チーム、ライダー、観客などその場にいる全員が24時間を戦う耐久レース!! それが現地で感じたル・マン24時間レース〜小野木里奈の○○○○○日和〜

今回の『小野木里奈の○○○○○日和』は、バイク好き女優の小野木里奈さんが初めて現地観戦したEWC2025 開幕戦 ル・マン24時間レースのレポート後編です。

ドラマチックすぎて大興奮の24時間

 皆さん、こんにちは! バイク好き女優の小野木里奈です。この記事は前編「日本のレースと全然違う!? ル・マン24時間レース現地観戦で感じた本場ならではの楽しみ方とは」の続きなので、まだご覧になっていない方は、ぜひ前編記事からお読みください。
 
 そして、ついに始まりました! あのスタートの瞬間、地鳴りのような感性とエンジン音、レースの幕開けです。

 24時間レースの途中で一瞬寝落ちしながらも、バイクの音で何かあったのかとハッと目が覚めてしまい、結局ほとんど眠れず、目を離すこともできずに、応援を続けた壮絶な1日。その中で起きた出来事をレポートします! それでは、いってみましょう!

 決勝は現地時間の4月19日午後3時にスタート。当日の朝、サーキット入りした私は何度も空を見上げましたが、灰色の分厚い雲がかかり、雨がいつ降りだしてもおかしくないとても怪しい天気でした。

 24時間、何かが起こるであろうと予感せざるを得ない雰囲気がサーキット内に漂います。

ル・マン24時間レースのスタート進行を見学
ル・マン24時間レースのスタート進行を見学

 スタート前のセレモニーである「グリッドウォーク」は、レースマシンと選手たちがそれぞれ予選の結果によって決められたグリッドに整列している中を、パスを持った観客が歩くことができ、選手の写真を撮影したり、激励を送ることができる貴重な時間です。

 レース中は危険もあるため、観客とライダーやチームとの間には距離を感じますが、この「グリッドウォーク」や先日の「パレード」、「ピットウォーク」などのイベントに参加することでチームとの距離が縮まるし、応援するチームへの親近感が生まれます。

 これらのイベントでは、チームのウェアを着て応援にきているカップルや、親子で観戦している人たちが日本のレースよりたくさんいた事が印象的でした。それくらい、このヨーロッパではモータースポーツが日本よりもメジャーなのかな、と感じました。
 
 今回、私が応援するチームはSSTクラスに参戦する41番「Dafy-Rac 41- Honda」で、バイクのニュースでもお馴染み、友人でもある石塚健選手が所属するチームです。

 このチームはフランスを拠点とするチームで、今年クラス優勝を狙っている実力派のホンダ系チーム。前編記事でもおすすめしたように、レースを楽しむならぜひ推しチームやライダーを決めておくことが、レースを楽しむ秘訣だと思います。
 
 午後3時に、いよいよ決勝レースがスタート。私はDafy-Rac 41- Hondaのピット内にあるモニターを見守っていました。

 耐久レースの名物「ル・マン式スタート」でライダーたちがコースの向かいにあるマシンへ駆け出し、「ブォン、ブォン、ブォォーーン!」と一斉にエンジン音が鳴り響きます。

 空気が震えるような、でも耳が喜ぶような轟音で、この瞬間は心臓がバクバクして一気に全身に血が巡り、興奮がこみ上げます!

ピットでのライダー交代とピットワーク
ピットでのライダー交代とピットワーク

 1周目は、どのマシンもまだ団子状態ですが、華麗なコーナリングに一斉に傾く車体の美しさと迫力は、この時が一番最高だと思います。

 そんな中、実は既にスタート前のウォームアップラップで1台が転倒。その時点で、この24時間は“穏やかでは終わらない”と誰もが悟ったと思います。
 
 耐久レースの真髄は、単なる速さの競争ではありません。晴れ用か雨用のタイヤ選択、燃費計算、夜間走行への適応、そして精神力などなど、それらすべてが試される極限の舞台で、この日は雨から乾きかけて、また雨の繰り返し。

 去年優勝したヨシムラでさえ6回もクラッシュし、今回優勝したYART-YAMAHAでさえ3度の転倒とパンクが発生。これらの強豪でさえも、かなり多くのアクシデントがありました。

 それでも戦い続ける彼らの姿に、バイクレースが「勝つこと」以上に「走りきること」が大切なスポーツなのだと教えられたのも新鮮な感覚。
 
 夜のル・マンはまさに幻想的で、真っ暗なコースをヘッドライトが灯すたび、地面に伸びる光線がまるでバイクの魂のように見えます。

 しかし、その美しさとは裏腹に、気温の低下と疲労のピークで転倒が多発する時間帯でもあり、オイル漏れによるセーフティーカーの導入や、雨による滑りやすい路面、タイヤの冷えなど、危険な要素は盛りだくさん。このタイミングで石塚健選手のスティントだったので、観ている私もさらにドキドキしながらモニターで彼らライダーの走行している映像を見守ります。

