バイクのエンジン、フレームに載せるところ見たことありますか? フレームに「エンジンを載せる」ときには各部を保護しよう 知って得するマメ知識も〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.38
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキ「Z1/Z2」シリーズです。完成したコンプリートエンジンを車体に搭載する際には、よっぽど手馴れていない限りエンジンの重さに負けてしまいます。気が付いたときには、フレームのダウンチューブやクランクケースにキズを付けてしまうことになります。ガッカリしないためにも、エンジン搭載時にはしっかりした準備と段取りをしましょう。
いよいよエンジン搭載!! 知って得するマメ知識もあります
これまで、カワサキ「Z2」エンジン組み立てと車体の組み立てを同時進行で行なってきました。
したがって、今回は組み立て途中の車体にエンジンを搭載する作業進行になります。このような時には、フレームやエンジンにキズを付けないように、要所にはウエスでカバー処理を施し、作業進行するのが確実です。

ここでは、厚手のウエス(ダスキンウエス)をダウンチューブ周りに巻きつけ、ガムテープで固定しました。今回は準備しませんでしたが、水道管用の凍結防止用ウレタン製断熱カバーを利用すれば、縦割り構造のためフレームにセットしやすく取り外しやすい特徴もあります。適度な弾力性もあって、作業性が良いです。
以前にCB750Kシリーズのエンジンをオーバーホールした際に、水道管用凍結防止保護カバーを利用してキズ防止しましたが、作業性は至極良好でした。エンジンの大小に関わらず、クレードル型フレームにエンジンを搭載する際には、間違いなく良いと思います。
アンダーチューブの無いダイヤモンド型フレームやバックボーン型フレームの車両へエンジン搭載する場合は、エンジンをキャスター台に載せて、自動車用の車載パンタグラフジャッキ(現代のクルマにはスペアタイヤが搭載されていないのでパンタジャッキも今では珍しい存在!?)を組み合わせて、利用すると積載性が良くなります。エンジン脱着する機会が多いモデルなら(サーキット走行車両など)、そのモデル専用として、一体型のジャッキ付き台車を自作するのも一考だと思います。
ここでは、コンプリートエンジンをフレームに載せる直前まで、事務机用のキャスター付き椅子の上に置きました。不要になった事務机用の椅子が良い仕事をしてくれます。何しろ空冷4気筒のコンプリートエンジンは重いので(90キロオーバーは確実。以前、CB750の空冷コンプリートエンジンを体重計に載せたら98キロありました)。

今回のエンジン搭載は大人3人作業で行いましたが、人海戦術の結果、ものの数秒で搭載完了できました。仮に、フルレストア時やひとりで作業する際には、木枠などの上にエンジンを「横置きにセット」して、同じく横に寝かしたメインフレームを「上から被せるように合体させる」ことで、作業性は一気に高まります。重いエンジンとメインフレームが合体できれば、足周りパーツの組み付けは、効率良く行なうことができます。
その後、電気系カプラや各種ワイヤーケーブルを接続してからエンジンオイルを注入しました。スパークプラグを外して、4本すべてで火花チェックを行った後に、いよいよエンジン始動!! 難なくエンジン始動できましたが、試運転へ出掛けるとエンジンの吹けが悪くノッキング症状(エンジン内での異常燃焼。金属を叩くような異音がでます)が多発しました。
これは何だかヘンな感じ………。「もしかしたら!?」と思い、ガソリンタンクに残っていた少量のガスをすべて抜き取り、フレッシュなガソリンに入れ換えたところ、何事も無かったように絶好調に吹け上がるようになりました。不調の原因は、長期間に渡るエンジン組み立て中に、劣化し始めていたガソリンにありました。特に、タンク内には少量のガソリンしか入っていなかったので、揮発性の低下が早まったのだと思われます。どんなバイクでも、久しぶりにエンジン始動する際には、ガソリンの劣化も疑うようにご注意ください。
今回も作業の工程については写真とキャプションを参考にしてください。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。










