃機加工屋「(株)井上ボーリング」で多種多様な4ストロークエンジンのシリンダーヘッドに関するオーバーホール作業を担当する加工技師。プライベートでもバイクのレストアを趣味としており、趣味を仕事に生かしてるのか仕事を趣味に生かしているのかよく判らないこの状況を楽しみながら、年間700台前後のヘッド再生をこなしている。

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