不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!いよいよ公道復帰に向けてナンバー登録を行います【vol.16】
老舗内燃機屋「井上ボーリング」で、年間700台ものヘッド再生を行うベテランヘッド技師が、不動車となったホンダ「ベンリイC92」の再生とモディファイを行う連載。第16回目は、フロントブレーキに装備されていないブレーキスイッチを追加した上で、軽2輪登録を行います。
フロントブレーキスイッチが付いていないベンリイC92
エンジン始動後の電装確認で気が付いた、ブレーキランプ問題。リアブレーキはペダルを踏めば点灯するのですが、フロントブレーキはレバーを握っても点灯しません。
ブレーキスイッチの不良かな?ブレーキスイッチなんてあったかな?と思いながら配線図で確認すると、元々リアブレーキにしかブレーキスイッチが存在しない事が判明。
元々ブレーキの利き自体良くないので、前後同時にブレーキを掛ける事にはなりますが、停止後にブレーキランプを点灯させ続けるには、右足をペダルから降ろす事ができない仕様です。そうなると不便な上に危険なので、ブレーキスイッチを追加することにします。
ちなみにホンダ「DAX」や「シャリー」等、古いホンダの原付ではブレーキワイヤーの途中にスイッチを割り込ませる形で装備されていました。
現代の市販車ではブレーキレバーの付け根にスイッチを装備するのが通常となっていますが、この方式に落ち着くまでには試行錯誤があったようです。
ベンリイC92は配線がハンドルパイプの中を通るスイッチボックスとブレーキレバーは、ホルダーが別体でレバーも長く、クランプ式のウィンカーと共に造形にこだわりを感じるデザインとなっている為、このデザインはあまり変えたくありません。

そうは言っても上下に操作するウィンカースイッチや、右グリップ内に仕込まれたスロットルワイヤー引き等、使いづらい部分は既に変更済みで、実用と見た目に関しては個人的なさじ加減で折り合いをつけています。
ホンダ車でドラム式ブレーキ且つ、ホルダー部が独立していてブレーキスイッチ付きという、都合のいい車種があったかな?と思いつつネット検索してみると、キタコのモンキー用ブレーキレバーが見つかりました。
ハイスロに変えた車両向けの改造部品でパワーレバー型の短いレバーですが、ホルダー部はベンリイC92純正とミラー取り付け穴の位置まで同じで、ブレーキスイッチが付いています。
もしかしてベンリイC92のレバーがそのまま付くかも?と期待しつつ、価格も手頃だったので早速購入してみました。

これが何と大正解で、ブレーキスイッチ取り付け部以外はベンリイC92のレバーホルダーと同形状など、期待通りの製品でした。
バックミラーの取り付けネジがM8のところM10になっていましたが、M8ヘリサートコイルを入れるだけでOKと言うミラクルぶりで違和感を感じない収まりは嬉しい限りです。
ブレーキスイッチの配線はハンドルパイプ内を通さずメインハーネスとは別の線を引き直しリアブレーキスイッチに共締めするだけという手抜き工事で無事に取り付け完了しました。