インディアン「スポーツチーフRT」に試乗して、ハーレーとの違いをじっくり考えてみた

「サンダーストローク116」と名付けられた排気量1890ccの空冷Vツインエンジンを搭載するインディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT(スポーツチーフ・アール・ティー)」に試乗しました。同じ米国のハーレーダビッドソンとはどう違うのでしょうか?

ハーレーよりイイ……のか?

 現在のインディアンモーターサイクル(以下、インディアン)は、6ジャンル・40機種以上のモデルを展開しており、それらのいずれかを試乗した同業者や友人知人から、「ハーレーよりイイ!!」という言葉を最近の私(筆者:中村友彦)はよく聞きます。何をもってそう感じるのか、私は以前からその理由が知りたいと思っていました。

 今回の試乗はその絶好の機会です。と言うのも、当記事の主役はインディアンが2025年から発売を開始した「SPORT CHIEF RT(スポーツチーフ・アール・ティー)」なのですが、私は少し前にこのモデルの直接的なライバル車、ハーレーダビッドソンの「ローライダーST」を体験しているのです。

インディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)
インディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)

 というわけで、ここでは「スポーツチーフRT」を主軸に据えつつ、「ローライダーST」との違いを記したいと思います。

諸元から感じる、2機種の共通点

 大前提の話をしておくと、「スポーツチーフRT」は2023年にデビューしたハイパフォーマンスクルーザーである「スポーツチーフ」のツーリング仕様です。

 このモデルの特徴は、容量37L(左右合計)のパニアケース、メイン部のバックレスト面積を拡大すると同時にタンデムライディングを考慮したシート、ミッド→フォワードコントロール式に刷新したステップなどで、エンジンとシャシーの基本はスポーツチーフに準じています。

ハーレーダビッドソン「LOW RIDER ST」(2025年型)が「LOW RIDER S」のツーリングバージョンとして販売開始されたのは2022年から。各部の変更を受けた2025年型は2-1式マフラーを採用
ハーレーダビッドソン「LOW RIDER ST」(2025年型)が「LOW RIDER S」のツーリングバージョンとして販売開始されたのは2022年から。各部の変更を受けた2025年型は2-1式マフラーを採用

 その諸元は「ローライダーST」とよく似ています。以下に記す、重量・軸間距離・シート高・タイヤサイズ・排気量・ボア×ストローク・最大トルクを見れば、誰もが2台に類似性を感じるでしょう。

「スポーツチーフRT」
322kg・1640mm・695mm・19/16インチ・1890cc・103.2×113mm・156Nm/3300rpm

「ローライダーST」
323kg・1615mm・715mm・19/16インチ・1923cc・103.5×114.3mm・173Nm/4000rpm

 なお、価格(消費税10%込み)は「ローライダーST」が322万800円から、「スポーツチーフRT」は346万円からです。

 20万円以上の差額をどう感じるかは人それぞれですが、この種の大排気量クルーザーを愛するライダーにとっては、そんなに大きな差ではないのかもしれません。

予想以上の違いに驚く

 ある程度の違いは想定していたものの「ここまで別物だったのか!!」と、「ローライダーST」の乗り味を脳内で再現しながら「スポーツチーフRT」でさまざまな場面を走った私は、予想以上の違いに驚くこととなりました。

 どこからどう語るべきかで迷うところですが、まず少し前に経験した「ローライダーST」の場合は、シートに跨って車体を直立させる際は身体に結構な重さが伝わってくるため、ヨッコラショ的な意識が必要だったのです。

 そして発進してしばらくは、ハンドリングや操作感にハーレーダビッドソンの独自性を感じるため、多少なりともライディングをアジャストする必然性がありました。

 ところが「スポーツチーフRT」は、重量が「ローライダーST」とほぼ同じであるにも関わらず、車体の直立は気軽に行えます。しかもハンドリングや操作感が日本車や欧州車に近いからでしょうか、早い段階から勝手知ったる愛車のような気分でライディングが楽しめるのです。

 ただし、それ以上に私が驚いたのはエンジンの違いでした。

「サンダーストローク116」と命名された、インディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT」(2025年型)が搭載する排気量1890ccの空冷49度Vツインエンジン。クランクウェブは釣り鐘型
「サンダーストローク116」と命名された、インディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT」(2025年型)が搭載する排気量1890ccの空冷49度Vツインエンジン。クランクウェブは釣り鐘型

 昔ながらの重厚なフィーリングを維持する「ローライダーS」の空/油冷45度Vツインとは異なり、「チーフスポーツRT」が搭載する空冷49度Vツインはビュンビュンと表現したくなるほど、軽やかに回るのです。

 エンジン特性の違いを生み出す原因として、私が興味を抱いたのはクランクウェブ≒フライホイールです。資料やパーツリストで確認すると、「ローライダーST」が伝統の丸型で見るからに重そうなのに対して、「スポーツチーフRT」は現代的で軽そうな釣り鐘型を採用しています。

 その要素が一番かどうかは何とも言えないのですが、クランクウェブの違いは、エンジン特性に大きな影響を及ぼしているのではないでしょうか。

 ちなみにクランクウェブの形状は、ハーレーとインディアンが販売する他の多くのモデルにも通じる話です。ただし、2021年からハーレーが導入を開始した水冷60度Vツインのレボリューションマックスは、釣り鐘型を採用しています。

やはり……甲乙はつけられない

 試乗後の私は、冒頭で述べた「ハーレーよりイイ!!」という言葉が何となく腑に落ちました。

 誤解を恐れずに表現すると、例えば「スポーツチーフRT」と「ローライダーST」を同条件で試乗できる場面があったら、おそらく半数以上のライダーが、フレンドリーにして軽やかで他メーカーからの乗り換えが容易に行えそうな、「スポーツチーフRT」に軍配を上げるんじゃないでしょうか。

インディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT」(2025年型)
インディアンモーターサイクル「SPORT CHIEF RT」(2025年型)

 ただし個人的には、「ローライダーST」が劣るとは微塵も思いませんでした。それどころか、昔ながらにして独特のフィーリングが存分に味わえるからこそ、ハーレーの空/油冷45度Vツイン搭載車は面白いと思ったのです。

 いずれにしても私自身は、2つのアメリカンメーカーが販売するVツインに甲乙を付けるつもりはありません。

 とはいえ今回の試乗では、ハーレーと比べれば歴史が浅いインディアンが(創業は1901年だが、現体制での活動は2011年から)、年を経るごとに支持層を拡大している理由が理解できた気がしました。

【画像】じっくり比較!! 支持層を拡大しているインディアン「SPORT CHIEF RT」を画像で見る(24枚)

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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