【2台でGO!!】ドゥカティらしさ全開の「モンスター」と、控えめで扱いやすさに注力した「スクランブラー」

イタリアのバイクメーカー「DUCATI(ドゥカティ)」の現行ラインナップ(2025年3月現在)の中で、どちらかと言えばユーザーフレンドリーな2機種「モンスター」と「スクランブラー」を同条件で比較しながら試乗してみました。

フレームもエンジンも別物

「2台でGO!!」と命名したこの企画の目的は、同じメーカーの2機種を同じ条件で比較して、各車のキャラクターを明らかにすることです。

ドゥカティ「Scrambler Nightshift」(手前)と「Monster+」(奥)
ドゥカティ「Scrambler Nightshift」(手前)と「Monster+」(奥)

「ドゥカティ・ツイン編」として準備した素材は、アルミ製フロントフレームに排気量937ccの水冷DOHC4バルブ90度Vツインを搭載する「Monster+(モンスター・プラス)」と、スチール製トレリスフレームに排気量803ccの空冷OHC2バルブLツインを搭載する「Scrambler NightShift(スクランブラー・ナイトシフト)」です。

 今回は3つのステージ、市街地、高速道路、大小のカーブが連続するワインディングロードを走っての印象を紹介します。

市街地で感じた「モンスター」の健闘

 まずは市街地の印象を記すと、個人的(筆者:中村友彦)に意外だったのは「モンスター」の健闘です。逆に言うなら試乗前の私は、常用域重視の特性が与えられた「スクランブラー」の方が市街地に向いていると考えていたのですが、混雑した状況をキビキビ&スイスイ走れるという意味では、むしろ前輪が17インチで操作に対する反応が俊敏な「モンスター」の方が優位? ……と、思えなくはありません。

市街地をキビキビ&スイスイ走れる俊敏な「Monster+」
市街地をキビキビ&スイスイ走れる俊敏な「Monster+」

 ちなみに日本仕様の「モンスター」は、イタリア本国を含めた海外仕様より着座位置が45mm低いローダウンバージョンで、当初の私は快適性や操安性の悪化を心配していたのですが、今回の試乗でマイナス要素を感じる場面はほとんどありませんでした(と言っても、重心は低く、シートとステップの距離は狭くなっているので、多少なりとも本来のバランスは崩れているはず)。

 それどころか、ゴー&ストップが多い市街地をリラックス気分で走れたのは、775mmのシート高のおかげでしょう。

 その一方で、前輪が18インチでシート高が795mmの「スクランブラー」が、市街地走行を不得手としているわけではありません。「モンスター」と比較するならエンジン特性も車体の動きも穏やかなのですが、そういう特性の方が扱いやすいと感じる人は大勢いると思います。

快適な巡航が楽しめる「スクランブラー」

 続いて走った高速道路で興味深かったのは、「モンスター」より「スクランブラー」の方が快適と感じたことです。

 2台の差異を生み出す主な原因はエンジン特性で、一定開度を維持してのマッタリ巡航で鼓動感が味わえる「スクランブラー」とは異なり、最高出力111ps/9250rpmで高回転指向の「モンスター」は、法定速度内で走っていると「もっとエンジンを回したい!!」という欲望が湧いてくるのです。

 と言っても、「モンスター」で走る高速道路が辛いワケではないのですが、日本の法定速度を考えると、「スクランブラー」(最高出力73ps/8250rpm)の方がストレスは少なくて済むでしょう。

高速道路ではマッタリ巡航で鼓動感が味わえる「Scrambler Nightshift」
高速道路ではマッタリ巡航で鼓動感が味わえる「Scrambler Nightshift」

 ただし、私が「スクランブラー」を快適と感じたのは、試乗車がローハンドルを装備する「ナイトシフト」だったからかもしれません。大きく立ち上がったアップハンドルを採用するベーシックモデルの「アイコン」だったら、おそらく上半身にダイレクトに当たる走行風に厳しさを感じたはずです。

 とはいえ、高速道路を走行中に“操縦安定性”という言葉を思い浮かべた私は、前述した穏やかなエンジン特性に加えて、18インチの前輪や多めのトレール(108mm)の効果で(モンスターは93mm)、快適な巡航が楽しめる「スクランブラー」は安定性重視のバイクだと思いました。

 対する「モンスター」は、乗り手が積極的な意識でスロットルの開閉やブレーキングを行った方が楽しいのですから、操縦性重視と言って良いでしょう。

各車各様のドゥカティテイスト

 ここからはワインディングロードの話で、大小のカーブが続く道では「モンスター」の運動性が際立って感じられました。弾けるようなフィーリングでレッドゾーンに向かって突き進んでいくエンジン、短い距離で狙い通りの減速が行えるブレーキ、“スパッ”や“クルッ”などという表現が使いたくなる旋回性を体感すると、「これぞドゥカティ、それでこそドゥカティ」という気がしてきます。

 そんな意識で走っている最中、私の頭に浮かんだのはスーパースポーツの「パニガーレV4」と「パニガーレV2」でした。

 もちろん、アップハンドルでネイキッドの「モンスター」は、「パニガーレ」ほど運動性に特化したバイクではないのですが、得意とするステージや姿形が異なっていても、根底に流れるDNAは同じだったのです。

 そしてそういう視点で見るなら、「スクランブラー」はドゥカティテイストが薄め……なのかもしれません。

 と言ってもコーナリングは十分に楽しく、前後サスペンションのストロークが長いぶん(ホイールトラベルは前後とも150mm)、路面の凹凸の吸収性は良好なのですが、エンジン特性と車体の動きが穏やかなので、「モンスター」(サスペンションストロークはフロント130mm/リア140mm)や「パニガーレ」のような刺激や官能性、高揚感は味わい辛いのです。

 まあでも、それは必ずしも悪いことではありません。市街地で述べた印象の繰り返しになりますが、刺激や官能性や高揚感より、穏やかな特性ならではの扱いやすさに好感を抱く人は大勢いるのですから。

 なお、一昔前と比べると近年のドゥカティは、どのモデルもフレンドリーになっているのですが、「ドゥカティらしさ」を当初からある程度切り捨て、熟成が進んだ現行「スクランブラー」は、同社の歴史で最も扱いやすいモデルではないかと思います。

どちらがどんなライダーに適しているか

 現在のドゥカティのラインナップで、「モンスター」と「スクランブラー」はエントリーモデルという位置づけで、今回のテストで使用した2台それぞれの価格(消費税10%込み)は「モンスター・プラス」が162万2000円、「スクランブラー・ナイトシフト」が153万8000円です。

同条件で2モデルを比較試乗することで、各車各様の明確なドゥカティテイストを味わうことができた筆者(中村友彦)
同条件で2モデルを比較試乗することで、各車各様の明確なドゥカティテイストを味わうことができた筆者(中村友彦)

 では、初めてのドゥカティとしてどちらがどんなライダーに適しているのか?

 ドゥカティならではのスポーツライディングを満喫したい人には「モンスター」、穏やかな特性に身を任せてツーリングを楽しみたい人には「スクランブラー」、ということになるでしょうか。

 もっとも、それはあくまでも2台を同条件で比較しての話で、「モンスター」でツーリング、「スクランブラー」でスポーツラインディングが楽しくないワケではありません。

 もし、初めてのドゥカティとしてこの2台を候補に挙げているなら、事前に基本的な方向性やキャラクターの違いは把握しておいた方がいいんじゃないか……と、現在の私は感じています。

【画像】選ぶならドッチ? 初めてのドゥカティ候補「Monster+」と「Scrambler Nightshift」を見る(16枚)

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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