ホンダの意地と技術を証明したモデル! 90年代に誕生したホンダの高級セダン「ビガー」とは

常識を覆したホンダの技術陣

 ホンダ技術陣は知恵を絞ります。直列5気筒エンジンを縦積みにするのではあれば、動力をそのままプロペラシャフトで後輪に導くのが自然ですが、マンマキシマム・メカミニマム思想を貫くためには、FF駆動方式にこだわりたい。

総排気量2451cc水冷直列5気筒縦置エンジンは、最高出力190PS /6,500rpm、最大トルク24.2kgm /3,800rpmを発揮した(写真提供:ミハラ自動車)
総排気量2451cc水冷直列5気筒縦置エンジンは、最高出力190PS /6,500rpm、最大トルク24.2kgm /3,800rpmを発揮した(写真提供:ミハラ自動車)

 ただそれでは、フロントタイヤを前輪に導くドライブシャフトがエンジンと干渉してしまう。奇策に挑みました。エンジンのフロアパンに穴を開けてドライブシャフトを貫通させたのです。それであれば、エンジンを低く搭載したままFF駆動が成立するというわけです。

 いやはや、驚くほど突飛なアイデアであり、感心するほど高度な技術力がなければ成立させることはできなかったでしょう。1992年のことです。

 それでも残念ながら、ビガーは商業的には成功しませんでした。ライバルであるトヨタ・マークII三兄弟や日産スカイライン/ローレルなどの牙城を崩せなかったのです。それをマンマキシマム・メカミニマム思想へのこだわりが邪魔をしたとするのは酷ですが、もっとシンブルにFR駆動にしていれば、あるいは成功していたかもしれません。

 現在ホンダは高級車をラインナップしていないのは、ビガーの不成功が亡霊のように立ちふさがっているように思えてなりません。

 ともあれ、直列5気筒エンジンを縦積みしてシャフトを貫通させたことで、ホンダの熱い開発魂と技術力を誇示することには成功したと思います。

1992年に誕生したホンダ「VIGOR 25S」
1992年に誕生したホンダ「VIGOR 25S」

 直列5気筒ビガーの誕生は1992年です。バブル経済があったから誕生した、まさに泡のように消えた幻の高級車とも言えそうですね。

 ホンダの意地と技術を証明するモデルとして歴史に刻まれています。

◾️ホンダ「VIGOR 25S」

<エンジン>
形式:G25A
種類:水冷直列5気筒縦置
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
総排気量(cc):2451
圧縮比:8.3
最高出力(ps/rpm):190/6500
最大トルク(kgm/rpm):24.2/3800
燃料供給装置:電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
燃料タンク容量(リットル):65
<寸法・定員>
全長(mm):4830
全幅(mm):1775
全高(mm):1375
ホイールベース(mm):2805
乗車定員(名):5

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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