謎のエメラルドグリーン「ドッコ沼」と本場アメリカ仕込みのスマッシュバーガー!! 絶景、温泉、ヒルクライムと魅力満載の「蔵王エリア」を自転車で満喫!!
宮城と山形の県境に広がる蔵王連峰は、火山が生み出したダイナミックな景観、硫黄臭立ち込める名湯、そしてサイクリストの脚を試すロングクライムなど、すべてが詰まった見どころ満載のエリアです。自転車で贅沢に巡るスポットを紹介します。
蔵王エリアを自転車で遊び尽くす!!
宮城と山形の県境にそびえる、蔵王エリアを自転車で走破します。蔵王は単独の山ではなく、熊野岳(1840m)を主峰に刈田岳、屏風岳など複数の峰が連なる蔵王連峰の総称です。

活火山ゆえの雄大な火山地形や硫黄の香り立つ温泉、スキーやトレッキングの名所として四季を通じて観光客が訪れます。また、サイクリストにとっては東北を代表するヒルクライムの舞台です。
宮城県蔵王町から山形県上山市へと東西に抜ける「蔵王エコーライン」は、その代表格です。宮城側と山形側、どちらから登っても標高差は1000mを大きく超え、まさに「東北屈指」のヒルクライムが楽しめます。
宮城側の拠点となるのは遠刈田温泉で、宿泊施設や飲食店が揃っています。17kmを超えるヒルクライムのスタートは「蔵王大権現大鳥居」です。
蔵王は古来より修験道の霊山で、蔵王権現を本尊として信仰されてきました。大鳥居をくぐると、坂好きサイクリストの心にスイッチが入ります。
木漏れ日の美しい序盤の急坂を越えると、標高750m付近の滝見台に到着します。ここからは「三階の滝」と「不動滝」を同時に望むことができます。
滝見台を過ぎると勾配はやや緩みますが、徐々に木々が減り、吹きっ晒しの、賽の磧(さいのかわら)と呼ばれる火山地形に突入します。体力と気力が試される精神的な山場です。
標高1250m付近に立つ「くぬき地蔵(苦抜地蔵)」で、「苦しみを抜き去って」くれるようお願いしましょう。
1450m付近には、100万年を超える火山活動の証である、白く変色した地層や荒々しい岩肌が目をひく「大黒天展望台」が現れます。奥には蔵王の最高峰、熊野岳が堂々と姿を見せます。この景色を目にすると、頑張って登ってきた価値を実感できます。
ここまで来ればフィニッシュまであと少し、最後の力を振り絞ります。
蔵王の象徴「お釜」
蔵王と言えば、外せないのが火口湖「お釜」でしょう。直径約325mで深さは約27mの円形湖で、季節や光によって水面の色を変えることから「五色沼」とも呼ばれます。

お釜に通じる「蔵王ハイライン」は自転車通行禁止ですが、エコーラインの最高地点である県境付近からリフトでアクセスできます。
リフト乗り場にはバイクラックや自販機があり、山形方面の雄大な山並みを一望できる絶好の休憩ポイントでもあります。そして刈田岳山頂から見下ろすお釜はまさに絶景、蔵王エコーラインの締めくくりに、ぜひ立ち寄りたい場所です。
山形側から蔵王エコーラインを登る場合も、宮城側と同じく大きな登りです。荒々しい火山地形を通ることはありませんが、蔵王の雄大な斜面をゆったりと楽しむことができます。
そして山形側で特に注目したいのが、「蔵王温泉」です。標高約900mに位置する蔵王温泉は強い硫黄泉が特徴で、旅館やペンションが立ち並び、「下湯」、「上湯」、「川原湯」という3つの公共浴場もあります。
私(筆者:才田直人)が訪れた7月末、下湯の湯温は44.5度でした。熱い温泉好きの人はぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。
蔵王温泉は、ヒルクライムルートも豊富です。長い距離で緩やかに標高を上げるルートや、山形の街並みを眼下に見ながら、本格的な登坂に挑むルートなど、その日の気分や脚力に合わせて選ぶことができます。
さらに、サイクリストに優しい温泉街でもあります。バイクラック付きのコンビニまであり、標高900mで補給ができるので安心です。
ボリューム満点のスマッシュバーガー
蔵王温泉で、ぜひ立ち寄りたいのが老舗ロッジ「スコーレ」です。本場アメリカ仕込みのシェフが手掛けるスマッシュバーガーは、パティから溢れる肉汁と胡椒の刺激が絶妙。ヒルクライムで消耗した身体にはパティ2枚の「ダブル」がオススメです!

また、夏はテラス席で高原の涼風を感じながらの食事も格別です。ランチはここで決まりです!
蔵王温泉からさらに約500mの標高差を登った先にあるのが、密教の法具・金剛杵(独鈷)に由来する名を持つ「ドッコ沼」です。透き通ったエメラルドグリーンの水面は、なぜこの色になるのか今も謎とされています。
周囲350mの静かな沼はゲレンデ脇を登る道からアプローチでき、所々で開けた景色を楽しめます。蔵王温泉の賑やかさとは対照的に、山の静けさを感じられるスポットです。
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宮城側は火山地形と勾配の厳しさが魅力のエコーライン、山形側は蔵王温泉を中心としたグルメと温泉……どちらから登っても蔵王の多彩な表情を楽しめます。
壮大なヒルクライムも、辿り着いた後のご褒美も、濃密な一日を約束してくれるサイクリングの楽しみが詰まった蔵王へ、ぜひ自転車で訪れてみてはいかがでしょうか。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。













