クラッチ操作なしでバイクがますますスポーティ!? ウソじゃなかったホンダ意欲作「Eクラッチ」の楽しさ!!

満を持して登場した新機構「Eクラッチ」

 HFTからDCTへと、クラッチレス技術を進めてきたホンダは、さらなる新技術「Eクラッチ」を2023年秋に発表、12月には技術説明会が開かれました。

ホンダEクラッチ開発責任者の小野惇也さん(二輪・パワープロダクツ事業本部二輪パワープロダクツ開発生産統括部完成車開発部)に操作方法を詳しく聞く筆者(青木タカオ)
ホンダEクラッチ開発責任者の小野惇也さん(二輪・パワープロダクツ事業本部二輪パワープロダクツ開発生産統括部完成車開発部)に操作方法を詳しく聞く筆者(青木タカオ)

 ホンダEクラッチ開発責任者の小野惇也さん(二輪・パワープロダクツ事業本部二輪パワープロダクツ開発生産統括部完成車開発部)は、2009年に入社して以来、駆動系技術開発に携わり、技術を研鑽して知見を高めてきたことを我々報道陣を前に話してくれました。

 そこで筆者(青木タカオ)が「コイツはスゴそう!」とまず思ったのが、システムの構成やアクチェーターの制御にロボティクスの技術が用いられていることです。

 というのも小野さんは、二足歩行ロボット『ASIMO』でもお馴染みホンダのロボティクス領域の開発チームからも助言を受けているとのこと。

 その一方で、Eクラッチのシステムは軽量かつコンパクトで、従来のマニュアル車のエンジン構造を大幅に変更することなく、クラッチ部にアクチェーターを追加するというもの。右側フットスペースへの影響を最小限にし、重量増も抑えています。

 操作フィール、そしてコストを考えても、小野さんはベストを選んだのでした。

ベテランライダーより上手い!

 5月30日、楽しみにしていた報道向け試乗会で、小野さんは新型『CB650R』および『CBR650R』にて、操作方法を手取り足取り教えてくださいました。

「これはずるい!」

 マニュアル車にある既存のクラッチ機構はそのままで、ライダーがおこなうレバー操作をモーターによる電子制御に置き換えています。

発進や停止時もレバー操作は不要なのはもちろん、Eクラッチはスロットルワークに合わせた分だけ、クラッチを確実に巧妙につないでくれる
発進や停止時もレバー操作は不要なのはもちろん、Eクラッチはスロットルワークに合わせた分だけ、クラッチを確実に巧妙につないでくれる

 発進や停止時もレバー操作は不要なのはもちろん、小野さんは衝撃の事実を伝えてくれました。

「熟練のライダー(人間)よりもクラッチレバー操作は上手いのです」

 悔しいけれど、ウソではありません。人間だとエンストしないよう、クラッチミートの際に回転をわずかながら余計に上げておいたり、半クラを直感的に使ったりしますが、そこは電子制御。「念のため」だったり「勘」なんていう概念はなく、スロットルワークに合わせた分だけ、クラッチを確実に巧妙につないでいくのです。

 試しに人間では難しいトップギヤ6速発進を試してみますと、難なく(クラッチ板への損傷を最小限に抑えつつ)車体を加速させていくのでした。

スポーティな走りでこそ真価発揮!!

「でも、小野さん! どんなに素晴らしくたって、走って面白くなければ意味はありませんよ」

クラッチ操作から開放されたことで、ますます走りに集中できる
クラッチ操作から開放されたことで、ますます走りに集中できる

 負け惜しみを言いつつ、クローズドコースで『CBR650R』を走らせます。すると、クラッチ操作から開放されたことで、コーナリング時の体重移動やステップへの荷重が今まで以上にアグレッシブになり、タイヤのグリップやサスの動きなどに意識がますます向き、よりスポーツライディングを満喫できるではなりませんか!!

 クラッチレバー操作がなくなって、つまらなくなるなんてことはなく、ますます走りに集中できる。レバー付きの車両より、ハイペースで周回できるのです。

クラッチ操作から開放されたことで、コーナリング時の体重移動やステップへの荷重が今まで以上にアグレッシブになる
クラッチ操作から開放されたことで、コーナリング時の体重移動やステップへの荷重が今まで以上にアグレッシブになる

 Eクラッチは「楽(ラク)ができるのではなくて、さらにまた1ランク上のステージに上がれる機構なのかもしれません。

 小野さん、参りました。聞けば、開発期間に10年以上を費やしたとのこと。その価値、恩恵、十分に感じた次第です。

半クラ職人ホンダEクラッチ! ベテラン上級者ライダーがやってきた巧みなレバー操作はもう要らない!? 【新型CB650R】

【画像】ホンダ『CBR650R』(Honda E-Clutch搭載仕様)の画像を見る(15枚)

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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