24時間を戦うには作戦が重要!? EWC最終戦のレース結果とは レーシングライダー石塚健のレースレポート

24時間レースの戦い方はそれぞれ

 そしていよいよ自分のラストスティントへ。自分の役目を終えて、やっとの思いでピットに戻ると、チームからまさかの質問が。「チェッカーを受けたいか?」

 一瞬、何を言っているのか理解ができず、「えっ?ノーノー!」と回答しましたが、チームのオーダーは、このままダブルスティントで、チェッカーを受けて来いというもの。

 もちろんチェッカーを受けたい気持ちはありましたが、この時点で23時間が経過しており、自身としては9スティントを走り終えた所。既に満身創痍で、物理的に無理という感じでした。

 しかしチームは「GoGo!!」と送り出す雰囲気。とりあえず「残り何分?」と聞くと、「フォーティーンミニッツ!」との回答。

 後14分か。それなら6周か7周だから、気合で乗り切ろう!と心に決め、ピット作業を終えるとそのままコースイン。

 ホームストレート上のブリッジ下に残り時間が表示されているのですが、1周走って時間を見ると、まさかの40分との表示で、フォーティーン(14)じゃなくてフォーティ(40)か!!と、正直絶望でした(笑)

ダブルスティントを終え、チェッカーを受ける石塚健選手
ダブルスティントを終え、チェッカーを受ける石塚健選手

 そんな中、ペースを落として何とか最後まで走りきり、自分達の戦い方を貫いてチェッカー! 最終的に18チームがリタイアする中、耐久レースらしいレース運びで、シーズンベストとなるクラス5位でチェッカーを受ける事ができました。

 最終のダブルスティントを含む10スティントはとても長く、精神的にも肉体的にもかなりハードなレースでしたが、ミスすることなく、予定していた通りにレース進められたことで、上手く結果に繋げる事ができました。

 序盤からエンジンを温存することなく走り、更に上位を狙うという戦い方もできますが、そこには大きなリスクを伴うことになるので、チームは温存する戦い方を選択。

 ラップタイムだけを見ていたら決して速くはありませんが、パワーを絞らなければもっと速く走ることは可能で、そっちの可能性に賭けたレースがしたいと思ってしまう事も、僕自身もちろんあります。

 ストレートでライバルたちに抜かされて、コーナーで追い付いて抜くタイミングを見計らうというレースは、フィジカル的にもハードです。

 ですが、そこには大きなリスクがあるという事は、エンジンブローによるリタイアの多さが物語っていると思います。そのため、まずはミスなくできる限りの力を振り絞り走り切る。そして結果を待つ。それが今回のボルドールでの、僕達チームの戦い方でした。

石塚健選手が所属するMaco Racing Team
石塚健選手が所属するMaco Racing Team

 総合順位を考えたら、当然ストックチームにも強豪チームは多く、この戦い方では上位を目指すのは容易ではありません。自分達よりも速く走れ、トラブルなども起きなければ当然負けてしまいます。

 しかし僕らはEWCチーム。混走でのレースにはなりますが、当然チャンピオンシップは別なので、クラスでのリザルトにフルフォーカスして戦いました。

 メーカー系チームが多数存在するEWCクラスでは、いわゆるトップチームと真っ向に戦うとなると、現状の体制では正直太刀打ちができません。ならば戦い方を変えるしかないという事なんです。

 耐久レースでのアベレージタイムは、チーム内でのライダーの力量によって差は産まれるものの、それぞれのチームに戦い方があるので、速いライダーが常に速いかと言われればそうとは限らないし、強いチームが常に速いかといえばそうでもありません。

FIM世界耐久ロードレース選手権 最終戦 ボルドール24時間でポール・リカールサーキットを走るレーシングライダーの石塚健選手
FIM世界耐久ロードレース選手権 最終戦 ボルドール24時間でポール・リカールサーキットを走るレーシングライダーの石塚健選手

 あくまで結果がリザルトとして残るかどうか。それが耐久レースの戦い方。

 リザルトやタイミングモニターからの情報だけでは分からない部分や、チーム戦略などもあるので、色々な想像をしながら観戦するのも楽しいのではないかと思います。

 まだまだ良くしていけると思う部分は多々あるので、そこは来年に向けての課題。

 最終戦を終え、チャンピオンシップは8位を獲得。開幕戦のリタイアが響いてしまい残念ですが、最終戦で良いレースをし、シーズンベストを更新できた点は良かったです。

 今シーズンはこれにて終了となりますが、来シーズンも今年以上のパフォーマンスを発揮して、更に目標に近付けるよう全力で走り続けますので、引き続き応援よろしくお願いします。

 皆さん、本当にありがとうございました!それではまた!

石塚 健 / Takeshi Ishizuka🇯🇵🏁

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Writer: 石塚健

(レーシングライダー)埼玉県出身の30歳。3歳からポケットバイクに乗り始め、ロードレースというオートバイ競技に参戦。現在は世界各国で活躍できるライダーを目指して日々、活動中。
2019年から、ヨーロッパでおこなわれる「FIM CEV REPSOL Moto2ヨーロピアンチャンピオンシップ」への挑戦を開始。2025年は「FIM 世界耐久選手権」に、フランスのDafy-RAC41-Hondaより参戦し世界タイトルを目指します。自身のチームも立ち上げ「鈴鹿8耐」にも参戦! スポンサー募集中です! 応援よろしくお願いします。

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