ホンダ所有の“かつてのメグロ”はマニアも驚く極上クオリティ!! 栃木・那須烏山で、ゼッタイ見るべきメグロとは!?
かつて1950年代に目黒製作所の工場があった栃木県那須烏山市が、“メグロの故郷”としていま注目を集めています。そんな那須烏山市にこの春、歴史的なメグロ製オートバイが5台寄贈されました。寄贈したのはなんとホンダ・コレクションホール。メーカーの垣根を超えたバイク愛!? マニアも唸る極上クラシックバイクの見どころをご紹介します。
戦火を逃れた目黒製作所の疎開先が、栃木・那須烏山だった
栃木県那須烏山市。いまココがカワサキ「W」や「エストレヤ」乗りの聖地として注目されているのをご存知でしょうか!? 那須塩原の少し下で、茂木のちょっと上。
ようやく宇都宮まで来たと思ったら、ココからあと1時間!? なんて、やや陸の孤島的なナスカラスヤマですが、じつはココ、1960年代にカワサキ(当時:川崎航空機)が吸収合併した、かつて日本を代表するバイクメーカーだった〈目黒製作所〉が第二次大戦の戦火を逃れるために疎開した町なんです。

カワサキのニューモデル「MEGURO S1」の登場で“メグロ”の存在を知ったヒトも多いと思いますが、〈目黒製作所〉は1937年デビューの第一号マシンから500cc単気筒という優れた技術をウリにし、白バイにも多く採用されていた二輪メーカーでした。
Z97型と呼ばれた第一号マシンが登場した矢先に第二次大戦に突入したため、いまも多くの旧車ファンに愛されている“メグロ製オートバイ”は、戦後1950年以降に生産されたものがほとんどです。
そして、その当時のメインとして稼働していたのが、ココ栃木・那須烏山の工場でした。実際に1950年代は企業城下町と呼ばれたほど那須烏山市は目黒製作所のおかげで町が潤い、多くの市民がメグロの工場で働いていたといいます。
そんな経緯もあり、2021年のカワサキMEGURO K3の登場後は、“メグロの聖地”として脚光を浴びることとなり、毎年11月には「故郷へおかえりなさい」をキャッチフレーズにしたイベント『メグロ・キャノンボール』も開催。本家カワサキ公認の下、メグロ・キャノンボールの会場〈山あげ会館〉にはK3発表時に使用されたシンボリックな看板も寄贈されたのでした。
さすがホンダ・コレクションホール!? な極上クオリティのメグロは一見の価値あり!!
そして今年、同じ栃木県内(茂木市)でオートバイ文化を盛り上げるホンダ・コレクションホール(ホンダの企業ミュージアム。展示車は走行可能な状態に保つ「動態保存」を行っています)から、ホンダが所有する5台の旧メグロ製オートバイが那須烏山市へ寄贈されました。その内訳は……1955年製メグロ250ジュニアS2/1957年製メグロ250ジュニアS3/1958年製メグロ350レックスY2/1961年製メグロ500スタミナK1/1965年製カワサキ250メグロSG。
ホンダさんの中に旧車マニアがいたのでしょうか……よくまぁこれだけの車両を持っていたと関心してしまいますが、驚くのは、そのどれもがほぼオリジナルの状態を維持している奇跡のクオリティだということ。さすがコレクションホール!! というわけで、いま那須烏山市の山あげ会館は、全国のメグロ&旧車マニアもアッと驚くマシンが揃う、ちょっとしたミュージアムとなっているのです。
ジュニアシリーズのS2とS3を見比べられる場所は国内唯一!?
そんな中、ぜひじっくりとご覧になって欲しいのが、戦後の1950年代に登場した250ccジュニアシリーズのS2とS3。プランジャータイプのサスペンション(リアアクスル部にコイルスプリングを搭載)に鞍型シートが特徴的なスタイルで、パッと見は同じような雰囲気ですが、じつはフレーム径に始まり、シートやマフラーといった各造型デザインの細部を比べていくと、「その時歴史は動いた!?」じゃありませんが、時代の変わり目が見えてくるんです。

それは何かというと、いわゆる“メグロらしさ”……目黒製作所の国産メーカーとしてのオリジナリティが宿り始めたのがS3からなんです。500ccのZシリーズ同様、そもそもは英国車を参考にスタートしたメグロが、“日本のメグロ”としてのアイデンティティを構築し始めたそのサマを、これほどキレイな状態で見比べられる場所は、おそらく世界でココ、那須烏山だけです!!
細かな差異については次回……というわけでまずはこの春、ツーリングの目的地&休憩地に栃木は那須烏山まで走ってはいかがでしょうか? もちろんカワサキW系の直系の祖先、1961年製の2気筒モデルK1もドーンと鎮座していますから。
Writer: 芝原啓彦
20年近くに渡って雑誌「ストリートバイカーズ」の編集部員を担当。バイク乗りが薦める、オートバイ・ブックス「THE MOTOR-CYCLIST' BOOKS」では編集長を担当するほか、ヤマハ「SR」やカワサキ「メグロ」など多数のムック本も出版。愛車はヤマハ「SR」、カワサキ「Z1000」。









