快適なバイク旅にオススメ? 充実装備で進化したトライアンフ新型「タイガースポーツ660」とは
トライアンフ独自の排気量660ccの水冷並列3気筒エンジンを搭載し、2022年に日本導入となった「Tiger Sport 660」が2025年モデルでマイナーチェンジしました。従来型や新型の兄弟車「Tiger Sport 800」との違いはどうなのか? 試乗しました。
新たにクイックシフター標準装備、電子制御も一段と進化
トライアンフ新型「Tiger Sport 660(タイガースポーツ660)」は、「Trident 660(トライデント660)」系の水冷3気筒エンジンを搭載したスポーツツアラーとして、2022年に登場しました。

トライアンフの「タイガー」シリーズと言うと、オンロードだけでなく林道なども得意な、いわゆるアドベンチャーバイクのイメージが強いと思いますが、「タイガースポーツ」では前後17インチのオンロードタイヤにハーフカウルと快適なライディングポジションが与えられた、スポーツツアラー的な車体構成になっています。加えてアドベンチャーを象徴する「長い足」が特徴です。
2025年モデルでマイナーチェンジということで、クイックシフターとクルーズコントロールを標準装備。ライディングモードを従来の2種類から3種類(ロード/レイン/スポーツ)とし、コーナリング対応のABSやトラクションコントロールもアップデートされています。
車体は新型の兄貴分的モデル「タイガースポーツ800」とほぼ共有で、デザインを含めて見た目はそっくりです。違いはラジエターシュラウドが小ぶりでマフラーがショートタイプに、フロントフォークに調整機構を持たないなど、少しだけシンプルな作りになっています。
扱いやすく、熟成された660系トリプルエンジン
「タイガースポーツ800」と最も異なるのはエンジンです。排気量660ccの水冷並列3気筒DOHC4バルブエンジンは「トライデント660」から派生したもので、2024年にデビューした「デイトナ660」にも転用されています。
公式な発表はありませんが細かい改良が施され、特に低中速域でのトルクを充実させたとか。声高に言わずとも着実に進化熟成を重ねるところがトライアンフらしいです。
車体を細かく見ると、洗練されたフロントマスクにシャープなLEDヘッドライト、大型スクリーンが快適な旅を予感させてくれます。燃料タンクは17Lと容量も十分で、燃費から単純計算すると350kmを一気に走れるなど、長距離ツーリングにも対応できる設計となっています。
シート高は835mmとやや高めですが、スリムな車体のおかげで足つきもさほど不自由は感じません。アップライトなライディングポジションで視界も良好です。
「トライデント660」同様の3気筒エンジンは、10000rpm超で最高出力81psを発揮する「回せる」エンジンですが、出力特性はフラットで低中速トルクも豊かで扱いやすく、スロットルを開けるとスムーズに加速し、高回転域では一転、伸びやかな上昇感とともに高鳴るサウンドはトライアンフ3気筒ならではの気持ち良さです。
毎日でも乗れて旅の装備も充実
街乗りでは穏やかで扱いやすく、高速道路でも余裕のあるクルージングが可能。コーナーでは軽快なハンドリングと安定感のある走りが印象的でした。

SHOWA製のサスペンションは快適性とスポーツ性を両立している印象で、通常のオンロードモデルに比べて2割ほど長いサスペンション(ホイールトラベルは前後とも150mm)が多少のギャップでも路面を追従してくれる安心感があります。ただし、乗り心地やグレード感では調整機構が付いた兄貴分の800には一歩譲るというのが正直なところ。
またエンジンスペック的にも、やはり35psも上回る800と比べると大きな差を感じます。逆に言えば、660は気負わずに毎日でも乗れるジャストサイズのミドルツアラーでしょう。
ツーリング向けの装備も充実しています。大型スクリーンは高さ調整が可能で、一番高い位置にセットすると高速道路でも上半身に当たる風をかなり和らげてくれます。
800と共通のTFTメーターは視認性も良く、スマートフォンと連携できるためナビ表示や音楽操作もできて機能的。クルーズコントロールもワンタッチで設定可能で、高速クルーズでちょっと右手を休めたいときにありがたい装備です。
またオプションでパニアケース(容量57L)や、ヘルメット2個収納可能なトップボックスを装着できるため、積載性の拡張も容易など、スポーツツアラーとしての基本性能は十分にクリアしていると言えるでしょう。
「タイガースポーツ660」はトライアンフらしい3気筒エンジンのフィーリングと快適な乗り心地が魅力で、日常の足としてのユーザビリティと十分なツーリング性能を兼ね備えています。
価格(消費税10%込み)は112万5000円から(カラーによって異なる)で、特にミドルクラスで快適なバイク旅をしたい人にはオススメの選択肢と言えるでしょう。
Writer: 佐川健太郎(ケニー佐川)
1963年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、広告・SP関連会社を経て独立。雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。海外試乗やメーカーやディーラーのアドバイザーとしても活動中。(株)モト・マニアックス代表。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。




















