衝撃!? ヘルメットは「高温」がニガテ? とくに夏場は放置厳禁! 保管やメンテも要注意
バイクのヘルメットは、万一の転倒時などにライダーの頭部を守ってくれる大切な装備です。それだけに普段から丁寧に取り扱いたいものですが、じつは「高温が苦手」です。とくに夏場は短時間の休憩でも「ひなたに放置」はNGです!
高温で衝撃吸収ライナーが「異常発泡」!?
バイク用の規格に適合したヘルメットはとても頑丈ですが、万一の転倒や事故の際に安全性を発揮するには、普段の扱い方が重要です。たとえば帽体(シェル)が傷つくと衝撃吸収力が低下するので、落としたりしないように気を付けているライダーも多いことでしょう。

取り扱いの注意点は多々ありますが、じつはヘルメットは「高温が苦手」です。その理由は、高温によってヘルメット内部の衝撃吸収ライナーが「異常発泡」する危険があるからです。
バイクのヘルメットの衝撃吸収ライナーは、EPS(エキスパンデットポリスチレン:いわゆる発泡スチロール)でできています。
加工前は硬くて小さな粒状ですが、製造時は過熱して少し膨らませる予備発泡を行います。それを金型にセットして熱と圧力を加えて二次発泡させ、個々のヘルメットの衝撃吸収ライナーの形を作り、帽体(シェル)に組付けています。
ところが、完成したヘルメットの衝撃吸収ライナー=発泡スチロールは、その後に高温(50℃以上)にさらされると「異常発泡」を起こし、さらに膨らんでしまうのです(※画像あり。集合体恐怖症の方は閲覧注意)。
バイクのヘルメットは転倒などで衝撃を受けると、帽体(シェル)が衝撃を分散しつつ、衝撃吸収ライナーがつぶれることで衝撃を吸収し、ライダーの頭部への衝撃を和らげます。
そのため衝撃吸収ライナーには設計時に適正な「発泡倍率」が定められ、それに合致するように二次発泡させて製造しています。
高温によって異常発泡を起こすと発泡倍率が変化してしまうため、本来の性能を発揮できなくなる可能性があるのです。
また異常発泡すると衝撃吸収ライナーの厚みが増し、ヘルメットをかぶった時のフィット感が変わってキツく感じるかもしれません。
とにかく直射日光に晒さない!
ヘルメットの衝撃吸収ライナーが異常発泡を起こさないためには、当然ですが高温に晒さないことが重要です。

たとえばツーリングで休憩する際などに、バイクを屋根のない駐車場に停めた時は、ヘルメットホルダーやミラーにヘルメットをかけて直射日光に当たっている状態はNGです。
また落下の危険を避けるために地面(アスファルトやコンクリート)に直接置くのもダメです(真夏の炎天下のアスファルトは60℃くらいになる)。
ちなみに、走行中はかなり暑い真夏でも走行風による冷却や、内部のベンチレーション機能によって冷却されるので、異常発泡する可能性は無いようです。
バイクに乗っていない時のヘルメットの保管ですが、高温になるクルマの中に置いたり(サーキット走行などトランポを使っているライダーは注意)、屋内でも日光の当たる窓辺などに置くのは避けましょう。また冬場などはストーブなどの暖房器具の近くには置かないよう注意が必要です。
そして清掃などのメンテナンスですが、内装を脱着できないタイプのヘルメットは丸洗いしてもOKですが、50℃以上の熱湯で洗うのはNGです。そして洗ったヘルメットを乾かすために、ドライヤーで温風を当てるのもやめた方が無難です。
このように、異常発泡に対する注意点は多々ありますが、実質的には「駐車時はヘルメットを持って歩く」よう意識すれば、おおむね大丈夫でしょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。