 ピット内のスタッフも観客も、誰もが一瞬も気を抜けない状況で、目の前でモニターを見つめる関係者の顔は、静かで真剣で、それがこのレースの厳しさを物語っていました。
 
 レースは24時間。1スティントでも、ピットで起きていることは、すべて“瞬間勝負”であり、“チームワークの連続”でした。

 ライダー交代のタイミングでは、次のライダーに前のライダーが「今、コース外が濡れている」や、「内側のラインに水が溜まっている」など、ほんのひと言を短く伝えるだけですが、そのひと言が次の走るライダーの命を守り、順位を左右する大きな鍵になるのです。

 多くを語らず、でもその時は見えないバトンを託しているようにも見えてとても尊いシーンでした。

チェッカー後のライダーと迎え入れるチームメイト
チェッカー後のライダーと迎え入れるチームメイト

 スティントを終えたライダーは気温が低い中で走行していても全身に汗をかいており、大量の水分補給をする場面もありました。その姿を見ているとただバイクを操作しているだけでない、全身を使うスポーツなんだと痛感させられます。
 
 メカニックたちも声をかけ合いつつ、目の奥は真剣そのもの。マシンがピットに戻ると一斉に動き出し、ジャッキアップ、タイヤ交換、給油、そして微調整。この時間もレース結果に影響するため、無駄な動きをいかにしないかに重きを置いていました。

 このチームワークの美しさを何度も見ることができるのも、耐久レースの醍醐味です。ピット内では、深夜には床で仮眠を取るメカニックたち、ずっとモニターの前で状況を読み続ける監督の姿、シェフが皆んなに軽食を振る舞う姿など、いろんな場面を見ることができ、誰よりも「チーム全員で走っている」ことを感じた場所。それがピットなんだと思います。
 
 そんな中、レース終了まで残り約30分、ついに私が応援する「Dafy-Rac 41-Honda」のケビン選手に悲劇が。モニターを見ると、チェーンが切れてマシンを停める瞬間の姿が映し出されます!

 私はこの時、ピットからプレスルームに移動し、順位もクラス2位をキープしているしもう大丈夫だろうとチェッカーを受ける前に色々と準備をしておこうという状況でした。

 その安心しきっていた状況で、モニターを見ていた周りの方々がどよめき出し、私もこの状況に気づいたので大パニック。何かできるわけでもないのにモニター前で、ひとりで焦ってしまい、現地の私よりもレースに詳しいであろう、他のプレスの方々にも今何が起こっているのかを聞き出そうとしたりする程、かなりこのレースや応援チームに没頭していました。

 しかし、とにかくモニターを見守っていると、フル装備のままバイクを押して走るケビン選手の姿があり、このシーンはチームなど関係なく、観客全員が心を打たれたと思います。

 その後はピットに戻ったマシンをメカニックたちが即座に修理。そして奇跡的に復帰することができ、SSTクラス2位で完走! チェッカーを受けて戻ってくるライダーを笑顔で、涙で、迎えるチームメンバーの姿を見ることができました。

 24時間のうちの残り30分を切った所でとんでもない出来事が起こりましたが、最終的には素晴らしい成績を納めることができ、この瞬間に立ち会えたこと、それ自体が今回思い切って現地観戦にきた私にとっての“優勝”だった気がします。
 
 この24時間、私自身も眠れず、雨に打たれ、感情の波に翻弄され続けていました。でも終わった後は、心が満たされていて、すぐに「来年も来たい」と思っていた自分に驚き。さらに、他の現地の耐久レースはどんなものなんだろう? とますます興味が湧きました。

 ル・マン24時間耐久ロードレースは、“観る”ものではなく“感じる”もの。「観戦者」もまた、24時間という時間を生き抜く、もうひとつの「耐久者」なんだと思います。

 応援チームが2位で表彰台に立った感動も、それを現場で見届けられた喜びも、一生忘れないと思います。

 ル・マン24時間レースを観たことがない方へ。私は声を大にして言いたいです。「一度は現地で体験してみてください!」この記事が、あなたの次のバイク旅のきっかけになりますように。

 それでは、また次の月曜日にお会いしましょう!

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Writer: 小野木里奈

女優。両親の影響で幼い頃にはバイクに憧れを持ち、23歳で大型バイクの免許を取得。いつか自分もお気に入りのバイクを見つけて、友達とツーリングに行くのが夢。初心者の立場で感じたことを素直に発信する。

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