チェーンのメンテナンスは“専用ケミカル”で!
近年のバイクのチェーンはとても丈夫なので、走行中に切れてしまうようなトラブルは滅多にありません。とはいえメンテナンスを怠ると、乗り味の悪化や寿命に大きく影響します。日頃からの“清掃・潤滑”が大切ですが……。
清掃も潤滑も、チェーン専用品を使おう!
チェーンのメンテナンスと言えば、清掃と潤滑、張りの調整です。この中で張りの調整作業は相応に難易度が高いので、ライダーは張り具合をチェックして、適正でなければバイクショップに作業を依頼する方が得策です。

一方、清掃と潤滑の作業は、ケミカル用品を用意すれば誰でもできます。チェーンは油っぽくベタベタ汚れているので触りたくない……という気持ちも分かりますが、ここは頑張って行ないたいトコロです。
まずは「清掃」ですが、とくに雨天時に走行した後などは路面から巻き上げた泥水で汚れている(泥や砂が付着している)ので、速やかに汚れを落とすことをオススメします。
洗車と同時にシャンプー剤で洗浄するのもアリですが、油脂と泥砂が混ざったチェーンの汚れはかなり頑固なので、あまりキレイにならないかもしれません。
そうなると強力な洗浄力を持つ「パーツクリーナー」を使いたくなりますが、これは絶対にNGです。現行の250ccクラス以上のバイクに使われているのは「シールチェーン」が一般的ですが、パーツクリーナーの主成分は溶剤なので、ゴム製のシールリングを傷めてしまいます。

そこで、チェーンの清掃には必ずシールリングを傷めにくい成分のチェーン専用のクリーナーを使いましょう。チェーンメーカーやバイクメーカーがリリースしている製品がオススメです。
そしてチェーンを清掃した後は、必ず「潤滑」しましょう。ここでも注意したいのが、汎用の「潤滑スプレー」は溶剤成分を含む製品が多く、ゴム製のシールリングを傷める可能性があるので使用はNGです。やはり、チェーン専用の潤滑剤を塗布する必要があります。

チェーンに注油、する? しない?
じつは、一部のメンテ好きやメカ好きライダーの間で「シールチェーンに潤滑剤の塗布は必要か否か」という論争があります。
現代のバイクは125ccクラスくらいまではノンシールチェーンですが、それを超える排気量のバイクはほぼすべてがシールチェーンを装備しています(モトクロッサーなど競技車両は除く)。これはメンテナンスの簡易化や寿命を延ばすために、ピンとブッシュの間にグリスを封入し、ゴム製のシールリングで密閉したチェーンです。
走行中のチェーンはものすごいスピードで回転しているため、強い遠心力がかかっていますが、その状況でもグリスが飛び散らない強力なシールリングを装備しています。
ということは、外部から潤滑剤(チェーン専用のスプレーグリス)を吹き付けたところで、シールリングに邪魔されてピンやブッシュの中には浸透しないし、そもそもグリスを封入しているのだからそれ以上潤滑する必要は無いのでは……というのが論点です。

そこでチェーンメーカーに問い合わせたところ、「チェーンの潤滑は行なってください」との答えが返ってきました。
じつは、専用の潤滑剤(チェーンルブ)を塗布する大きな理由は「シールリングの保護」のためなのです。
チェーンは高速回転することで発熱し、その熱によってシールリングが“炭化”する可能性があります。また紫外線や乾燥によっても劣化し、最終的にはシールリングが切れてしまいます。そうなると、封入したグリスは当然漏れ出てしまいます。
そこでチェーンルブを塗布することで、シールリングを熱や紫外線などから保護するというワケです。またメッキ処理されていない純正チェーンなら、サビ止めの効果もあります。
他にもチェーンのローラー部分にチェーンルブを塗布することで、噛み合っているスプロケットの歯の摩耗を抑えることができます。
これらの理由から、シールチェーンも潤滑が必要です。また小排気量車のノンシールチェーンの場合は、ピンとブッシュの潤滑のためにも、チェーンルブを塗布しましょう
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。










