走り出す前に「暖機」しないとダメですか?
21世紀に「暖機」の文言が消えた!?
昔のキャブレター車は、暖機しないとギクシャクして走れない、現代のFI車は暖機しなくても普通に走れる、でもエンジン的にはキチンと暖機した方が傷まないハズ……と、暖機運転の是非はなかなか答えが出しにくいのが実状です。

ちなみに、ホンダのロングセラーモデル「CB400 SUPER FOUR」の場合、キャブレター車の最終モデル(2006年のNC39型)のハンドブックには“エンジンが冷えている時はチョークを引いて始動し、エンジンがかかったら徐々に戻し、回転がスムーズになるまで暖機運転をする”と記載されています。
しかしFI化された2008年のNC42型のハンドブックには“無用の空ふかしや長時間の暖機運転はしないでください”の注意書きがあります。
そして2011年モデルのハンドブックでは“無用な空ぶかしや長時間のアイドリングはエンジンやマフラー、触媒装置に悪影響を与えます”に変わり、ついに「暖機運転」の文言が無くなっています。
他車種や他メーカーの場合も、キャブレター車からFI車に切り替わったタイミング(2000年代の中盤頃)で、おおむね同様の記載になっています。
結論、「暖機走行」がオススメ!
じつは、アイドリングのような低回転は最適な燃焼状態とは言えず、あまり長時間行なうとエンジンの燃焼室やマフラーにカーボンが堆積して、性能低下やトラブルの原因になります。

また、ある程度暖機してもシリンダーやシリンダーヘッドが暖まるだけで、トランスミッションなどはそれほど暖まりません。したがって「十分暖機したから」といきなり飛ばすのは、やめた方が無難です。
さらに言えば、暖機が必要なのはエンジンだけではありません。たとえばサスペンションも適温にならないと動きが鈍く、タイヤやブレーキも、温まらないと本来のグリップ力や制動力を発揮することができません。とはいえこれらは、停めた状態でエンジンを回し続けても、当然ながらまったく暖まりません。
というワケで、オススメは走りながら暖める「暖機走行」です。
愛車が近年のFI車なら、エンジンをかけたらスグに走り出してOKです。ただし、エンジンの回転数を抑え、急加速や急減速を避けて大きな負荷をかけないように走ります。同時にサスペンションやタイヤ、ブレーキをしっかり動かして暖めますが、これもガツンとブレーキをかけるような急な動きではなく、ジワ~っと強めて、サスペンションも大きく動かすことが大切です。
そして愛車がキャブレター車の場合も、走り出してもエンストしないくらいの最低限の暖機に留め、できるだけ速やかに走り出す方が良いでしょう。その後はFI車と同じです。
ちなみに、早朝や深夜の暖機運転は、近所の人にとっては明らかに迷惑な「騒音」なので、大きな近隣トラブルに発展する可能性もあります。暖機をするなら、大型車だと重くて大変ですが、交通量の多い道路まで押してから行ないましょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。










