物置ベースとは思えない完成度!? 市販「床付き物置型ガレージ」を唯一無二にカスタマイズ たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.04
単なるバイク置き場としてのガレージ利用ではなく、バイクいじりが大好きなサンデーメカニックが所有するガレージを見学すると、そこはまさに「夢空間」と呼ぶこともできます。ガレージは「使う立場でアイデアを具現化」することで、その印象は様変わりするものです。敷地=ガレージスペースを得ることができると、手っ取り早くバイクいじりを楽しみたいと考えるものです。そんなときにお勧めしたいのが、市販の床付き大型物置や、市販ガレージと呼ばれる商品です。しかし、そんな市販品をそのまま使うのではなく、アイデアを具現化することで、バイク仲間から羨ましがられるガレージオーナーになれる可能性もあります。ここでは、そんな具体例をご紹介しましょう。
市販ガレージは「白物家電」のようでもあります
市販のスチールガレージは、もちろんそのままで利用することができます。しかし、スチールガレージは、見かたを変えると、まさに「白いキャンバス」とも言えます。
「魅力的で、よりいっそう使い勝手が良好なガレージを作りたい!!」と考えると、その夢は大きく膨らみます。
ここに紹介するガレージは、その見本のひとつになります。購入からの組み立て直後からガレージとして使い始めてしまうと、ある意味、物置にしか見えません。目立ちたくない、目立たせないなどなど、そんな目的があるのなら、それはそれで良いのと思います。
その一方で、「ガレージ空間で落ち着きたい」、「時にはお茶でもしながら、くつろぎたい」と考えると、ガレージ内外には、それなりの雰囲気が欲しいものです。

このガレージオーナーさんは、完成直後からガレージとして利用せず、まずは内装のイメージングから始めました。想像したのは、暖か味のあるウッディーな仕様の内装でした。
床面には建築用コンパネを敷いた上に、さらにフローリングを敷きました。この組み合わせによって、鉄板フロアの上を歩くのと比べて、圧倒的に脚腰への負担が減ったそうです。また、小型のメンテナンスリフターを設置する予定だったので、そのためにも頑丈な床作りとしました。
さらに、空間スペースの有効活用を目的に、正面の壁板には多孔板を取り付け、壁掛け式の工具箱を設置したことで、壁際の空間も無駄なく有効活用しています。何より、ルックス的な印象も大きく変わりました。この装備チョイスは大成功で、狙ったとおりの作業環境や空間を確保できました。全体的な内壁は、組み合わせ板のように見える壁板を貼り付けています。この壁板は断熱効果としても優れています。
部品棚兼作業台は、標準装備の棚板の上に、厚手のパイン集成材を載せて、下側から棚板越しにテックスビスで固定しています。このような固定によって、極めて頑丈かつちょっとした作業なら十分可能な「部品棚兼作業台」にもなりました。極端に重い部品を載せることはできませんが、エンジン台の上に固定したホンダ4ストミニ系エンジンなら、オーバーホール作業も楽しむことができます。こんな作業台でも剛性は十分だそうです。
DIYだから可能なオリジナル装備でガレージングが楽しくなる!!
見た目が白物家電のようでもあるので、脱「物置」宣言で、外装も改造することにしたオーナーさん。白物的イメージを「白いキャンバス」に置き換え、様々なケースを考えた結果、大きな変身にチャレンジしました。

その基本工事として、レンガ調サイディングを外壁の一部に取り付けました。この装備だけでも白物的イメージは一新されました。サイディング(建物の外壁に使う板状の外装材)を施すことによって、断熱効果も得ることができます。
単なる物置やバイク置き場ではなく、バイクいじりもするワークショップとして使うのだから、このような視覚的効果は良いアイデアだと思います。おまけに断熱効果がありますので、将来的にエアコンなどを取り付けた時にも、高い気密効果を発揮します。とにかく見た目がオシャレになりますので、こんな仕上げはお勧めです。
市販商品のスチール物置やスチールガレージがベースですが、このような改造を実践するには、お金が掛かるし労力も必要になります。しかし、本格的なマイガレージの建築と所有を考えると、現実的にコスト計算できる魅力的な夢空間と言えるのが、市販物置やスチールガレージの改造だと思います。オーナーのやる気と行動力次第で、様変わりすると思います。
市販のオーニングテントを大改造
ガレージ内に西日が差し込むと眩しいです。また、夏場は間違いなく暑苦しい環境になります。そこで取り付けたのが「オーニングテント」と呼ばれる日除けです。

インターネットショッピングで購入した商品は、日除けテントの出し入れを左右のツッパリ棒で保持するタイプでした。テント幅は2.5メートルで、クルクル回して出すテントの伸びしろは2.0メートルの商品。床面と天井(ガレージ天井の僅かな軒先)との間で、メイン支柱をツッパリ、日よけテントをグルグル回して張り出す仕様でした。
その商品を大改造して、金具を介してロール日避け本体をガレージ躯体のフレーム部分へ直接固定しました。さらにテントを広げる左右のアーム棒を改造して強度アップ。そのアーム棒のピボット固定は、ゴムローラーのキャスター金具を流用することにしました。
このオーニングテントは、本来、日除け目的の商品です。とはいえ、小雨程度ならテント下のバイクが濡れてしまうこともありません。小雨でも風が強いときには利用できませんが、このようなオーニングテントの改造も、自己責任で楽しんだそうです。まさにアイディアの光るカスタマイズといえるでしょう。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。