最大勾配18%!! 東京オリンピック激闘の記憶が蘇る最難関峠『明神三国峠』を駆け上がる

東京オリンピック2020の自転車競技男子ロードレースで激闘の舞台となった「明神三国峠」は、世界のトップ選手たちが走った最大勾配18%に及ぶ峠道です。山中湖と富士山の美しい景色が待つ峠に挑戦して、その魅力を体感します。

オリンピックの舞台となった激坂

 山梨県と神奈川県、静岡県の3県にまたがる「明神三国峠」は、2020年東京オリンピックの自転車競技男子ロードレースのコースに組み込まれました。自転車で駆け上がれば、まるでオリンピックの舞台に立ったかのような気分を味わえます。富士山の絶景が待ち受ける、挑戦心をくすぐるヒルクライムコースを実際に走って紹介します。

「三国峠」の山中湖側には、富士山を望む絶景が待っています
「三国峠」の山中湖側には、富士山を望む絶景が待っています

 このコースは、山梨県道730号・神奈川県道730号・静岡県道147号の一部区間からなり、小山町(静岡県)から山中湖畔(山梨県)へと至るルートの最高地点に位置します。距離6.8km、平均勾配10%、最大勾配18%と、まさに激坂と呼ぶにふさわしい厳しい峠です。東京オリンピック2020ではこの峠がレース最大の勝負所として設定され、世界のトップ選手がしのぎを削りました。

 GPSデータをもとに登坂タイムを競うことができるアプリ「Strava(ストラバ)」の明神三国峠のリーダーボードには、アメリカのブランドン・マクナルティが最速タイム(KOM:King of Mountain)として名を刻み、同率3位にはタデイ・ポガチャル、ワウト・ファンアールト、リシャール・カラパスといった世界的スター選手が並びます。

 ヨーロッパが本場の自転車ロードレースにおいて、アジアでこれほど多くのトップ選手のタイムが残るヒルクライムコースはほとんどありません。

 この峠を全力で登り、自分のタイムと比較することで、世界のスピードを実感できます。「オリンピック選手はこの勾配をこのペースで登ったのか……」と、その実力の凄まじさを体感できるでしょう。

コース詳細と、走り方のポイント

 オリンピックのコースを辿るには、静岡県小山町側から登坂をスタートします。序盤の500mは比較的緩やかですが、そこから一気に勾配が増し、10%を下回ることのない急坂が続きます。とくに起点から約3.5km地点には最大勾配18%の区間があり、スリップ防止のためドーナツ状の溝が掘られた舗装が特徴的です。

 5km地点まではほとんど休むことができない急坂が続くため、ペース配分が重要です。突っ込み過ぎには注意しましょう。左手に富士山の雄大な姿が見えたら、一息ついて景色を楽しむのもオススメです。

 5km地点を通過すると、800mほどの平坦区間を経て最後の1kmは再び急勾配が現れます。まっすぐ延びる直登区間を越えた先で目の前に空が開け、峠の頂に到達します。

最大勾配「18%」区間の路面には、滑り止めのドーナツ型の溝が掘られています
最大勾配「18%」区間の路面には、滑り止めのドーナツ型の溝が掘られています

「明神三国峠」の由来

 昔の国名である「駿河」(静岡県)、「相模」(神奈川県)、「甲斐」(山梨県)の三国にまたがる国境(県境)に位置する「三国山」の直下に「三国峠」があり、さらに3kmほど手前(小山町側)に「明神峠」があります。このふたつの峠を総称して「明神三国峠」と呼ぶことが一般的です。

 峠道は「三国山」と、その北に位置する「明神山」の稜線の鞍部(あんぶ)を越えるため、「明神三国峠」という名称は地理的にも自然ですし、日本各地に点在する「三国峠」と区別するのにも適しているように思います。

繰り返し足を止めてしまう、絶景の連続

 三国峠を越えて山中湖側に少し下ると、目の前に圧巻の富士山が姿を現します。左コーナーを抜けた瞬間に現れるその壮大な姿は、訪れる多くの観光客を魅了しています。

 三国峠山頂から1kmほど下ったところにある「山中湖明神山パノラマ台」からは、富士山と山中湖を一望でき、天気が良ければ遠くに南アルプスの峰々までも鮮明に見ることができます。

 パノラマ台にはトイレや駐車場、絶景テラスが完備されており、ゆっくりと景色を楽しむのに最適な場所となっています。

 ヒルクライムコースの中腹、スタートから4.7km地点には、明神峠のオリンピック記念碑が立っています。自転車を立てかけて撮影できるフォトスポットになっていて、「最大18%」の勾配が刻まれた標識とともに収められた愛車の写真は、特別な思い出となるでしょう。

 また、記念碑には男子ロードレースの上位3選手の名前が刻まれています。彼らが確かにここを駆け抜けたことを実感しながら、自らのチャレンジを振り返るのも一興です。

「最大勾配18%」の表記が目をひく、明神峠のオリンピック記念碑。自転車を立てて写真撮影ができます
「最大勾配18%」の表記が目をひく、明神峠のオリンピック記念碑。自転車を立てて写真撮影ができます

まとめ

 東京オリンピック2020の舞台となった日本屈指の難関ヒルクライムコースは、最大勾配18%の激坂と、世界トップ選手が残したタイム、そして峠の頂から望む富士山の絶景が、挑戦者を待っています。

 自らの限界に挑むのがヒルクライムです。オリンピックのレガシー「明神三国峠」で、その過酷さと美しさを味わってみてはいかがでしょうか。

【画像】「明神三国峠」ってどんなところ? 実際に走ってみた画像を見る(14枚)

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Writer: 才田直人

1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。

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